待ち望んだ瞬間が突然やってくると大体失敗する。
トークアプリの名前の書き方とアイコンって人となりが滲み出ますよね。ってことで3人の名前とアイコンをご紹介!
・颯
名前:ハヤテ アイコン:パルクールの技を決めているカッコいい自分の写真。
・八都寧
名前:はつね アイコン:剣道の面の写真。
・梵
名前:水篠 梵 アイコン:初期アイコン。
梵がフルネーム&初期アイコンなのが無頓着ポイント高い。
とあるトークアプリにて
水篠 梵:まずいことになった。
はつね:なにごと?
ハヤテ:ん?
水篠 梵:大会出れないかもしれない…
はつね:(驚いてるスタンプ)
ハヤテ:は?まじ?
ハヤテ:こちとら動画出しちゃってるんだが??
ハヤテ:どうゆーことだ!
水篠 梵:今度出る大会が高校生の大会なんだけど
水篠 梵:一つの高校につき、1チームしか出られないらしくて
水篠 梵:うちの学校からはeスポーツ部が出場するらしい…。
はつね:つまり??
水篠 梵:出れないかもしれない…。
はつね:明日の朝、作戦会議しましょう。
はつね:いつもより15分早く教室に来てもらっていい?
水篠 梵:了解。
ハヤテ:月城さんが怒ってるのが文字から透けてる…
はつね:ん?
ハヤテ:いえ!なにも!
はつね:明日は遅刻しないでね?(優しい笑みのスタンプ)
ハヤテ:善処します!
◇ ◇ ◇ ◇
次の日、一年三組の教室には2人の人影があった。
勿論、梵と八都寧だ。自分たちの席である窓側の席で颯を待っている。梵は毎日飲んでいる紙パックのカフェオレを今日も飲んでいた。
「期待はしてなかったけど、遅刻ね。」
「まぁ、天変地異が起こるよりはいいんじゃない?」
「はぁ、私たちが早く来た意味~。」
窓の外から何かの音がする。
「おはよ!」
「お、おい。八都寧!後ろ!」
「え?(ゆっくりと振り向く。)きゃぁぁー!」
存在しえない場所に人間の顔があった時ほど怖い事はない。1年生の教室がある2階の窓の外に颯の顔があった。
「なんでそんな所にいんのよ!ここ2階よ?」
「まぁ、2階ぐらいなら登れるっしょ。」
「颯なら登れそうではあるが、非常識ではある。」
「いやぁ、遅刻しそうだったからさ。」
「時間は過ぎてるからね?南条君?」
「あ!腕時計の時間ずれてる!」
この後、普通に八都寧に怒られた…窓から入ったことも含めて。
「それで、大会に出れないって本当なの?」
「高校一つにつき1チームらしい。」
「うちの高校からはeスポーツ部が出るってことね・・・。」
「この大会にエントリーしないと半年先まで大きい大会はない。非常にまずい状態だ。」
「お先真っ暗じゃん。連載8話目で俺たちの戦いはこれからだ!展開は嫌だよ?」
「次回作期待されるのはまだ早いものね。」
「で、どうすんの?」
「うーん、道場破りしちゃう?」
「それって、勝負挑んで勝ったら出場権寄こせ的な?」
「ご名答!」
「月城さんって意外と武闘派だよね。」
「悩みどころだが、eスポーツ部の所に行かないと何も始まらないから昼休みに行くか?」
「そうだね。」
「おっし!じゃあ、昼休みまでにパワー貯めておくわ!」
その後、続々と登校してくる1年3組の生徒は自分よりも早く教室にいる颯を見て全員が空から雷が降ってないか確認したという・・・。
◇ ◇ ◇ ◇
そして、昼休み。3人はeスポーツ部の部室の前に立っていた。
「失礼しまーす!」
ガラガラッと扉をスライドし部室に入っていく。
「むひょっぉ!?い、いきなりどうしたの?」
室内にいたのはeスポーツ部長2年の二戸 陽菜だ。eスポーツ部の部室らしく沢山のパソコンに、フルダイブVR機があった。
「変な声出てたけど大丈夫?」
「え!?二戸ちゃんじゃん!eスポーツ部だったんだ。」
「(咳払い)月城さん、あなたは後輩なんだからその呼び方辞めてって言ってるでしょ。」
「いやー、ショートカットで童顔って先輩だとしてもちゃん付けしたくなりますよ!」
「知り合いなの?」
「風紀委員会で一緒なの。」
「へぇ~。はじめまして南条 颯です。こっちの不愛想な奴は水篠 梵、最近引っ越してきた転校生です。」
「南条君とは、登校中に話したことあるのだけど・・・、まぁいいわ。それで何の用?」
「あ、そうそう。今度のBFカルナバルの大会ってeスポーツ部がでるんだよね?」
「NF杯のこと?もちろん出るけど。」
八都寧が梵の顔を見て確認すると首を縦に振ったのでNF杯で間違いないようだ。
「そう!その大会のことなんだけど・・・私達も出たいなぁって…。」
「は?私たちは格ゲーがメインの部活とはいえ、BFカルナバルを部活で頑張って練習している人もいるの。いきなり来て出たいなんて無理。そもそも月城さんは剣道部でしょ?颯君はMeTuberで帰宅部、そこの転校生はしらないけど、3人ともゲームした事なさそうじゃない。」
「ま、まぁ。そう言われるとしてないんだけどさ。」
ここでずっと黙っていた梵が口を開く。
「頑張って練習したとかは知らないけどさ、大会には強い方が出た方がいいでしょ。」
いきなり喋って交渉の場に爆弾を投げ込んだことで、部室は静まり返った。
「は?・・・・自信満々なのはいいけどあなた達のフロアは?」
「「フロアって何?」」
そういえば前にも梵がスタッフのお姉さんに聞かれた『フロア』。BFカルナバルの実力を知るために必要な物らしいが颯と八都寧は未だ梵から聞いていない。その無知がさらに爆発間近の交渉の場に油を注ぎこんだ。
「フロアも知らないのに大会に出たいなんて本気?フロアはBFカルナバルのランクマッチに勝利するごとに上がっていく階級。フロア1からスタートしてフロア100を目指すの。大会に出るなら最低でも70は欲しいけど、言葉すら知らなかったってことはランクマッチすらやってないんでしょ?貴方達が大会に出るなんて100年早いです。」
うぅ…。ランクマッチどころか射撃練習場しかやったことないなんて言いだせる雰囲気じゃない。俺が出ようって言いだした訳じゃないんです!梵に誘われて・・・。
「二人には唯一無二の才能がある。それに俺がどんな状況でも勝利に導く。俺たち3人を大会に出場させてほしい。」
「口だけなら何とでも言えます!転校生、あなたのフロアは?」
「100。」
「え?嘘はダメよ?」
「嘘じゃない。証拠を見せようか?」
でた!伝家の宝刀メジャーカード!このカードを見せておけば水戸黄門の紋所ばりに権威を出せることを先日のスタッフのお姉さんの反応から颯は察していた。
プロの選手やアンダーを含む日本代表しかもっていない稀有なカードをeスポーツ部部長二戸陽菜に見せつける。
「ほ、本当じゃない・・・。初めて見た。」
「これで納得してくれたか?」
「あなたが強い事は分かったけど他の2人はダメ。フロアすら知らない人を大会に出すなんて部員が黙っていないわ。」
「じゃあ、勝負して俺たち3人が勝ったら大会に3人とも出場させてくれ。」
「BFカルナバルは1人が強いだけじゃ勝てないって当然知ってるよね?どう考えても初心者2人を抱えて勝てるわけない。受けて立つわ!その代わり、負けたら転校生のあなたはeスポーツ部に入部してもらう。フロア100の化け物なら皆喜んで迎え入れるわ。」
「どうせ負けないからどんな条件でもいいよ。」
「言うわね。じゃあ、勝負は授業後の17時から。あなたたちが3人しかいないから3vs3の変則マッチのBO1(※)でいい?」
※BO1 1マッププレイして勝った方の勝ち。つまり一発勝負。BO3ならば3マップで2回勝った方が勝利。BO5なら5マップで3回勝った方の勝ち。
「問題ない。」
「マップはそっちが選んでいいわよ。」
「じゃあ、“テンボス”で。」
BFカルナバルには8つのマップがある。試合はその中から得意なマップを選び、苦手なマップを避ける。今回梵が選んだテンボスというは8つのうちシンプルなマップだ。初心者の2人の為にマップギミックのないわかりやすいマップを選んだのだ。
「じゃあ、授業後に会いましょう。」
「あぁ。」
3人は部室を後にした。
「ちょっと!水篠くん。喧嘩売ったみたいじゃない。」
「八都寧が道場破りしようって言ったんじゃん。」
「いやぁ、そうだけど。二戸ちゃんがいると思ってなかったんだもん。二戸ちゃんとは仲良くしたかったの!」
「梵が暴れたから時すでに遅しだな。」
「はぁー、関係を一から作り直しだぁ・・・。」
◇ ◇ ◇ ◇
3人が去った部室の中では二戸陽菜・・・いや1人の恋する乙女がうずくまっていた。
「あぁー、せっかく颯くんと初めてちゃんと喋れたのに。部長の顔を優先して強い態度で接しちゃった~。怖い人って思われたかなぁ。どうしよう。」
お察しの通り、二戸陽菜の想い人は南条颯。後輩である彼に惚れたキッカケは登校中の出来事・・・苦手な犬に絡まれている所を助けてもらい颯爽と立ち去った姿がカッコよかったから。
それからはわざとギリギリの時間に登校したり、MeTubeの動画をすべて見てコメントを送るなど、話せる機会を探していたのだがチャンスに恵まれず悶々としていた。そんな折に彼の方から訪ねてきたのだから変な声も出る。
「でも、負けるわけにはいかない。私はeスポーツ部の部長だから!……、あ!颯くんも部活に入ってくれないかな!」
勝負を前にしては浮かれた気持ちで午後の授業を過ごしていった。
◇ ◇ ◇ ◇
そして勝負の時を迎える。
【仙ヶ谷高校 紅白戦】
Team Red
Gunner SharangA (水篠 梵)
Gunner VAULT (南条 颯)
SPECIAL ONE Susano (月城 八都寧)
Team White
Gunner CASTLE
Officer TeLeS
SPECIAL ONE NitoO (二戸 陽菜)
Map: Ten Bosch
Are you Ready?
ついに始まりました!
いつも拝読ありがとうございます。
ブックオフ&評価ぜひお願いします。