一粒で、元気百倍グリコーゲン!
そうかー異世界人とは人体の構造その物が違うわけだな!
ああ使いたかったな、まかんこーさっぽー...
しょんぼりする私に、丸は後ろ足で立ち上がり、ガサゴソとサコッシュから何かを取り出した。
「これでも食え。」
ちんまい手のひらには、半透明のオーブンシートの様なもので丁寧に包まれた、小さい四角い物が乗っている。
「キャラメル...?」
受け取って包みを剥がすと、艶のある茶色いキャラメルだった。
ポンと口に入れると、豊かなミルクの風味と香ばしいカラメル。鼻にぬけるバターのリッチさを、後から塩味が追いかけてくる。
「これ、塩キャラメルだ!!」
美味しい...。
良く考えたら忙しすぎて飯も食っとらんかったわ。
くぅ~~、甘さが染み渡る...。
「って、キャラメルなんてあるの!?」
「トラベラー達のお陰でな、料理、医療、被服、建築、色々と栄えてるんだよ。」
異世界チートってヤツですな!
確かにキャラメルは、牛乳と砂糖があれば作れるって、北海道の生キャラメルで有名な芸能人が言ってたわ。
詳しい作り方は知らんけども。
「じゃあこの世界は、私の所とそんなに変わらないのかな。」
「そうでもないらしい。というか、俺は嬢ちゃん達の世界を実際に見た事はないから比べられないが、前に異世界課に連れてったトラベラーがそう言っていた。」
ああ、私で今月3人目って言ってたな。
「その人どうなったの?」
「帰ったぞ?」
事も無げに言われたそのひと言に、胸がギュッとなる。
ホントに帰れるの??
マジで??
監禁されて知識搾り取られてとかじゃなくて??...知識なんて無いけどな!
性奴隷に落とされて、良いではないか良いではないか、あ~れ~、じゃなくて??...そんな技術も無いけどな!
「トラベラー達も俺達と同じ人権、法律が適用され、犯罪を犯したもんはどちらにせよ捕まる。拉致監禁はもちろん犯罪だ。」
丸はあるのか無いのかわからない、もっふりした肩をすくめて言った。というか、丸が上下に動いて見えた。
私の右手が、丸を捕獲したいと疼いたが鋼の理性で押さえ込んだ。
もうたぬ権を侵害しないと私は誓ったのだっ!
くそぅ、右手が疼きやがる...。
それはそうと、
「...たぬさん、魔法で心読んだ?」
「トラベラー達は大体それを心配するんでな。嬢ちゃんもそうだと思っただけさ。」
そりゃそうよね、夢みる少女じゃあいられないものね。