魔女探偵の意地
「ありがとう…アイさん…」
「いえ…シルヴァ叔母様…」
「わーい!!おねえちゃん…
おうちにあがっていきなよ…」
「ゴメンね…リル君…みんなの所に帰らなきゃいけないの…
今は一人でも助けが必要だから…」
「そうよ…ムリいっちゃダメよ…リル…」
「チェッ!!わかったよ…」
ミスのお姉ちゃんぶりにクスッと笑ったアイ…
ゴルドからの頼みとは人間界の優也達の部屋に妻シルヴァと子供達を避難させて欲しいという事だった…
「済まぬな…婿殿やティナは前線に…
ワシはこの場を離れる訳にはイカン…
それに今、ジュエラは誰かに狙われておる…
安心して頼めるのはアイ殿以外におらんのじゃ…」
「叔父様…お安い御用ですわ…
私で良ければいつでもお申し付け下さい…」
「では…私はこれで…」
「アイさん…くれぐれも気をつけてね…」
「はい…失礼致します…」
ドアを閉めてマンションのエレベーターに向かうアイ王女…
…あら…
巫女のアイにとってその場所の空気は異様だった…
ゆっくりと辺りを見回すアイ…
すると…廊下の壁と壁の間に特殊な波長が出ているのを感覚が鋭い彼女は見逃さなかった。
「ここからだわ…うん?」
壁に貼られている透明のシールに気付く…
「こ、これは…」
ずっとアイが不思議に感じていた事…
その透明のシールから彼女達ミラールの魔法使いが十八番とする鏡の術の波長が出ていたのだった…
「む、向こうの壁にも…!!
あ、合わせ鏡…⁉︎
まさかこの中に誰かが…⁉︎」
アイは急いで合わせ鏡の中の空間を調べようと鏡に向かって掌を翳す…
しかし…
「ダ、ダメだわ…このアイテム…呪いのプロテクトがかかってる…
私がプロテクトを解いている間に誰かもう一人…
中を捜索出来るミラールの魔法使いが…
でも…私が知る限りの一流の魔法使いは前線に行って助けに来てくれる人なんて誰も…」
その時、彼女の脳裏にある人物が過った…
「…い、いる…いるわ…ジュエラに腕ききの…
ここの場所も熟知しているうってつけの…
ミラールの魔法使いが…」
アイは目を閉じて自分の守護英霊…パルテに語りかけた…
…パルテ様…
…どうしたのじゃ…アイ…
…すみません…訳あって私はここを離れる訳にはいかないのですがどうしてもジュエラに連絡を取りたい相手がいるのです…
私の力では人間界から魔界までの通信は無理です…
そこでパルテ様のお力を貸して頂きたく…
…なるほど…良かろう…では私がその者に繋いでやろう…
…ありがとうございます…
「ボ、ボスレーさん…大変だよ!!」
「何よ…ケリー…それよりアンタ、避難の準備は出来たの…⁉︎
アタシ…書類を纏めるので精一杯よ…」
「そ、それどころじゃ無いわよ…
い、今…あの方から連絡が入って…」
「あの方…一体誰よ…⁉︎」
「驚かないでよ…なんと!!
あのアイ王女よ…!!」
「アイ王女って…まさか…ミラールの⁉︎」
「そのまさかよ…
アタシを魔女探偵として仕事を頼みたいそうなの…
でも…こんな時だし…
アタシの一存では決められないからって少し待って頂いてるんだけど…」
「バカね!!アンタ!!
どうしようもない位にバカね…!!
いい…⁉︎
一国の長が助けてくれって言ってんのよ!!
しかもアンタの故郷の憧れの王女様が…
一肌脱がなきゃオンナがすたるでしょ⁉︎」
「でも…ボスに了解を取らないと…」
「ふう…分かったわ…アタシがキチンと了解を取っといてあげる…
これでもあのオジサンの転がし方は誰よりも詳しいんだから…
だからアンタは行ってきなさい!!
アンタの…アタシ達の実力を王女様に見せつけてやんなさい…!!」
「分かった!!ありがとう…ボスレーさん!!」
そう言ってケリーはギルドを飛び出して行った…
彼女の後ろ姿を見送りながらボスレーは微笑んでいた…
「頑張んなさいよ…」




