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Green Youth ⑤

スサノが復活するまでの30秒…、いったい何が?


‐青山田高校・Boss視点‐


作戦を成功させ、2vs2まで追い込んだ。だが、白仮面は剣士…、蘇生する。ならばそれまでに優位を作り出す。


「4SU!決めるぞ!」


『OK!』


喋る時間すら惜しい。いち早く状況を変化させ、彼女の蘇生を無力化する!

実際、対剣士の策略として1キル後に大きく状況を変化させることが有効とされている。そして、状況変化に最も有効なスキルをヘビィーガンナーは持っている。


「スキル装填!GUSTAV(グスタフ) CANON(キャノン)!!」


スペシャル・ワン“ヘビーガンナー”のスキルはグスタフ・キャノン。最強の大砲を冠したこのスキルはゲーム中屈指の殺傷能力を誇る砲撃を一発放つことができる。ゲームリリース初期には砲撃によって確実にキルする手段として用いられた。

だが、FPSプレイヤーは日々進化していく。2年前にアメリカNo1チームが人ではなく建物に放ったことで常識は一変した。そこから生まれたのが現在の主流…()()()()()()()()()()()()()()()()()()

スナイパー優位の高台をマップから取り除くと共に、上層階にいる敵には落下ダメージ、下層階にいる敵には瓦礫によるキルも期待できる。


Bossはグスタフ・キャノンを顕現させると躊躇いなくシャランガのいるマンションAへと砲弾を放った。


挿絵(By みてみん)


砲弾は綺麗な軌道を描きマンションに直撃し爆裂する。成功した爆破解体…とまでは言えないが、意外にも上から押しつぶされた様に崩れ落ち始めている。


『流石、Bossさん!綺麗な崩しですね。』


「まぁ、日頃からの積み重ねだよ。」


砲撃で建物を破壊する。言葉にすれば簡単に聞こえるかもしれないがが、実際には一朝一夕でできることではない。少しズレれば崩壊しないし、運悪く味方を巻き込むなど言語道断だ。だが現実世界とは違って、ゲーム内の電脳世界では何度でも同じ建物を壊せる。トライ&エラー。幾度も微調整を繰り返して精度を高めていた。それ故の今回の成功、やはり彼はフロア100に到達済みの猛者なのだ。


「4SU、シャランガを今度こそ撃ち抜いてくれ。私も橋を渡る!」


『確実に決めます。』


マンションの崩壊によってシャランガの射線をひとまずは気にしなくていい。それでもBossは警戒しながらX橋を渡り始める。4SUも土手Aから再度身を乗り出し崩れ落ち続けているマンションに敵影を探す。




‐仙ヶ谷高校・NitoO(ニト)視点‐


マンションが砲撃を受けた事はシャランガからの報告で把握している。ニトはマンションの1階にいたので出入口からの避難が容易…だが敵のスナイパーに出入りを見張られている可能性を考慮しなければならない。彼女はスサノの様に射線スコープを装着していないし、装着していたとしても避けるだけの身体能力を持ち合わせていない。現在の状況でキルされれば仙ヶ谷高校は詰む。故に安全策を採用し出入口に煙幕を焚こうとバックパックに手を伸ばした。しかし…。


徐々に崩壊のスピードを上げていたマンションの瓦礫が一階にも到達し、運悪く彼女の左足を押しつぶした。



(くそっ、なんて運の悪さ…、身動きが取れない。)


彼女は悔いる。活躍もなく瓦礫で圧死する未来に。

彼女は悔いる。試合に敗け決勝ラウンドに行けない未来に。

彼女は悔いる。大好きなヴォルトとチームメイトではなくなる未来に。



(そんなの嫌だ。こんな未来は藻掻いてでも拒否する。私は…私は…)


「まだ死ねない!!!」


ニトは手の届く範囲にあった肩幅ほどの瓦礫を自身の左足に叩きつけた。痛みはない…が簡単に決断できることではない。彼女の想いの強さが行動をさせた結果だった。

左足が光の粒子になって消えていく。失った足の代わりにアサルトライフルを杖にして起き上がる。


上からは瓦礫、でも死ねない。

フラフラと外を目指して歩いていく…、頭もボーっとしてきた。意識がもうろうとしている彼女の耳に()()()()()が届いた。走馬灯ではない…はっきりとスサノの声がした。


「ニトちゃん!ただいま!今どういう状況?」


あぁ、蘇生してきたのか。この危機的状況を脱する光を見つけた気分だった。


「おかえり…スサノさん。簡単に言えば死ぬ寸前…最悪のタイミングね…。」


「ニト…ちゃん??」


「でも…、こんなところで私は死ねないの…負けられないの…私を助けて。」


悲痛なニトの叫びに脳よりも先に体が動いた。そのまま加速したスサノは左腕でニトを抱きかかえた。間一髪…あと0コンマ数秒遅れていれば再度瓦礫の下敷きとなっていた。





スサノは人を抱きかかえているとは思えないほど俊敏な動きで瓦礫を避けながら出口へと向かう。情報整理の暇すらない緊迫した状況での蘇生を果たしているので、彼女はスナイパーの警戒が出来ていない。

そのことに気付いたニトは耳元で囁く。


「スサノさん…、このまま出口から顔を出してはダメ。スナイパーに気を付けるの。」


考慮していなかった事柄を思い出し、出口へ向かっていた足は90度向きを変えた。その先にあるのは壁だけだ。


「どこに向かっているの?そっちは出口じゃない…、私のカバンに煙幕があるから、それで…。」


「大丈夫。()()()()()()()()んだよ。」


「え?ちょっと?キャッっっ!!」


スサノは壁に接近するとニトを天井に当たらぬギリギリの高さまで放り上げる。両手が開いたことで抜刀…両手に力を込めて壁へと深い斬り込みを入れる。素早く鞘へと刀を戻し、落下中のニトを再度キャッチした。


斬り込みをいれた壁を思いっきり右足で蹴りつけて壁を壊し、崩壊するマンションからの脱出を果たした。ニトは呆れ顔で抱きかかえられていた。


「あなた…、本当に人間?」


「この前も言ったでしょ?人間だって、日本一の!」


ボソッと「世界一ではないけどね…」と言ったのは無視しよう。また泣きつかれると面倒くさいし。


2人はなんとか危機を脱することができた。


スペシャルワンのスキル一覧。

①ボマー

ボルケーノスモーク→広範囲のスモーク

②剣士

ゴーストスレイヤー→蘇生(情報収集可)

③ヘビーガンナー

グスタフ・キャノン→強力大砲(建物破壊可)

④???

????????→????

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