優しくしないで
マーブルは展望台の手摺りに手をかけて空を見上げた…
「実は…私には生き別れた弟がいるのです…」
「ええっ⁉︎生き別れた弟さんですって…?」
優也は一歩二歩後退りした。
「…今、何処でどうしておられるのか分からないのですか…⁉︎」
「はい…私なりにジュエラ…ソーディア…ミラールと心当たりを色々探しました…でも…手掛かりすら見つかりません…
昔は婚約者もいて、私も喜んでいたのですが…
弟は…婚約を破棄されてから自暴自棄になってしまって…少しヤンチャをしたようでみんなから白い目で見られるようになって…ついには行方不明に…
仕事であちこち飛び回っていた私は何故そんな事になったのか事情をあまり知らないのですが、弟は…本当は大人しくて他人にそんな迷惑をかけたりする者では無いのです。
あの子は…私を大切にしてくれる世界一の弟だと思っています…
ああ…一体お前は何処へ行ってしまったの?…ううう…」
「………」
優也はマーブルの頰にキラリと光る涙を見て自分のペンダントのロケットをパチンと開けた。
中にある笑顔のプラティナの写真に向かって語りかけた…
「ティナ…ゴメンよ…」
そう言って彼はロケットからプラティナの写真を取り出して自分の服のポケットに大事そうにしまった…
「マーブルさん…」
しゃがみ込んで自分の顔を手で覆って肩を震わせているマーブルの背中をさする優也…
「大丈夫ですか…ジュエラ王宮で少し休ませて貰いましょうか…?」
「いえ…大丈夫です…取り乱してしまってすみません…」
「悩みというのは…」
「そうです…こんな事…他人に話しても仕方のない事なのですが…
ずっと苦しい胸の内を…何故か貴方には聞いて貰いたくなってしまって…すみません。ご迷惑なのはよく分かっております…」
涙を指で拭うマーブル…
「でも…今だけ…今だけはあなたのその胸を貸して下さいませんか…
それで私…全てを忘れて頑張れる気がするんです…」
…フフッ…
優也…早く私を抱きしめなさい…
あんなに綺麗な女性達に囲まれて全てを受け入れている貴方は強い男性なんかじゃ無いわ…
そう…優柔不断なだけよ…
私が時間をかけて貴方を骨抜きにしてあげる。
さあ…少しずつ私の虜になっていくのよ…
二人の様子を見ているサブリナはマーブルを慰めている様子の優也を見てヤキモキしていた…
…あああ…優也様…騙されてはいけませんわ!!
その女は…貴方と王女様の仲を裂こうと画策している悪い奴なんです…
そんな女に…優しくしないで…!!
サブリナはふと自分の気持ちに気づいた…!!
ハッ…!!
嫌だわ…私…ジェラシー…⁉︎
優也様は王女様のものよ…
あの二人はジュエラの大切な大切な未来を創って行かれる宝のような方々…
そんなお二人を護る事が私の使命…
ジェラシーなんて…
サブリナ!!しっかりするのよ!!
「マーブルさん…」
両手で彼女の肩を抱いて彼女の目を見つめる優也…
…フフフッ…さあ…来なさい…
私に口づけるのよ…




