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灰の翼のスィンザ  作者: 見雨 冬一
九章 暗黒海嘯
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五十四話 ラパン上空の戦い


「スィンザ! 飛行型が来てる!」


 スィンザの炎の翼が目立ち過ぎたのか、敵を呼び寄せてしまった。


「やっと飛べるんだ。私は……自分の翼で、空を!」


 スィンザはブリーズソードを鞘から引き抜き、空中へと飛び上がった。


(炎の翼を得たとき、気がついたことが二つある。

一つは限界まで炎を吸収しなくても、炎の翼が出せること。

そしてもう一つは……)


「鳥人剣……〈爆風穿ち〉」


 スィンザは、フレイムボールから発生させた炎と共に風穿ちを放った。



 その新技はとてつもない速度で飛翔し、飛行型バーモに直撃すると、大爆発を起こして敵の体を爆散させた。


(もう一つは、炎を吸収するか、しないかを私自身が選べるようになったこと。

今初めて試したけど、それでも絶対にできるって思ってた。

私があの時、選んだんだ。

炎を翼に変えることを。

ずっと嫌われていると思い込んでいた火の存在を、自分の力にすることを!)


 スィンザは、力強く炎の翼を羽ばたかせた。


「スィンザ! その翼……」


 声の聞こえた方に顔を向けると、白い翼を広げて飛んで来たテリルがいた。


「テリル。私……これからは一緒に飛べるよ!」


「スィンザ。……うん! わたしも一緒に飛ぶよ! スィンザが行きたい世界へ!」


 テリルは涙を拭うような仕草を見せたあと、覚悟を決めたように魔弾銃を構えた。


「うん! 一緒に行こう! 

そのためにもまずはこの街を守ろう! 

私たちだって、ラパンの街の最高のチーム、トライホーンの一員だから!」


「うん! それじゃこの飛行型たちを片付けたら、チームと合流だね!」


 目標を定めた二人は、向かって来た十数体の飛行型バーモを引き付けるように上昇した。


「スィンザ! わたしはスィンザのことが見えてるから、思いっきりやっちゃって!」


 テリルは高火力高反動魔弾銃で敵を狙撃して、体を回転させた。


「わかった!」


(……技のアイディアが湧き出てくる。試してみたい技がたくさんある!)


 スィンザはフレイムボールから火柱を発生させると、それを風の力で大きくさせた。


「鳥人剣、爆炎回転爆風刃!」


 スィンザの剣から、横回転する炎の輪が放たれた。


 その炎の輪は、敵に当たると大爆発を起こした上に、敵の体を両断した。


 バーモたちは、スィンザの派手な技を警戒するように飛んだ。


「そんな飛び方じゃ、いい的だね!」


 しかしそれを許さないかのように、テリルの的確な射撃がバーモたちを襲った。


 二人の鳥人コンビは、あっという間に空を制圧してしまった。


「……え⁉ お前ら強すぎじゃね⁉」


 二人の戦いを見ていたレクエスは、唖然とした様子で飛んで来た。


「二人で空中戦するのは実質初めてだけど、上手くいったね!」


「イエーイ!」


 スィンザとテリルは、空中てハイタッチをして喜びを分かち合った。


「テリルの戦い方に至っては、俺の元上司にそっくり――」


「あらあら。まだこんなに元気な鳥人が残っていたのね……」


 レクエスの言葉を遮るようその女性は、スィンザたちに声をかけた。


「お前は、セブンアローズの〈ファトレ〉か⁉」


「ええ。お久しぶりですね。チェイサーのお方……」


 紫色のロングヘアーの若い女性は、浮遊魔法を使って空中に浮んでいると思われた。


「ファトレ……ああ! 気をつけて! この人、フィフスランクです!」


 スィンザは、イーゼマスとバルカナの会話をとっさに思い出した。


『それとフィフスランクは、もう二体街の中に潜んでいる。僕らの仲間のふりをしながら』


『〈ファトレ〉と〈ヴィヒート〉ね。今日ここに来る前に二人に会った時、おかしいなって思ったわ……』


「何だと⁉」


「え⁉」


 スィンザの発言にレクエスとテリルが驚きを見せたのに対して、ファトレは微笑みを浮かべていた。


「なーんだ……もうバレているのね。人に見られないように殺そうかと思っていたのに、残念だなー」


 ファトレは背中に担いでいた巨大な剣を構えた。


 その巨大な剣は、細身なファトレが持つにはあまりにも不釣り合いな武器だった。


「おいおい……否定もしねぇのかよ」


「ええ。否定もしないついでに、いいことを教えてあげるわ。

城壁の大扉を壊したのは私じゃないのよ。

壊された大扉の前に集ったヒトたち、一網打尽にされちゃうかもね~」


 そう言って笑うファトレの笑顔が不気味に見えた。


「アハハハッ! そりゃ確かにいいこと聞いたわ。お返しに俺もあんたにいいこと教えてやるよ」


「まあ! 素敵! 何を教えて下さるの? 羽を生やしたヒト風情が」


「人間をあんまり舐めるなよ。テメェらの杜撰(ずさん)な計画は、何一つ上手くいくはずがねぇことを教えてやる」


 レクエスは、両手を鋭い鉤爪に変化させた。


「も、猛禽族……」


 テリルは、レクエスの変化を見て、鳥人世界の頂点に立つ種族の名を口にした。


「あー……あなただったのね。城壁を超えて飛んで来た、かわいい同胞を、片っ端から殺してまわっていたクソ鬱陶(うっとう)しい鳥人は……。探す手間が省けました」


「スィンザ、テリル。こいつは俺が相手をするから、お前たちはチームと合流してきてもいいぜ?」


「でも、相手はフィフスランクですよ⁉」


「そうですよ。英雄級じゃないと……」


 スィンザとテリルは、レクエスの発言に戸惑いを見せた。


「ふふふ。そうですよ。舐めているのはあなたの方です」


「……面倒くせぇから先に言っておくが、世界一殺してぇ奴を殺すまで、俺は死なねぇぜ? 俺の命は、テメェごときにくれてやれる安い命じゃねぇんだよ」


 闘志を見せたレクエスの瞳には、復讐の炎が宿っていた。


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