ドアの外での攻防
「マーブルさん…」
「は、はい…何でしょう…」
「あなたは僕に欲が無いと驚いておられますね…」
マーブルは表情を引きつらせた…
「い、いえ…決してそのような…」
「良いんです…僕自身もそう思いますから…
自分は小さな男だ。男ならもっと野望を持って生きた方が…と…
…確かに男らしく無いかも知れません。
でも…やっぱり僕は妻が大好きです。
目標も何も無く…ただ会社と家を往復するだけだった僕に彼女は温もりをくれたんです。
そして子供達も健康に育ってくれて…三人がずっと笑顔でいてくれる事…
それを一生懸命に守っていく事が等身大の僕が出来る事だと思うんです。
そして…人間界にも魔界にもこんな僕に優しくして下さる素敵な方々がたくさんおられます…
今は少しだけ頑張って…みんなの為にもなりたいと思っています…
だから…マーブルさん!!」
「は、はい…」
「もし…あなたの周りに大切にしなきゃいけない人がいるなら…
僕へのプレゼントはその方にしてあげて貰えませんか…?お願いします…」
優也は純粋な気持ちをマーブルにもぶつけた…
しかし残念ながら…マーブルは弟のイミテと共に幼い頃から両親に、人を信頼するなと教えられて育ってきた…
…フン…御大層な事を言うじゃない…
そうやって綺麗な妻を手に入れて他の王女達とも
仲良くやっている男が…説得力無いわね…
じゃあ…これはどうかしら…
マーブルは優也の横に座り直して彼の太腿に手を置いた…
「マ、マーブルさん…?一体…何を…」
「優也様の周りにはお綺麗な王女様達がたくさんおられると聞いております…
でも、たまには年上の女も良いものですよ…ウフフッ…」
そう言うと彼女は優也の胸に無理矢理飛び込んだ…
…今よ…テラゾー…
…はい…お嬢様…
テレパシーによる遠隔操作でマーブルのアタッシュケースに仕組まれた小型カメラが作動した…
「ダ、ダメです…僕には妻が…」
…お嬢様…取れ高バッチリでございます…
…お嬢様って言うなっつーの!!
「マ、マーブルさん…?」
「オ、オホホ…私としたことが…
王女様の旦那様がつい、魅力的過ぎて…
大変失礼致しました…
でも…私達も宝石商…諦めませんことよ…
必ず…王族との絆を深めつつ…商売繁盛を目指します…
優也様…どうか今後も一つご贔屓に…」
「そんな…そのプロ根性…社会人として僕も負けないように頑張ります…
また何かあれば宜しくお願いします…」
「では…失礼致します…」
…ガチャ…
優也に見送られて廊下へ出たマーブルは両手を挙げて喜んだ…
そこへ隠れていたテラゾーも駆け寄り二人で万歳三唱をし始めた…
「バンザーイ…バンザーイ…」
「ウフフッ…優也が私にデレデレのこの写真を…王宮に送りつけて…
あの二人の仲を壊してやるわ…」
「お嬢様…魔界テレビや魔界新聞にも…
明日の見出しは「王女…離婚の危機!!」でしょうか…?
「なるほど…それは良い作戦ね…」
「そうでしょう…だって私が練りに練った作戦…ん?」
ギューゥゥゥゥゥゥゥゥ…
バシィィィン…!!
木の蔓と胡桃で作ったクリスのスリングショットがテラゾーの持っているアタッシュケースに命中した…
バラバラバラバラ…
床一面にバラ撒かれた宝石とさっきのマーブルと優也の写真が入ったメモリーカード…
サブリナはメモリーカードを思いっきり踏んづけた…
グシャッ…!!
「お前らだな!!王女様にへんな手紙を送りつけたのは…⁉︎
優也様とプラティナ様は私達が守るよ…!!」




