第20話「票が決まる瞬間! “かわいい”に託された想い」
投票時間、終了。
会場内に緊張が走る。
壇上に立つのは、生徒会長・白峰アカリ。
冷静な表情で、手元の集計結果を見つめていた。
「結果発表に移ります――」
【結果発表】
「第一回 模擬展示会、投票数……」
手芸部:213票
服飾研究会:209票
「よって、勝者は――手芸部!」
歓声と拍手が体育館を包み込む。
志乃たちはその場に立ち尽くし、やがて笑顔と涙がこぼれた。
「……勝った、んだ……!」
【つばきの“気づき”】
そのとき。
東堂つばきが、静かに志乃たちに近づく。
「──私の作品は、美しさで人を圧倒することしか考えてなかった。
でもあなたたちは、違う。手を伸ばしたら、触れられる場所に“かわいさ”を置いてくれていた」
志乃は、つばきの目を見て言った。
「かわいいは、戦いじゃない。“分かち合えるもの”なんだと思う」
少し間を置いて、つばきは静かに、でもどこか素直に言った。
「……完敗ね。
でも次は、もっと自由な“かわいい”を作ってみたい。私自身の手で」
【和解、そして新たな予感】
ライバルとして、そして同じ創作者として――
志乃とつばきは、微笑みを交わす。
それは新たな始まりの合図だった。




