去りゆく女
マーブルはゴルドから話を聞く間…何度も驚いた素振りを見せて…涙を堪えて…そして頭を下げた。
…全ての説明が終わった後、彼女は疲れたというよりは放心状態に近いと言った方が良いのだろうか…
弟が国外追放となって、再び…禁じられている類の召喚獣を召喚して…
自ら呪いの犠牲となり…バビロナの丘で石像となっている…
彼女にはにわかに信じられなかった…
…が、色々な事を思い返してみると全てに於いて合点が上手くいく…
テラゾーのアイテムを使って調べたことにも…
消息の手掛かりがまるで浮かんでこないことにも…
「…これで…全てじゃ…昨日も君と話した通り…全ての責任はワシにあると思うとる…」
「いいえ…そんな…
ただ…お話を伺って、ゴルド様に失礼なのは十分に承知しているつもりですが…正直未だに信じられないです…
弟は辛さから行方を眩ませたとばかり…
それが他国を侵略し、ジュエラ王を騙り…皆様に多大なるご迷惑をかけていただなんて…
そして自分の召喚した召喚獣の呪いにだなんて…
…ああ…な、情け無い…
「理屈じゃない」だなんて言ってしまって…
わ、私…ゴルド様のお顔を真っ直ぐに見ることが出来ませんわ…」
「…決して君は悪くない。
婿殿もワシにそう話しておった…」
「優也様が…⁉︎」
「そうじゃ。理由はどうあれ…お主の大切な人を傷つけてしまったのなら償わないと…とな…
アレはそういう男じゃよ…」
「そんな…私…そんな事を言ってもらえる資格も何も無い…」
マーブルの目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる…
「私は…私のワガママでテラゾーまでも呪いの犠牲にしてしまう所だった…
そんな私達を…ゴルド様や優也様…
皆様で助けて下さったのですわ…」
…ガタンッ!!
椅子から立ち上がり…部屋を出て行こうとするマーブル…
「ど、何処に行くんじゃ…⁉︎」
「…今は…まだ分かりません…
こんなことをしておいて…
のうのうとジュエラで暮らす事なんて…
…私には出来ませんわ…
…失礼致します…」
…ガチャッ…
部屋を出て…王宮から去ろうとするマーブル…
ふと振り返って…巨大な王宮を見上げる…
昨日の事を思い出す彼女…
……テラゾーのした事だから責任は私にあるわ…
…でも…
…確かに力を合わせて守ったのよね…《《私達が》》…
…もっと…違う形で出逢いたかった…
…あの人…ううん…あの人達と…
ああ…涙が…
…ザッ…
足音に気づいて彼女が前を向くと…
「何処に行こうっていうのよ…《《オバさん》》…」
…キッ!!!!!
その言葉にマーブルが睨みつける相手は…




