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『こじらせガールズ・ラブリーマーチ!~恋も友情もめんどくさいけどキュートにいこう~』  作者: 南蛇井


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25/31

第25話「全国大会本番! 舞台に立つその日が来た」

会場は、都心にある大規模ホール「クラフト・アリーナ」。

全国から集った強豪校たちが、自信作を携えてその場に集っていた。


 


手芸部は控室で最後の準備を進めていた。


 


「……ついに、この日が来たんだね」


志乃が静かにつぶやく。


 


「うん、ドキドキがすごい……心臓が“フリル”になりそう……」

こよみが半泣き気味に言って、みんなの緊張が少し緩む。


 


「行こう。あの日縫った“手”たちを、見せに行こう」


つばきの声は落ち着いていて、まるでリーダーのようだった。


 


 


【プレゼンステージ:発表のとき】

 


手芸部の出番は午後の部、ステージプレゼン形式。

作品をモデルが着て歩き、代表者がそのデザインと想いを語る。


 


スポットライトの下――

ワンピースを着た志乃が、ランウェイを歩く。


 


淡い桜ピンクと生成りを基調にした布、

そこに重ねられた“刺繍の手”たちが、光を受けてやさしく浮かび上がる。


 


 


【志乃のスピーチ】

 


「私たちは、この服に“つながる手”を縫いました」


 


声は震えていなかった。はっきりと、観客の方を見据えて。


 


「それぞれ違う不器用な手、怖がっていた手、信じることに慣れていなかった手……

でも、そのすべてが、ひと針ひと針で重なって、ぬくもりになったんです」


 


会場が静まり返る。


 


「かわいいは、飾りじゃない。

誰かを想って、手を動かすこと――それ自体が、私たちにとっての戦いであり、願いでした」


 


 


【審査員の反応】

 


会場の一番奥、審査員席。

著名な服飾デザイナーや専門家たちが無言で見つめる中――ひとりの審査員が、ぽつりとつぶやく。


 


「……これは、“手芸”の原点だ」


 


「技巧ではなく、感情で縫い上げた服。

だからこそ、見る者の心に“触れる”んだな」


 


 


【控室にて】

 


「……やれることは、やったよね」


詩織が言うと、真宵がこっくりとうなずく。


 


「うん。あとは“かわいい”を信じよう」


こよみは大きく深呼吸し、志乃の手をぎゅっと握る。


 


その手は、あの日よりも確かで、やさしく、強かった。


 

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