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『こじらせガールズ・ラブリーマーチ!~恋も友情もめんどくさいけどキュートにいこう~』  作者: 南蛇井


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23/31

第23話「見えてきた完成形! だけど、思わぬハプニング!?」

全国大会まで、残り二週間。

部室には、仕上げ作業に没頭する手芸部メンバーたちの姿があった。


 


「袖のフリルはこれで仮固定OK! 志乃、後ろ見てくれる?」

「うん、いい感じ……この“手の刺繍”、本当に綺麗だね。こよみちゃんのセンス、すごいよ」


 


試作から改良を重ね、ついに見えてきた“完成形”。

テーマ「つながる手」を象徴するように、全員の手形モチーフが一枚のワンピースに縫い込まれていた。


 


「なんか……本当に“私たち”って感じするね、この服」


 


 


【嵐の前の静けさ】

 


放課後の柔らかな日差しの中、

部室には穏やかな時間が流れていた。だが――


 


バチッ……!


 


突然、部室の照明がすべて落ちる。

「えっ……? 停電!?」と詩織が声を上げた次の瞬間――


 


「わ、わわわわ……!! ミシン、止まってる! しかも――!」


 


つばきが青ざめて叫んだ。


 


「今、メインパーツの一部、刺繍中だった……! データ飛んだ……かも……」


 


全員が固まる。


 


「ま、まだパターンの記録はあるはず……!」

天音が急いでPCを開くが、データはうまく読み込めない。


 


 


【試される“つながり”】

 


「ここまで来て……もうダメなんて、言いたくない」


 


志乃の声は震えていた。

けれどその手は、まだワンピースを離していなかった。


 


「……やろう。もう一度、みんなで刺繍しよう。最初からでも、きっとできる」

「“つながる手”は、刺繍データじゃなくて、わたしたちの気持ちにあるんだから!」


 


こよみが強く言う。


 


詩織は深くうなずき、

「……じゃあ、急遽手縫い対応で! 今から分担しよう!」


 


 


【再始動】

 


夜の部室に再び灯りが戻り、手芸部は全員で縫い直しに取りかかる。


 


「予定よりは遅れるけど……きっと、前よりいいものができる。みんなで“つながる”ために」


 


その言葉通り、夜が更けても、針を動かす手は止まらなかった。

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