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全力で!!

「確か…この辺りだと思うんだけど……」



ケリーはモヤのかかった広い空間をゆっくりと進んでいく…



…は、早く見つけないと王女様が…



焦る気持ちを抑えながら辺りを探すケリー…



しかし無限に広がる空間には手掛かりさえ見つからない。



もうダメなのか…⁉︎一旦、王女様の所へ…



そう思った瞬間…彼女は目を細めた…



遠くの方に小さな…塊のような物が見える…



「あれは…何だろう…と、とにかく行ってみよう…」



ケリーは思いきり駆け出す…



はぁ…はぁ…はぁ…


呼吸がだんだん苦しくなってくる…



…何だ…これ位!!


アイ王女様は私が帰るまでずっと入り口を開けて待って下さってるんだ!!


私が想いに応えなくてどうするんだ!!



私の足よ!!思いっきり地面を蹴れ!!


腕よ!!前に…後ろに…大きく風を切り裂け!!



そして…私の心臓よ…お願い…


苦しくなっても私をどうかあの場所まで辿り着かせて…




優等生だった魔法学校生時代…


ケリーは苦手な運動にコンプレックスを持っていた…



でも…今は心に大切な存在だけを思い浮かべて彼女は全速力で駆け抜けた…



どんどんと大きくなってきた塊はやがてハッキリとうずくまって項垂れている赤い巻髪の女性だと分かってきた…




とうとうケリーは女性の元へと辿り着いた…




「はぁ…はぁ…あの…


はぁ…はぁ…大丈夫…はぁ…はぁ…ですか…⁉︎」



女性はスゥスゥと寝息を立てていた…



ケリーは背中をさする様に女性に触れて少し腕に力を入れて揺すってみる…




「お、起きて下さい…こんな所で寝てるなんて…

一体どうされたのですか…⁉︎」



「う…うん…


…はっ!!あ、あなたは…!!


あの三バカの一人じゃない!!」



「ちょっと…三バカは無いんじゃないですか…⁉︎」



「そ、そうね…ゴメンなさい…


でも…どうしてあなたが…」



「優也様の部屋の外で…合わせ鏡のシールを発見して調べていたら誰かが助けを求める声が聞こえてきたんです…


あなたですよね…」





マーブルは真っ赤になって…



「わ、私が迷子になったって言うの…⁉︎


と、とんでもない…私はこの辺りを散策していただけよ…」



「えー…それ…本当ですかぁ…⁉︎」



ケリーは疑いの眼差しをマーブルに向ける…




「も、勿論よ…そ、そろそろ帰らないと…ね…」




「ふうん…じゃあ助けを求めてたのはあなたじゃ無さそうね…」



「……えっ⁉︎」



「しょうが無い…他を探してみるか…」



「ま、まままま…待ってよ…私を放って行く気なの…⁉︎」



「だって…あなた…一人で帰れるんでしょ…⁉︎」



「うっ……」



顔を真っ赤にして黙り込むマーブル…


その様子を見てケリーは小さな溜息を吐いて…


そして微笑んだ…





……いるなあ…こんな強情っ張りが…


ウチのチームにも…



後先考えず思いのままに行動して…


後始末はいつもクリスと私…



だけど…放っておけなくて…


何処か…羨ましいのよね!!





ケリーはその場に座り込んでいるマーブルにスッと手を差し伸べる…



「さあ…帰りましょう…ミラールのアイ王女も待っておられるわよ…」




「……………」



マーブルは黙ってケリーの手を取った。


そしてそっぽを向きながら小さな声で、



「…ありがとう…」と呟いた…





彼女のその声を聞いてもう一度、ケリーはクスッと笑った…



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