みんなのために
「ぬうううううううう…やぁっ!!」
頭上にかざした錫杖のフォレストグリーンの宝石が輝き出し…紅に染まっていく…
時空の流れが止まり…過去へと向かって流れ出していく…
「はい!!ダーリン…お弁当ですよ!!…あらっ⁉︎」
「ありがとう…ティナ!!じゃあ…行ってくるね…うわぁ⁉︎」
優也とプラティナは目をパチクリとさせてお互いの顔を見つめた…
「そうだ…確か魔界でゴーレムと対峙した僕達は…」
「そうだわ…ジーニャさんの魔法で…」
「しかしお主達は毎回毎回、よくもまぁ難敵に狙われるもんじゃのう…全く…」
「おひい様…」
膨れっ面のヴァルプルギスをダイナが一生懸命になだめている…
「あの石コロ…難攻不落じゃぞい…」
「ヴァル…君がそう言うくらいだから本当に…」
重い空気の中、プラティナがヴァルプルギスに向かって怒鳴り声をあげた…
「何よ…あなた『史上最強の魔女』なんでしょう⁉︎
こんな時こそ『わらわに任せておけ!!下級魔法使い共…』とか威張ってみなさいよ…」
「こ、この乳嫁め…何にも知らんくせしおって…」
「お、おひい様…これ!!プラティナも止めぬか!!」
睨み合う二人…
黙り込む優也…
アタフタするダイナ…
…ドキドキドキドキ…
ま、まさか…こんな事になるなんて…
「な、何ですって!!!」
「…落ち着き給え…サブリナ…」
「こんな時に落ち着けと言われても無理ですよ!!!
ボス…何か良い方法は無いんですか⁉︎」
今にもボスの声を伝えるスピーカーに飛びかかりそうなサブリナをケリーとクリスが抑えている…
「今、ジュエラ…ソーディア…ミラールの三国の首長及び有識者達で対策を練っておる…
しかし…あの巨大石像には
ミラールの鏡を使っての転移魔法も含めて一切の魔法が通じないのじゃ…
かと言って大砲の玉なぞ効かん…
うーむ…
とにかく君達の任務は一旦中断じゃ!!!
ジュエラ王宮の皆と一緒に安全な所へ…」
「…イヤです!!!」
「なっ!!…サブリナ!!」
ケリーとクリスはサブリナの顔を覗きこんだ。
「アンタ…何言ってるか分かってるの⁉︎
私達はあくまで探偵…ボスは私達の身を心配して下さって…」
「分かってるわよ!!!」
大声で怒鳴った後、考え込むような表情でサブリナは続けた…
「私…魔女探偵になったのは魔界の…みんなの幸せな暮らしを守りたいから…
そりゃあ私だって…私達、魔族を忌み嫌い、袂を分けてしまった人間界の人々を良く思ってなかった時期もあったわ…
魔法学校では史学を学ぶ時に幼い頃から刷り込みのようにそう教わるもの…
そんな私達のピンチをあの方は先頭に立って何度も守ってくれた…
今回も私達のために…うううう…」
頰を伝う大粒の涙をグイと手の甲で拭った彼女は
口元を引き締めて一度頷いた…
「私…任務とはいえ、あの方の側に居られた事…本当に幸せだと思ってる…
私で役に立てる事なら何だって…」
「あら…じゃあ…力を貸して頂戴…
サブリナ…あなたの力がどうしても必要なのよ…」
三人は背後を振り返った…
「あ…あなたは…」




