黒い炎
「くそっ!!何をやってるんだ…
ゴーレムよ…早く王宮を破壊してしまえ…
こうなったら…奥の手だ…」
テラゾーはポケットから一枚の呪い札を取り出した…
…良いですか…ダンナ…
出来たらこれは使わないでくださいね…
恐らく…ゴーレムが力を使い果たしたらダンナの命も…
アッシにはこれしか言えませんが…
ダンナが命を賭けるんだ…
例え…それが正しい事だろうと間違っている事だろうと…必ず本懐を遂げて欲しい…
それがアッシの願いでやす…
ミラールの呪術師の男の言葉を噛み締めながら…
「やあっ!!」
テラゾーは空に向かって呪い札を投げた。
すると…
突然、呪い札は空中で黒い炎につつまれながら…
遥か先のゴーレムの方に向かって飛んで行った。
「ふ…ふははははははは…
も、もう…これでゴーレムは無敵だ!!
誰も止められん…お、お前達が悪いんだ…」
その時…
彼の背後から彼が待ち焦がれていた…
待ち望んでいた声が聞こえてきた…
…テラゾー…
彼が振り返ると…
そこには憔悴してはいるが、幼い頃からずっと毎日のように側にいてくれた笑顔の可愛い女性が涙を浮かべながら彼を見つめていた。
「あ…あ…お、お嬢…」
感情が溢れて上手く言葉が出て来ないテラゾーに
マーブルは駆け寄って彼の身体を抱きしめた…
「ごめんなさい…心配をかけて…」
「お、お嬢様…やはりジュエラ王宮に拘束されて…」
涙を拭うことも忘れているテラゾーに小さな声で囁くように話すマーブル…
「いいえ…違うの…
私が…私が…自分で鏡の間に落ちてしまって…」
「そ、そうだったんですか…⁉︎
わ、私は…取り返しのつかない事を…」
「お二人共…
済まぬが事情は後で話すとして…
先ずはあの巨大なゴーレム…
何とかして貰えんだろうか…⁉︎」
「す、すみません…無理です…」
「む、無理とは何じゃ!!
ゆっくり君達の言い分を聞くと言っておるでは無いか!!
それ程までにワシを…プラティナを…恨んで…」
テラゾーの言葉にさすがにゴルドも声を荒らげた…
「ち、違うんです…ゴルド大魔王様…!!」
「違う…?…一体何が違うんじゃ…⁉︎」
「もう…ダメなんです…
あのゴーレムは誰にも止められないんです…
わ、私にも…!!」
「な、何じゃと…!!」
「さあ…ケイティ…最後のトドメを…うん⁉︎」
優也達が巨大ゴーレムと正対して今にも決着をつけようとしていたその時…
黒い炎に包まれた札が何処からともなく飛んで来て…ゴーレムの額に貼り付いた…
…グ…グオォォォォォォォォォォォ…!!!
突然、巨大ゴーレムが天を仰ぐように苦しみ出す…
そして…金色の光を放っていた両の眼は血のような赤で染まってしまった…
額の札の黒い炎はゴーレムの全身を取り巻いて…
ゴーレム自身が燃え上がっているようにも見えた…




