ランクタワー
初陣を勝利した3人は…?
【今回のリザルトが表示されます。】
VAULT 2キル1デス
Susano 2キル1デス
SharangA 2キル0デス
「初陣勝利!よっしゃ〜!!」
「やったね!一歩目でコケるとか嫌だったから一安心だよ〜」
「まぁ、俺がいる時点で負けはないだろう。」
「また自信過剰…でもないか?素直に言うとお前の安心感ヤバかった。」
「まぁな。」
「ねぇ!私の安心感は?」
「ヒヤヒヤした。」
「日本一なんですけど〜??」
3人は試合前にいた控え室に戻ってきていた。勿論、eスポーツ部の3人も…。
「盛り上がってる所悪いんだけど、話していい?」
「ニトちゃん!勿論いいよ!」
「約束通り、あなた達に今度の大会…NF杯の出場権は譲るわ。だけど1つ条件がある。」
「条件?負けたのに条件付けるのか?」
おい、シャランガ…喧嘩売る必要はないんじゃないか……。
「さっき私達のチームでオフィサーをしてくれてたTeLeSくんも出場させて欲しい。彼はこのeスポーツ部には珍しいBFカルナバル一本の部員なんだ。」
「だとさ、シャランガ。どうすんの。」
「あっ……!」
「え?どうした?深刻そうな顔して…。」
「他の2人どうするか決めてなかった…。オフィサーなら是非頼む。もう1人はガンナーか…どうしような…。」
「え?まさかの無計画!?」
「5人のゲームなのに、残りの2人はどうすんのかなぁって気になってたけど、まさかの考えてなかっただけってオチですかぁ〜?」
「うん。考えてなかった。」
「と、ともかく。TeLeSくんを宜しくね。」
「宜しく!僕は2年生だから君達の先輩だよね?足を引っ張らないように頑張るよ。」
「無計画チームですが、お願いしますぅ……。」
「まぁ、情報集めは僕に任せてよ。それと今はガンナーを探してるんだよね?」
「そうだ。心当たりはあるか?そこの筋肉男でもいいんだが…」
「僕は部長を推薦するよ。部長は僕の次にBFカルナバルを真剣に取り組んでくれてる。今回はスペシャルワンだったけど、ガンナーの経験もある。ピッタリじゃないかな?」
「え、私!?」
テレスはニトにウィンクをする。あ、こいつ私のヴォルトくんへの恋心が知ってるのか?アシストしようと?
「確かにさっきの試合の動きは悪くなかった。ぜひお願いしたいが、いいか?」
え、私がヴォルトくんと同じチームで大会に出るの?そんな幸せなことある!?
「勿論!私、頑張るわ!!」
筋肉男・キャッスルは優しい笑顔で見つめている。彼もニトの恋を知っているのだろうか。
こうしてNF杯に出場する5人のメンバーが揃った。
SharangA、VAULT、NitoO、TeLeS、Susano
仙ヶ谷高校eスポーツ部はエントリー申請を送った。
◇ ◇ ◇ ◇
その後、5人は解散したがヴォルトはスサノとシャランガにゲームに残るように言われ、ログインしたままだ。
「もう試合終わったよね。なんでまだゲーム内にいるの?早く帰ろうぜ。」
「ダメです。ヴォルトくんは街すら行ってないんでしょ?そんな状態で大会出るとか頭おかしいよ。」
「俺も伝えたいことあるし、街に行くか。」
街。
正式名称はウォーダウンシティと呼ばれるBFカルナバルプレイヤーがゲーム内で日常を送れるコンテンツが多数存在する場所だ。街の中でも一際存在感を放つのは中央の巨大な塔〝ランクタワー〟だ。
「なんだあの塔でっか!」
「あれはランクタワーだ。日々、プレイヤーが最上階を目指して凌ぎを削ってる。」
「へぇ〜、今度行ってみようかな。」
3人は塔がよく見える場所にあるカフェのテラス席に座り、コーヒーを啜る。スサノがねだったのでゲーム内通貨を多く持つシャランガがケーキもご馳走してくれた。因みにヴォルトがモンブラン、スサノがティラミス、シャランガがショートケーキだ。
ただ優雅なティータイムを過ごしている訳ではない。作戦会議が始まった。
「さっきのeスポーツ部との試合でヴォルトとスサノの弱点が明らかになった。」
「ほう。なんだ?」
「結構良かったと思うけどなぁ。」
「2人に足りていないもの…それは経験だ。」
シャランガの言う事は正しい。現に先程の試合もヴォルトがトランシーバーの存在を知らなかったり、全ての動きにシャランガの指示を伺っていた。経験不足は否めない。
「まぁ、圧倒的経験値不足なのは認めるしかないな。」
「ゲーム始めてまだ数日だしね。」
「大会で戦う為にはもう少し経験して欲しい。だから、これから2週間でランクマッチに挑戦してくれ。」
「大会って3週間後だよね?チーム練習とかしなくていいの?」
「主力であるお前らのレベルアップが最優先だ。2週間後…つまり1月28日までにランクマッチでフロア50になるんだ。」
ランクマッチの仕組みは簡単だ。初心者はフロア1から始まり、同じ階からランダムに集められた5人でチームを組み試合をする。そして勝てば1つ上の階に…これを繰り返して100階を目指すのがランクマッチだ。勿論、降格もある。
シャランガが提示した目標はフロア50。つまり、最低でも50回の試合が必要となる。
「そのぐらいの武者修行…大会に出るならやるべきね。」
「さっきの試合みたいなのを50回…途方もなく感じるなぁ。」
「ランクマッチは2人までならパーティーで参加できる。2人で仲良くやってくれ。」
「「OK/はーい!」」
「あ、それと出来るだけ目立たない様に頼む。大会前に目立つのは得策じゃない。動画投稿もできれば少なめにして欲しい。」
「ま、大会前だしそのぐらいの対応はするよ。」
「こっそりとランク上げてくるね。さっそく行こうか、ヴォルトくん。」
2人はランクタワーに向けて歩き出した。シャランガはゲームの中でもカフェオレを飲んで優雅にしている。
◇ ◇ ◇ ◇
ヴォルト、スサノは2人で100階建ての塔…ランクタワーを見上げながら歩いていく。
「あれの50階を目指すのか。駅前のビルより高いぞ。」
「私は剣道部のお休み貰ったから大丈夫。ヴォルトくんは?」
「1日休み貰えれば貯め撮りしておくよ。」
「おっけー!2人でパーティ組んで頑張りましょう。後は、どうやって目立たない様にするか…だね。」
「お、仮面屋さんがあるじゃん。買ってく?」
ランクタワーへ向かう道の途中にあった仮面屋が目に入った。
「顔隠して挑む…、目立たなそうね。買いましょうか。」
2人はそれぞれ仮面を購入した。
ヴォルトは黒色の仮面で右目以外は完全に隠されている。口の場所には牙が描かれている。
スサノは白色の仮面で口元だけを隠すタイプだ。笑った口元が描かれているが、逆に怖い。
それぞれ顔を隠し、2人はランクタワーに挑む。
さぁ、楽しい楽しい特訓だ。
ウォーダウンシティの北側にある領主の館に行けばノーマルマッチ(ランクではない試合)が楽しめる。他には東側にあるギルドではカスタムマッチ、西側にあるコロシアムでは1vs1の戦闘コンテンツ、そして南側にある門を潜れば射撃練習場がある荒野へと行ける。
ランクタワーは80階までは昇格戦に勝つだけで上の階に進めますが、それから上は別の基準で階上に進みます。