第19話「模擬展示会開幕! 魅せろ、手芸部のかわいい力!」
生徒会主催、特別公開の模擬展示会。
来場者は生徒、教職員、そして一部保護者や地域のファッション関係者まで。
体育館の特設ステージには二つのブースが設けられていた。
一つは、ダークで洗練された黒の布幕に囲まれた「霜月女学院・服飾研究会」ブース。
もう一つは、あたたかみのある木目とパステルで飾られた「手芸部」ブース。
「さあ――“かわいい”の本気、見せてもらおうかしら」
東堂つばきが不敵に微笑む。
【志乃たちの挑戦】
志乃:「私たちは、“かわいい”の中に“誰かの笑顔”を詰め込みたい」
天音:「ひと針ひと針、まっすぐ気持ちを縫ってきた」
真宵:「だから私たちの“かわいい”は、見る人の心に寄り添える」
展示される作品は、色とりどりのレースを組み合わせたドレスや、
和柄×モダンデザインのフリルバッグ、刺繍のアクセサリーなど。
来場者たちの目が輝き、足が止まる。
「きゃー! かわいい!」「これって高校生の作品なの!?」
【つばきのカウンター】
東堂つばきも黙ってはいない。
彼女の展示は、まるでアート。全身黒一色の中に一滴だけ差された真紅のリボン。
「“かわいい”とは、支配する美。誰にも真似できない調和」
そのクールで前衛的な世界観に、目を奪われる人も多かった。
【真の勝負】
来場者が投票札を手に動き出す。
“心を動かされた作品”に投票するルール。
緊張の中、志乃はつばきに言う。
「たしかにあなたの作品はすごい。でも、うちの“かわいい”は…誰かの気持ちをあたためる」
つばきは一瞬黙り――そして、目を細めて言った。
「なら、私の心も動かしてみなさい。志乃さん」




