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Green Youth ②

ついに試合開始!

「皆さんこんにちは。本日、実況を務める嬉野です。そして!」


「解説の多気です。」


NF杯は注目大会故に予選の段階から実況解説付きの放送がされている。全試合ではなく、ファン投票で選ばれた数試合のみの放送である。

だが、強豪青山田vs革命世代〝精密機械〟シャランガという好カードが選ばれない筈がない。


「多気さん…、この対戦はCブロックの命運を分ける戦いといっても過言ではないですよね?」


「強豪枠に入るべき革命世代のシャランガが転校した故に予選からこんなカードが実現しましたからね。Cブロックだけでなく予選全試合の中で最注目ですね。」


去年の大会で上位に食い込んだチーム同士が予選で争わない為の強豪枠。本来ならば強豪・青山田が予選で脱落することはない。だが、シャランガの転校先仙ヶ谷高校が一般枠として参加しているが故の今回の好カード。注目度が高まるのも無理はない。


「ですが仙ヶ谷高校は去年予選敗退のチームですよね。彼1人が参戦しただけで変わるものですか?」


「革命世代は1人でゲームバランスを崩壊させる程の力を持っています。彼が存分の活躍ができれば強豪相手と言えど勝利の可能性はありますよ。しかし、仙ヶ谷高校の新加入2人のデータを見たところ未だフロア60台なんですよねぇ〜…。正直言って革命世代の仲間としては役不足です。もっといい人いなかったのかな?」


「ランクが全てという訳ではないですが、60台というのは確かに低いですね。ですが、身体能力が現実世界とリンクしているBFカルナバルだからこそあり得る一芸に秀でた人かもしれませんよ?」


「あー、去年もありましたね。去年はめちゃくちゃ足が速い人でしたっけ?ですが私はそこまで期待はできません。」


「彼らが前評判を裏切ってくれるのか?それともただの人数合わせなのか?にも注目ですね!」


「はい。楽しみです。」


「それではまもなく試合開始です!」



◇ ◇ ◇ ◇



【NineFoxCup 予選Cブロック 第一試合】


【仙ヶ谷高校vs青山田高校】


【Flashラウンドを開始します。】 ※前半


カウントダウン開始

5…4…3…2…1…  

戦いの始まりを告げる警戒音が鳴り響く。


-仙ヶ谷高校視点-


「作戦通り二手に分かれましょう!」


5人はB側のスポーン地点から二手に分かれた。


挿絵(By みてみん)


ヴォルト、スサノ、テレスはマンションBへ、

シャランガ、ニトはマンションAへと向かう。


「シャランガさん、Y橋の敵へちょっかいお願いしますね!」


-仙ヶ谷高校・SharangA視点-


「了解。侵攻を遅らせますか。」


シャランガに課せらせた最初の任務…、ヴォルト達3人が無事に潜伏を完了するまでY橋を渡る敵を留める事だ。X橋を走るシャランガとニトはY橋を渡る敵を4人視認した。マップの端と端に当たる橋間の距離は優秀なスナイパーですら動く敵を仕留めるのは難しい。


だが、忘れては行けない。

シャランガは革命を成し遂げたスナイパーだ。


走っていたシャランガは1秒足を止めスコープを覗き込み、引き金を引く…


銃弾は放たれた。


その行く末も確認せずにマンションAへと歩を進める。




-青山田高校視点-


「では、スナイパーの4SUだけを残してマンションBに襲撃しにいこうか。黒仮面対策は覚えてるね?」


チームキャプテンのBossは青山田高校の誇るアナリスト達が立案した作戦を決行せんとしていた。


「はい!大丈夫です。」

「本当に屋根に登るか未だ疑心暗鬼ですけど。」

「白仮面の剣士どのくらい強いんですかねぇ。」


「うん。作戦通り行動すれば私達の勝利は確実だ。自信を持っていこう。じゃあ4SU、頼んだよ。」


「おう!確実にこの射線でシャランガを仕留めてやるよ。」


格上のスナイパーに撃ち勝つ手段の一つ〝置きエイム〟。敵が必ず通るであろう場所に最初から照準を合わせておく事だ。敵を視認した瞬間に引き金を引くだけ…、これで確実に1キルをもぎ取る。

4SUは自スポーンに潜伏しX橋からマンションAに入る瞬間を狙い続ける。



-青山田高校・Boss視点-


彼らは出来るだけ不規則な動きをしながらY橋を渡っていく。味方のオフィサーの報告からX橋を渡る敵を確認しているが無視をした。1発で仕留められる距離ではないし、何より作戦の為には橋を最速で渡りたい。当たる可能性の低い的に構うより作戦の遂行を重視したBossの決断だった。


Bossは走りながら遥か先のX橋を視界の端に捉えていた。X橋を走る男がほんの一瞬立ち止まり、銃声がした。


「Bossさん、此処で橋の半分です。作戦通りに行動できそ…………、、、」


Bossの後ろを走っていたオフィサー・plenTの声が急に途切れた。


【SharangA killed plenT】


声の途切れ、アナウンスによりBossは振り返るとオートアーマーを装着していた筈のplenT が倒されていた。

Bossは瞬時に理解した。

視界の端に写った男がシャランガだったのだと!

シャランガが止まったほんの一瞬の間に狙いを定め、動いているplenT の頭を正確に撃ち抜いたのだと!


「思った以上の化け物だな!革命世代は!」


強敵との対戦にBossの士気は上がったのだが、突然の出来事にチームメイトは困惑してしまった。士気を立て直さなければ。


「安心しろ!あの化け物をキルする為に4SUは恥を捨ててまで置きエイムをしている!ヤツに飲み込まれるな!」


改めてシャランガの恐ろしさを身に沁みて感じる。たった一発の弾丸でチームの士気が下がりかけたのだ。1人で戦況を変える力を革命世代は持っている…、前評判は嘘じゃない様だ。

だからこそ、頼んだぞ…4SU。お前の力が革命世代以上だと世の中に知らしめてやれ!


先程の1キルでY橋を渡るBoss達は安全ではないと理解した。それ故に貴重なスモークを使ってまでシャランガからの射線を消し、橋を渡った。




-仙ヶ谷高校・SharangA 視点-


彼がキルをした直後、敵はスモークを焚き射線を切った。中々素早い良い決断だ。敵の指揮官は歴戦の猛者なのだろう。シャランガはこれ以上のちょっかいを諦めた。


「シャランガくん…、今の一瞬でキルしたの?」


「うん。1人だけ規則的なヤツがいたから狙えた。」


青山田高校は不規則な動きによって万が一を防ごうとしていた。だが、オフィサーであったplenTは他事を思考した故に、上下動やスピードの加減速をしていたのだが規則的にそれを行っていた。

そんな些細な隙をシャランガは見逃さなかった。


別行動をしている3人からトランシーバー越しに報告が入る。


『こっちは配置を完了した。ちょっかいお疲れ!』


『ちょっかいがキルになるなんて凄すぎますけどね…』


『シャランガ君がとてつもなく凄いのは最近理解してきた。』


「おう。そっちが間に合ってよかったよ。俺たちは手筈通りにマンションAに登る。最上階に着くまで3人で頑張れ!」


『頑張ります!』

『りょー!』

『頑張るね!』


トランシーバーでの通信は途切れた。

出だしは順調だ。しかし、此処で隙を見せる訳にはいかない。先程感じた違和感をニトにぶつける。


「ニトさん…、橋渡ってた敵って4人だったよね?」


「4人見えたね。」


「その中に長物スナイパー持ちいた?」


「うーん…、確実な情報ではないけど居なかったかなぁ。」


姿を見せていないスナイパー。

自身の強さ故に敵に何度もされた置きエイムをされている可能性が高い事を瞬時に感じ取った。これは確信ではない、勘だ。しかし、彼らの様な経験の積み重ねから導き出される勘の精度は無視できない。


「ニトさん。確定じゃないんだけどさ、マンションAに入る瞬間を狙われてる気がするからスモーク焚いてくれません?」


「そうかな?まぁでも、シャランガくんが言うなら従うけどさ。」


ニトは煙幕を展開した。すると、敵の銃声が響いた。潜伏してエイムを置いていたのにスモークで遮られ、一か八かの可能性に賭けてで撃っているのだろう。


「え、本当に敵がいたじゃん…。」


「勘が冴え渡ってた。」


2人は敵のリロードのタイミングを待ち、安全にマンションAへと入っていった。


ここまでのシャランガの動きに点数をつけるならば100点。それ程完璧なムーブをしていた。



-青山田高校・Boss視点-


『すまない。シャランガにマンションAへの侵入を許した…』


4SUから作戦失敗の報告を受けたBossは作戦の変更を余儀なくされた。


「ヤツが最上階に到達する前に4SUは別の場所に移動してくれ、上手く行けば挟み撃ち出来るかもしれない。」


『了解。シャランガってエイム猛者というイメージが先行してたけど、冷静な状況分析も出来るタイプでしたね。やはり、以前の練習試合は本気じゃなかったのか…。』


「彼には想定していた以上の警戒が必要だ。気を引きめて行け。こっちの作戦は事前の取り決め通り行なう。」


『影響はないですもんね。了解です。』


4SUが仕留め損なった以上、対黒仮面作戦を失敗する訳にはいかない。気を引き締めて歩を進める。



-仙ヶ谷高校・VAULT 視点-


ヴォルトはマンションB付近の家の屋上に潜伏していた。敵が来た気配を感じた瞬間、スサノ達と合わせて奇襲を仕掛ける算段だ。


敵の声が聞こえてくる。


「彼には想定していた以上の警戒が必要だ。気を引きめて行け。こっちの作戦は事前の取り決め通り行なう。」Bossの声が確実に耳に届いた。


「スサノ、テレスさん聞こえる?」


『うん、聞こえてる。』

『こちらはいつでも行けます。』


「敵の声が聞こえた。そろそろいこうか。」


『はい。では煙幕を投下します。』


今回の奇襲の順序はこうだ。

まず、煙幕を敵の周辺に投下。その後テラスがスキャンをする事で、敵が狙われていると誤認させる。その慌てたタイミングでヴォルトが登場、奇襲をするという形だ。


テレスは手際良く煙幕・スキャンを済ませる。


さぁ、ヴォルトの出番だ。


ヴォルトは起き上がり、屋根から下の道路に飛び降りた。ではでは、予想外からの奇襲と参りましょうかぁ!!


だが、異変が起きていた。煙幕内にいると思っていた敵の2人が外に出ており、銃口をヴォルトに向けている。


バレてる!?

脳裏をよぎる一瞬の不安…

()()()()()()()()()()()


瞬時に悟ったヴォルトは敵の発砲音に合わせ自身に加速剤を打ち込み、前へ進んで完全に地上へと降りた。ふぅ、これで何とか避けた!

さて、どう対処しようか?

目の前の2人へ集中力を割いたとき、意識外の方向…右側の煙幕内から声がした。


「黒仮面……、お前は詰んでる。」


突如煙幕からマシンガンを持った男が現れ、無数の弾丸をヴォルトに撃ち込んだ。対抗しようとするのだが、完全に裏をかかれたヴォルトはなす術なく崩れ落ちた。


【Boss killed VAULT 】


作戦は大失敗に終わった。


失敗した理由。

それは勿論情報が漏れていたからなのだが、もう一つ致命的なミスがあった。

それはヴォルトが奇襲がバレていると悟った瞬間だ。彼はバレてると悟った瞬間、加速剤を打ち勝負を仕掛けた。これが大きな間違いなのだ。普通、情報の漏れを知れば一度引き立て直す。だが、ヴォルトは自分の実力を過信し、罠の張り巡らされた場所に無策で突っ込んだ。しかも、ヘビーガンナーのマシンガンによる連射によってなす術はない。


マシンガンは連射速度・1マガジンの弾数共にアサルトライフルのそれを上回る。初撃で仕留めれなければ、ジリ貧になるのはアサルトライフル使いだ。


ヴォルトの瞬間的な選択のミスによって、シャランガが作り出した優位はなくなった。




要求以上の仕事をこなし、危険にも事前に対処するシャランガと、作戦を大失敗させたヴォルト…

経験の差なんでしょうか…



青山田高校の人達はヴォルトとスサノの事を黒仮面・白仮面と呼んでいましたが、試合で実際に彼らが仮面をつけていた訳ではありません。

事前のビデオミーティング等でプレイヤーネームではなく白・黒仮面と呼んでいた名残です。


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