第16話「技術の壁! 乗り越えろ、手芸部!」
全国大会のテーマ「伝統×かわいい」。
──だが、簡単ではなかった。
「うーん…この刺繍、思ったより時間がかかる…」
志乃は額に汗をにじませながら、細かな模様に苦戦していた。
隣では天音が、織りの試作で糸が絡まってうめいている。
「うぅ…途中まで完璧だったのに、最後の最後でズレた…!」
【はじめての“挫折”】
手芸に夢中になるほど、自分の未熟さが浮かび上がる。
それは、みんなも同じだった。
「私、本当にこのレベルで全国なんて出ていいのかな…」
新メンバーの刺繍少女・結花が、ぽつりと呟く。
「かわいいって気持ちだけじゃ、届かない場所があるのかも…」
【先輩たちの背中】
そんなとき、詩織が静かに言う。
「だったら、技術も“かわいく”磨けばいい」
真宵も針を手に笑う。
「失敗はかわいい。伸びしろもかわいい。上手くなっていく姿こそ、私たちの武器なんだよ」
【再び走り出す】
一人じゃ届かないけど、みんなとなら越えられる。
──“かわいい”は、諦めないこと。
志乃がスッと姿勢を正し、針を構えた。
「やろう、みんな。もっと先へ。
“かわいい”の限界、私たちで壊してみよう!」




