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もう一つの世界

お久しぶりですm(__)m

感想頂ければ幸いです

時は神代。

 後に「神話」として語り継がれる、荘厳な神達が創りし神秘の力が満ちる不思議な世界。

 神が人を支配し、神の意思が世界を左右する、戦争と悪意が蔓延していた世界。

 世の人々は、毎日のように繰り返される、神秘の力を持つ者による略奪や戦争に怯えながら暮らしていた事であろう。


 では、少し考えてみてほしい。

 もしも、神話の中の神達が、実はもっと気さくな、気の良い者達ばかりだったら?

 もしも、そんな神達が、人間を見下し力で潰す事のない、神と人の共存する平和な世界だったら?

 ……もしもそうならばきっと、平和で、更に栄え、もしかすると現在まで続いた世界だったかもしれない。

 これは、そんな「もしも」の神話の世界に生きる、少し間抜けな龍の王様の歩んだ道を書き記した物語である。



Ⅰ.光の龍

 ここは光の森。木々の間から爽やかに漏れる木漏れ日とさえずる小鳥の声が、森の住人に朝を告げる。季節は夏。光の森の朝は、涼しくとても過ごしやすい。

「ふがぁ~ぁ…眠いな…昨日は夜更かしし過ぎたようだね…」

 緩んだ顔で欠伸を一つ、腰まで伸びた灰色の髪を揺らしながらふらふらと歩く、背の高い優男。彼はケルトのダーナ神族の光の神、ルー。最強クラスの神である。

「あ~あ、あんな遅くまでチェスしてるんじゃなかったな…フラガの奴妙に強いからムキになってしまったよ…ふわぁ」

「寝不足になるから寝寝た方がいいんじゃないか?とは言ったはずなんだけど…聞こえなかったのか?父さん」

 ルーを父さんと呼んだ彼は、フラガ。鋭く光る紅い瞳、ふくらはぎまで伸びた銀色の外ハネ髪、背中には何枚もの黒い刃が集まって出来た翼。そして、翼の色と同じ黒いロングスーツ。はっきり言って怖い。視線で人を殺しそうな眼光である。

 彼は、龍の中でも最強の種、銀龍の王様にして、光の神ルーの息子。光の神の息子なのに銀龍の王をやっている訳は、後々明らかになる…はず。

「いやぁ、あんまりにも君が手加減なしでやるからね…ムキになっちゃいました☆」と、ちょっとクマの出来た目でバチコーンとウインクするルー。

「ガキかアンタは。あと気色悪いからウインクはやめなさい」

「あっはっは、気色悪いとか言うんじゃないよ馬鹿龍…っと、ママンはどうしたね?いつもならそろそろ起きてくる時間だと思うけど」と、ルーは辺りをキョロキョロと見回す。

「馬鹿龍って言うなこの変態親父が…母さんなら……えぇと、寝てるよ、うん」

 家の方をチラチラ見ながら、何故か言いにくそうに言うフラガ。それを見たルーははっと何かに気付いたような顔になり、

「まさか…またかい?」

「ああ…まただよ…」

ショボンとするルーと、げっそりするフラガ。と、家の方から近付く影が見える。

「フラガー、なんで私をベッドから蹴落とすのよー。せっかく一緒に寝てたのにぃ」

 下着一枚で家から出てきた彼女はポワトリィヌ。ウェーブがかったセミロングの銀髪と、眠たそうな紅い瞳が美しい、ナイスバディな光の女神。ルーの妻にしてフラガの母である。

「なんでって…暑いし。てか下着一枚で出てくんなばかちん」

「ばかちんとは何よー。フラガが夜寂しくないようにってひっそりと潜り込んだのに…」

 ショボンと肩を落とすポワトリィヌ。

「…え?僕はもうあれかい?いらない子?僕寂しいなー、ママン、ねぇ?」

 ルーは必死に自分の存在をアピールしている。

「あのな…俺はもういい歳してんだから夜寂しくなんかなりません。それに…」

 寂しいのはアンタだろうが、と言おうとして止めるフラガ。なんだか、言ったら色々マズい気がしたのだ。主にルーの機嫌とか、自分の立場とか、あと色々。

「ん?それに?」

「何でもない…それと、とりあえず服を着てこい」

「はぁい」

 とことこと家に戻って行くポワトリィヌ。

「ポワトリィヌ…まさか僕に内緒でフラガと…」

「断じて無いから安心しな」

 はぁ、と溜め息を吐いて天を仰ぐフラガ。

「っと…父さん、今日はちょっと山の鍛冶屋ん所に行ってこないとならないから、後よろしく」

「むっ、パパンに任せなさい!」

 さっきまでのローテンションはどこへやら、はっはっは!と笑うルーを後にし、光の森の上空に飛び上がるフラガ。向かう先は、光の森から二時間ほど飛んだところにある、火の山。

「んー…今日もいい天気だなー…」

 森では木々に遮られていた日差しを直接浴び、伸びをするフラガ。

「さて、行きますかね」

 そう言うと、日差しを受けて鈍く光る重そうな翼をはばたかせ、長い銀色の髪をなびかせながら、ゆったりと火の山に向かって飛んでいくフラガであった。



Ⅱ.神の鍛冶屋

 火の山。山頂からは常に煙が噴出し、今にも噴火しそうな気がするが、ここ100年近く噴火の無い火山。 標高はそこそこだが道が険しく、空を飛べない者には少々キツい山である。

 そんな火の山の山頂近くに、一軒のログハウスが見える。火の神、または鍛冶の神とも呼ばれる、ヘファイストスの小屋である。

「さぁて…そろそろアイツが来る頃だね」

 長く艶の良い黒髪を、頭の後ろで一つにまとめ、無駄に胸元の開いた白基調の着物(?)を着る鍛冶の神。

 彼女の作る武具は、とても出来がいい(神話に残る伝説の武具のほとんどは彼女が作ったとされる程)と評判だが、実際に使った事のある者はなかなかいない。

 なぜなら、彼女は自分の作った武具を、自分の気に入った相手にしか使わせないのだ。無論、町の武具屋に彼女の作った物が並ぶことなど決してない。「おっ…来たね」

 東の空を見上げるヘファイストス。その視線の先には…

「よぅヘファイストス。調子はどうだい?」

 バサバサとはばたくフラガの姿。そのままヘファイストスの前に着地する。

「アタシはいつも絶好調さ。それより、アンタの武器…良い感じに仕上がってるよ」

 くい、と後ろを親指で差し、そこに向かって歩き出すヘファイストス。

「おお、ありがとう…ちゃんと言うこと聞いたか?」

 ヘファイストスに続くフラガが問う。

「そりゃ聞くさ。なんたってアタシが作った武器なんだからねぇ」

「そういやそうだな」

 ログハウスの玄関を開けるヘファイストス。すると中には…

「遅かったじゃねぇかフラガ!」

 赤髪ポニーテールの気の強そうな背の高い女の子と、

「………ちゃんと待ってた、フラガ」

 青い髪と紅い瞳が目につく、無表情の小さな少女。

「おぅフランバージュ、聖十字。待たせたな」

 赤髪の女の子がフランバージュ、青髪の小さな女の子が聖十字。二人はヘファイストスに作られた、フラガの武器である。俗に言うリビング・ウェポンの一種だが、通常のリビング・ウェポンとは異なり、彼女らは人間の姿になることができ、自分の意思で生活もできる。もちろん戦いの時には武器の形になる。フランバージュはフラガの背丈(約180cm)ほどもある長刀、聖十字は銃身に十字架が彫られた銀色のデリンジャー銃になる。

「まったくだぜホント、三日も待たすなよなこの馬鹿龍!あははは!」

「うるさい、フランバージュ」

「あはは…相変わらずで何よりだよ」

「フランバージュは特に問題なかったけど、聖十字の銃身にちょっと歪みがあったんで直しといたから」

 にかっと笑って言うヘファイストス。

「相変わらず火口で鍛冶やってんのかい?」

 フラガが、煙の立ち上る山頂を眺めながら言う。

「まぁね、火の温度も高いしさ」

「流石は天才鍛冶屋だな、火山の噴火も実はお前が抑えてるってか?」と、冗談混じりに言うフラガに、

「バカだな、ここはただの火山じゃない。火の山だぞ?100年近く噴火が無いのは、次の噴火まで力を溜めてるからさ」と真面目に返すヘファイストス。

「分かってら、ちょっと冗談言っただけ」

 フラガは苦笑いを浮かべてフランバージュ達に目を向ける。

「なぁーフラガー、早く帰ろうぜー!」

「うるさい、フランバージュ」

 目が合った途端に騒ぎ始めるフランバージュと、それをたしなめる聖十字。まるで、うるさい姉の面倒を見る妹のようである。

「そうだな、そろそろ帰るか…」

「アタシらはどうする?背負ってく?」

「ああ、元に戻って」

 フラガがそう言うと、フランバージュと聖十字がフラガに駆け寄り、一瞬眩い光に包まれたかと思うと、フラガの背中には黒く長い刀、腰には銀色の装飾銃が納まっていた。

「んじゃ、ありがとなヘファイストス。また来るよ、今度は手合わせでもしよう」と言って、空に舞い上がり、東へ飛んでいくフラガ。

 その姿を見送った後、ヘファイストスはぽつりと、

「手合わせねぇ……勘弁してくれ、アタシは作るのが専門なんだよ、ははは」と呟いた。



Ⅲ.龍の師

 火の山を後にしたフラガは、北にある大きな神殿に向かっていた。

 火の山周辺は木造建築が多かったが、その神殿に近付くにつれて、辺りには石造りの建物が多くなっていく。

「そろそろだな…」 というか、もう目の前に見えている。フラガは、辺りの様子を伺いながら、神殿の少し手前で着地した。しばらくキョロキョロした後、

「む…いないな…中かな?」と呟くと、

「私ならここにいるぞ?」と、いきなり後ろから声をかけられた。 

「うわぁ!?あ、アテナ!びびビックリするでしょうがばかちん!」

「おお、すまんな、気付いていると思ったよ………………ばかちんとは何だ貴様?」と言うと、ぺちん、とフラガの頭をひっぱたく女性。

 アテナと呼ばれた、流れるような金髪に、美しいボディラインを強調する黒いドレスが似合う、気の強そうな鋭い瞳の若い女性は、神界最大の女神にしてフラガの師匠である。

「して、何の用だ?貴様から会いに来るとは珍しい…3年ぶりか?」

「せっかく弟子が来てんのにその態度かよ…お前も相変わらずだな、ったく」 ふぅ、と短く息を吐くフラガ。

「お前?私の事は師匠と呼べと言ったろうがこのたわけが」と言うと、アテナはフラガに背を向けて、つかつかと広いところに歩いていく。「来い。どうせ鍛え直した武器の調子でも見たいのだろう?」

「流石師匠…分かってるねぇ」


30分後。

広場には、腕を組んで立つフラガと、人の形に戻ったフランバージュと聖十字が転がっていた。

「なあフラガー」

「んー?」

「やっぱりアイツ強すぎ」

倒れたまま、神殿の方へ歩いていくアテナを見て言うフランバージュ。

「仕方ないさ…まあ調子は良かったな?お前ら」と、フラガは倒れている二人に向かって言う。

「うん…頑張った」

「ヘファイストスに鍛え直してもらったんだし当たり前だけどなぁ!」

「まあなんにせよ…とりあえず家に帰ろうか?」

 フラガがそう言うと、フランバージュと聖十字は再び武器の形になってフラガに持たれる。そのままフラガは空に舞い上がり、家へとゆっくり飛んでいった。

みなさんお久しぶりです、えふちーですm(__)m

もう一つの方がちょっと行き詰まってしまったので、少し方向転換してみました(汗)

楽しんで頂けたなら幸いです。

ではまたお会いしましょう

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