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頑固

拝読ありがとうございます!

そして、ブックマーク3桁!ありがとうございます〜!これからも是非読み続けて頂けたら感謝感激です。


拝読ありがとうございます。

是非、ブックマーク・評価等お願いします。

「急用、遅刻、子供扱い。貴方は歴代にゃかの弟子史上最低ね!」


これからお世話になるコーチに初対面で怒られた男はここです。どうぞ嘲笑ってください…。急用・遅刻は相手視点で考えれば100‐0で自分が悪いだろうし、見た目で子ども扱いしたのは言い逃れできまい。真摯に謝るのが最適解だろう。


「本当に諸々とすいませんでした。破門だけは避けて頂けると嬉しいのですが…。」


「無礼者にはこの感情のまま縁を切るべきなんやろうけど、にゃかは一度目のミスは見逃してあげる主義なの。二度はないから。いい?」


幼く見える可愛い顔立ちのコーチが辛辣な顔で見つめてくる。VAULT(ヴォルト)に拒否権があるはずはない。勿論、次がないミスの中に遅刻も含まれているのだが、遅刻魔には荷が重く感じる。


「ホントッ、、すいません。nyaka(にゃか)、、、さん?」


ヴォルトが謝罪のついでに名前を呼んでみると、目の前の童顔女性は唇を立てながら見るからに思案顔をしている。表情が豊かなのが幸いして顔を見るだけで感情が察せられる。これは今後も楽にご機嫌取りが出来そうだ。


「今日ヴォルトは酷い事をしたやろ?そのバツとしてにゃかの事を“師匠”と呼びなさい♪」


「し、師匠ですか?」


指導を受ける立場なので師匠と敬えと言われるのは突拍子な事ではない。だが、見た目小学生の彼女を師匠と呼ぶのは周りの目が気になるところだ…。


「呼ばなかったら破門。一度呼ばれてみたかったんや。」


「よ…ろしくお願いします、師匠。」


「あぁ、弟子よ。これから頑張ろう…な。」


師匠ことプレイヤーネームnyakaは満足げの笑みを浮かべ、違う階に移動する用のテレポートをするために歩を進めながら手招きする。ヴォルトは周りの目を諦めて後をついていくことにした。


「待ってくださいよ!師匠!」


こうして傍から見ればガタイのいい男が少女に師事するというヘンテコパーティが出来上がった。



◇ ◇ ◇ ◇



にゃか先輩もとい師匠に現在のランクを聞かれたので「rank:70です!」と答える。おそらくランク戦を通じてコーチングしてくれるのだろう。

ブォン…!

凸凹ヘンテコンビはランクタワーの70階にテレポートした。ふと師匠が持つ見慣れないスキンの銃に目を惹れた。そういえばシャランガがRank:100になればオーダーメイドの銃を作れると言っていたな。師匠のファッションにベストマッチしている銃のスキンは、彼女のまごうこと無き強さを証明するモノでもあった。この様な限定特典を見ると欲しくなるのが男の子というもの、ヴォルトはRank:100へのモチベーションが高まった。


予想ではすぐにでもランク戦に放り込まれると思っていたのだが、師匠は意外にもフロアの端のベンチに腰掛けてカウンセリングを始めた。


「さて、ヴォルトの情報は大方遅刻しとる間に調べたんやけど、本人の口からも聞かんとな。()()()()()()()()の?」


いきなりの抽象的な質問に一瞬の間ができたが、ここ2日間で纏まりつつある自分の方針について簡単に伝える。


「とりあえず、もう負けたくない。これが第一ですね。そして、目立ちたい。この後の試合でチームが輝いていくならば、その中心に俺がいたいと思ってます。技術的な事は…、正直まだ理解が浅いですけど俺の身体能力を活かしたいです。」


「うん。了解〜。予想してた回答やわ。」


どちらかと言えば特殊な回答なのだが、彼女には予想通りだったらしい。俺が遅刻している間に調べたと言っていたが、そんな短時間で思考が読めるのか…?もしやこれが…心理学!?

と、安易な考えに至っているヴォルトはよそに師匠はメニュー欄をイジり、ある動画を2人の目の前に表示させた。


「これは、、、大会の時の俺の動画ですか?」


動画はビルの上で待機しているヴォルトを映し出している。そして、テレス先輩の煙幕とスキャンを合図に飛び出し、奇襲を敢行したが猛者であるBossの存在に気付かずに結果的には1vs3となり負けた。間違いない青山田高校戦の一幕だ。しかもヴォルトが引きずっていた場面である。


「この場面の貴方の最適解は多数の敵を視認した時に撤退する事やね。」


「そこは…、実況の人にも言われてたし理解してる。」


()()。それは常識的な考えから導き出される王道の行動。あなたの性格だと非常識や非凡とか好きそうだし、邪道を目指したいんじゃない?」


「!!!一言一句、仰る通りです。」


頭にアルミホイルを巻こうかと思うぐらい深層心理も含めて思考が筒抜けだ。気付かぬうちにヴォルトは正座で師匠の話を聞いていた。


「そんな孤高の道を進むヴォルトの心が楽になる2ポイントアドバ〜イス!」


「是非!お願いします!!!」


もはや周りの目など気にしない。師匠について行こうと決めた。例え、幼女の目の前で正座しながら目を輝かせている男というヤバい構図だとしても!


「Point 1。〝キルトレード〟という概念を知ること!」


「キル…トレード?」


「簡単に言えば死ぬ前に1人はキルしろってことね。太古から5vs5のタクティカルシューターは人数差が勝利に直結する事が多い、人数差が生まれないように味方が1人死ぬなら相手も1人殺すトレードを狙う考え方がキルトレード。その為にサポートが重要なのだけど、そこは貴方の仕事じゃないから説明は省くね。逆に考えれば、1人キルすれば貴方はノルマ達成、1人だけでいいって考えたら気が楽じゃない?」


「確かに、目の前の敵全員キルしないといけないって考えがありました。」


「動画を見ると、敵を視認した瞬間と2人と相対した瞬間にコンマ0秒動きが遅れてる。何か思考しているんやない?〝俺なら勝てる〟とか〝どう対処しようか〟とか考えてたんでしょうけど、さっきのキルトレードの話から考えると敵に相対した時にはまず無心に無理矢理にでも1人をキルする事。その後で思考するんや。」


「なるほど。とりあえず反射的に1人キルして、その後に残りをどうしようとか、逃げ道を探したりするって事ですね!」


「まぁ、にゃかみたいに並列的な思考ができる人とか、本能的に次の行動を察している人とかもいるから一概には言えないけど、貴方にはその考えがベストじゃない?意識はしてないだろうけど、貴方は二兎を追っている状態なの、それじゃ一兎も得れないから一兎ずつ狙って行こうって事。特に、仙ヶ谷にはシャランガが後に控えてるんだから1人さえ道連れにすれば何とかなるやろ。」


「最低限のノルマを最速でクリアした後に次を考える。」


「そう。コンマ一秒を争う銃撃戦の中で考え事なんて愚の極みよ、特に反射神経は相当いい方だから勿体ないやん。そして、次はPoint2。〝効果的な買い物〟をすること。ヴォルトはいつも何を買っているの?」


「えーと、アサルトライフルとオートアーマー、加速剤と隠密剤ですね。」


「オートアーマーは置いといて他に改善の余地があるわね。」


「でも、この買い方はシャランガに教えて貰ってて…。」


淡々と講義の様に話していた師匠の口が初めて止まり、少し厳しい顔をした。


「厳しいこと言うけど、シャランガは貴方を()()()()している。今の買い方はまだ時期尚早。」


基本的に否定をしなかった師匠が初めてネガティブな事を言った。特に、過大評価という言葉に自尊心が高いヴォルトは少し引っかかった。楽しげだった雰囲気が徐々に冷え込んでいく。


「自分が未熟者なのは理解してますけど、過大評価という言葉はあまり心地よくないですね。」


「それは悪かったわ。言い方を変えると貴方のレベルが低いんじゃなくて今の買い方のレベルが高すぎるの。加速剤や隠密剤は自身にバフをかけるもの、逆にフラッシュや煙幕は相手にデバフをかけるものでしょ?頭一発でゲームオーバーのBFカルナバルでは1vs多数の場合無策では1側に勝ち目はない。その状況打開の為に自分にバフをかけるか相手にデバフをかけるかの選択ができる訳だけど、圧倒的に後者の方が有効打になる可能性が高い。1vs4で自分を加速するのと周囲に煙幕を焚くのとを比べるとどちらが有効的かは一目瞭然でしょう。」


「でも、師匠の言い方的にレベルが高ければ自分にバフをかける人もいるんですよね?なら俺は今のままでいいです。」


「ええ、貴方のチームのSusano(スサノ)さんの師匠である剣道の覇者Ryu(龍造寺 右京)が所属する世界No1チームのガンナーBabyAiM(ベイビーエイム)は今のヴォルトと同じ買い方をしているわ。というより、シャランガが憧れのBabyAiM(ベイビーエイム)と貴方を想い重ねているからこそ同じ買い方を暗に薦めたんでしょうけど、にゃかから見ればヴォルトにはまだ早い。」


「世界一が今の自分と同じなら尚更今のままでいいです。世界一と同じ買い方で活躍すれば話題になって目立つでしょうし。」


「貴方、頑固ね。知ってたけど。」


「はい。頑固です。知ってるでしょうけど。」


大学生として大人の世界と接点のあるにゃかとMeTuberとして大人の世界を経験しているヴォルトはお互いに大人の笑顔で微笑みあった。

ヴォルトは自分を押し通す事を決めた手前、自分の買い方が世界一同じだが難しいという難題から逃げたくないみたいです。

次で可愛い天才がなんとかする…はずです。



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