Green Youth ③
ヴォルトの大失敗を受け、両校は?
‐仙ヶ谷高校・モニタールーム(死者の部屋)-
キルされたプレイヤーは別部屋に転移される。ヴォルトは全員の様子をモニターで確認できるが、会話したり助言することはできない。
「失敗したー!!調子に乗って勝負を仕掛けたのが間違いだった…」
彼はキルされた後に「奇襲が相手に漏れていると感じた場合は一度テレス先輩に相談してくれ。」と言われていた事を思い出した。
「やべぇ、やっちまった…」
ヴォルトは悔しさで口を歪ませながら仲間の勝利を祈る。
-仙ヶ谷高校・Susano 視点-
彼女が助けに向かう寸前、ヴォルトがキルされたアナウンスが知らされた。作戦は失敗だ。
「テレス先輩!どうしますか?」
「折角の人数有利を無くしたのは痛いですが、これ以上無茶はできません…。撤退しましょう。」
テレスは堅実な考えだ。人数不利は今後の展開に大きく響く…これ以上の犠牲を出すべきではない。
だが、スサノはこのまま撤退するのは避けたかった。せめて、スペシャルスキルの発動条件である1キルをもぎ取りたい…。
「テレス先輩……、私に4秒だけチャンスをくれない?」
「4秒…?あっ、フラッシュですね。」
4秒はフラッシュを食らった際に視界不良になる時間だ。スサノはフラッシュによって敵の視界に映らない4秒の間でキルをして帰ってくるという提案をした。
テレスはスサノの提案を精査する。
リスクは大きい。スサノはスペシャルワンだ、彼女がキルされれば戦力大幅ダウンだけでなく蘇生のスキルも使えない。
だが、それ以上にリターンが大きいと考えた。1キルをすればスペシャルスキルの使用条件を満たせる。これからの状況で一度蘇生できるのは美味しい。しかも、ヴォルトとは違いサポートできる自分がこの場にいる。
「やりましょう!ですが3つ条件があります。
1つ目、スサノさんの持っている煙幕をこの場所に展開して下さい。そうすればフラッシュ後の撤退先に使えます。
2つ目、時間管理は僕がします。僕が名前を呼びかけたらどんな状況でも煙幕内に逃げ込んで下さい。
3つ目、僕も一緒に勝負を仕掛けます。僕のハンドガンでアーマーを壊すので一刀でキルを勝ち取って下さい。」
テレスが付け加えた条件を簡潔にいえば「より安全に、単独ではなく2人で」。これ以上人数を減す訳にはいかない…1人キル出来たとしても2人が生存できなければこの作戦は失敗だ。
「ありがとう。絶対に成功させよう!」
「はい!後6秒で敵周辺に焚いた煙幕が消えます。そのタイミングでいきましょう。」
「了解〜!」
さて、失った優位を取り戻そう!
敵の煙幕が消える直前、スサノは自分の周辺に煙幕を焚く。敵視点から見れば煙幕が消えたと思ったらさらに奥にもう一つの煙幕が焚かれている状況だ。
一呼吸おいた後、テレスは煙幕内から煙幕外へフラッシュ爆弾を投げ込む。それと同時に2人は煙幕の外へ飛び出た。
目眩ませは成功…敵3人を視認する。
視界不良時間はたった4秒だ。
1…
「テレス先輩!右の敵!」
スサノは1番距離の近い敵を狙うべくテレスに指示を出す。テレスは敵へ向けてハンドガンを発砲。
2…
テレサの放った弾丸は敵のガンナーRinのオートアーマーを破壊した。スサノは彼女の元へ距離を詰める。
3…
気配で勘づかれぬよう物音を最小限にスサノは近づき、刀を振りかぶる。テレスは3秒経過を確認。「スサノさん!」と撤退を促す。
4…
スサノは剣を振り下ろし、無防備なRinを斬った。そして、余韻に浸る暇もなく煙幕内へと戻っていく。テレスはも煙幕内へ帰陣済みだ。
【Susano killed Rin】
-青山田高校・Boss視点-
視界が正常に戻った青山田高校・Bossが目にしたのは、真っ二つに斬られ光の粒子になっていく味方と、煙幕に入る瞬間のスサノの姿だ。
「ちくしょう!逃すかよ!」
Bossは自身のマシンガンを煙幕に向けて連射する。1マガジン100発の弾丸を乱雑に煙幕内に掃射する。山勘での掃射とはいえ100発、キルはできずとも敵のアーマーを削れたと信じたい…。
だが、敵が撤退したのは確実。一度体制を立て直す為にBossとGoApはマンションBへと入った。
-仙ヶ谷高校・TeLeS視点-
スサノさんの煙幕内へ避難が0.1秒遅れた…、敵はスサノさんを視認できた筈だ。敵はヘビーガンナー…確実に掃射してくる!
「スサノさん!後ろを見ずに真っ直ぐ走り続けてスポーンの物陰まで撤退して下さい。」
予想通り、Bossは煙幕へ向けて乱雑に掃射を開始した。今後の展開の為には、スサノさんは無傷のまま残したい。ならば、僕が盾になるべきだ。
撤退しながら後ろを確認する。乱雑に発砲され続ける弾の弾道で敵の位置を予測し、その地点とスサノとの間に自分の体を入れ、マニュアルアーマーを設置。これでスサノに直撃するまでアーマーとテレスの肉盾がある状態になった。
数メートル走った所で弾が2発飛んできた。
1発目はマニュアルアーマーが防いだが、もう一発がテレスの身体へと直撃…だが致命傷では無い。
2人は煙幕が消える直前にスポーン付近の物陰へ逃げ帰った。これで安全圏への帰還を成功させた。
1キル奪い、2人とも生きている。
作戦は成功だ。
2人はハイタッチで喜びを共有した。
-青山田高校・Boss視点-
青山田高校は残りBoss、4SU、GoApの3人。人数不利ではあるが主力の2人が生き残っているのは大きい。一旦、作戦会議をするべくスナイパー4SUとトランシーバー越し会話を開始した。
『黒仮面を倒せたみたいで何よりです。』
「だが、白仮面剣士に無理矢理1キル取り返された…。やられたよ、あの場面で勝負を仕掛けてくるとは思わなかった。」
『油断って事ですか?』
「黒仮面の近くに白仮面がいる可能性が高いと予想はしていたんだが、想定以上に実力がある。あんな短時間に一方的にキルを持ってかれるなんて龍造寺の爺さんかってレベルよ。」
『あの世界一の爺さんレベル…。』
スサノはいとも簡単にキルを奪って帰ったのだが、Boss視点からみれば声と銃声以外の音なく気付いたら仲間が倒れているような状態だった。画面越しに見ていた世界大会決勝での龍造寺右京のプレイングの目にした時以来の衝撃だ。
スサノは…いや、月城八都寧は龍造寺右京の最後の弟子。彼と一挙手一投足が似ているのは必然なのだが、青山田高校のアナリストといえど調べる事はできなかった。
『それほど脅威なら先にキルした方が良さそうですね。』
「あぁ、しかも剣士には蘇生がある。早いうちに1度目の死を与えたい。」
『白仮面狙いといきますか…』
「お前の場所からならシャランガの射線に入らずに裏を取れる筈だ。こっちからプレッシャーをかけて追い込むから仕留めてくれ。」
『シャランガを仕留め損ねた汚名を晴らしますよ!』
「期待している。」
青山田高校はSusanoに狙いを定めた。
めちゃくちゃ久しぶりに名前が出たのでリマインド!
龍造寺右京
元剣道界無敗の英雄にして、八都寧の師匠。現在は世界No1チームで活躍する最強のお爺ちゃん。
八都寧は彼と戦う為にBFカルナバルを始める決断を下した。




