肉じゃが
「あら…他にもお客様でしたか…これは失礼致しました…」
マーブルはサブリナの方を見てニヤリと笑った。
サブリナも同じようにマーブルを睨みつけていた。
二人の視線の間に火花が散る…
「フン…また居たのね…
ネズミのようにチョロチョロと…探偵風情が…
このケツの青い女探偵…生意気にも優也にキスなんかしちゃって…依頼主に叱られたんじゃない?
優也を守るなんて言ってたけどあれは…一体どういうつもりかしら…?」
「もう…!!!ホンンンンンン…トに…
諦めが悪いオバさんよね!!!
優也様とプラティナ様には私達が付いているのを
まだ理解していないようね…
やらしいわね…二人の愛の巣まで押し掛けちゃって…
ああ!!!図々しいったらありゃしない!!!」
二人は静かに…しかしバチバチと視線の火花を散らす…
「さあ…出来たわ…
マーブルさんもお食事まだでしょう?
サブリナもテーブルへどうぞ…
あなた…私は子供達とそちらのテーブルで頂くわ…
お二人と一緒に召し上がってね…
ミス…リル…手伝ってくれる…?」
「はーい!!」
「はーい!!」
プラティナが両手に手料理の盛られたお皿を並べ始めると子供達は遊んでいたオモチャや読んでいた絵本を置いて配膳を手伝い始めた。
「お、王女様…わ、私も…」
アタフタして手伝おうとするサブリナにプラティナはニッコリと微笑んで、
「何を言ってるの…あなたも今日は大切なお客様なんですからね…ゆっくりテーブルにかけていて下さいね…」
「は、はい…」
上擦った声で返事したサブリナがテーブルに着くと同じようにマーブルもフフンと鼻を鳴らすようにサブリナの目を見ながら横の席に着いた。
再びバチバチと散る視線の火花…
その時…テーブルに料理を並べていたプラティナが二人の前に一つの器を置いた。
「あら…」
「これは…」
ホクホクとしたじゃが芋…
食卓の上のペンダントライトに照らされて艶々と光る人参やえんどう豆…
柔らかく…味の滲みた牛肉…
全ての甘みが引き出された玉ねぎ…
それは見た目の彩りの美しさからすでに味の完成度の高さが誰にも分かるプラティナ特製の『肉じゃが』だった…
「くんくんくん…」
リルが鼻を鳴らして…ダイニングテーブルへと駆け寄り、料理を見回す…
「あーっ!!パパ!!
パパの大好物のママの肉じゃががあるよ!!」
「えっ⁉︎本当…!!」
思わず表情が綻ぶ優也…
ところが…
「あなた…ゴメンなさい…」
悲しそうな表情で優也に向かってプラティナは頭を深々と下げた。
「ど、どうしたの…⁉︎」




