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藍色のrequiem  作者: 水無月やぎ
6. 群青色のproof
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6-1

解決の糸口を探るなんて言ってみたけれど、やはりそれは至難の業だった。蘭の採血の話は絶対口外してはならないことで、だからこそ下手に病院に近づくこともできなかった。

でも蘭と両想いになれたことは本当に嬉しくて、学校では今まで通り再び話すようになった。友達には僕達が仲直りしたこと、そして付き合ったことはすぐにバレてしまった。彼らは僕を冷やかしつつも、祝福してくれた。


「やっとお似合いカップルが出来たよ~、ほんとここに至るまでどんだけかかったんだよ~」


「蘭も響也に照れてるの分かるし…くーっ、たまんねぇわ!」


クラスメイトに受け入れられたことはすごく嬉しかった。堂々といちゃつく、とかはさすがにしなかったけれど、変によそよそしくするようなことはせずに済んだ。

“木漏れ日の里”の人にも僕達の関係は伝わって、公認カップルのような形になった。僕達は放課後や週末にデートもして、今まで以上に充実した日々を送っていた。



もう季節は10月に入っていた。学校から帰って家にいると、電話が鳴った。伯母が忙しそうだったので、僕が出た。


「もしもし?」


『あ、響也?私。雛よ!ごめんね、8月に会う約束を果たせなくて』


ずっと待っていた。雛さんの流暢な英語を久々に聴くことができた。


「雛さん…。それは気にしなくて大丈夫。すごく忙しかったんだよね?研究はひと段落ついたの?」


『うーん、正確に言うとひと段落つける状況ではまだないんだけど、今月、日本の出張が決まったの。だから今度こそ、響也に会いに行くね!』


「忙しいなら、無理しなくても…」


『いいのよ!日本にせっかく帰れるなら、響也に会わない選択肢はないでしょう?絶対行くからね!お土産何がいい?』


その後、出張の日程などを聞き、電話を切った。炒め物の匂いにつられてキッチンを覗くと、伯母が尋ねてきた。


「響也くん、今の電話、もしかして雛?」


「うん。今月、出張で帰ってくるんだって。その時に寄るって電話が来た」


「本当に?!やっとだよ~もう!首長くして待ちすぎて、首取れるとこだったわ!!よーし、帰って来たらたくさん雛と飲んでいっぱい話すぞ~!響也くんも、一緒に宴会しようね!何ならちょっぴり飲んじゃえば?」


いや、さすがにそれはやめとくって!と僕が言うと、伯母は笑った。伯母は既に気合が入っていて、雛さんの好きなコロッケの材料を早速メモし始めた。


そう言えば雛さんは、医療関係の研究も行っていた。”平野雛 論文”と検索すれば、たくさんの論文やニュース、専門誌のインタビューが出てくる。全然研究内容を教えてくれない雛さんだけれど、僕がインターネットを使えるようになれば、大まかな内容を知るのは簡単なことだった。…蘭のことについて、何か手がかりは得られないだろうか?

雛さんと会えたら、必ず聞いてみようと思った。

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