タイムマシンの乗り逃げ
研究室からタイムマシンを乗っ取ったのは、麻友由真。彼が、四時間前の過去にきたのには、理由があった。借金をしていたのを、返済するために、一攫千金を狙ったのだ。
「うっしゃ! 出るぜ!」
タイムマシンの扉から出た。そこは、研究室だった。人がほとんどいなかったので、すぐさま、研究室を後にした。そして、競馬場に向かった。
「よっしゃ! 当たったぜ!」
ひと稼ぎした麻友由真は、購買で仕入れた新聞紙を読んだ。年中ジャンボ宝くじの当選番号が、記載されていた。それをみて、一目散に、研究室に戻った。
過去に戻るためだった。
過去に戻って、四億円を手に入れる為だった。
だから、余裕を持って一か月前に戻ることにした。
しかし、あった筈のタイムマシンは無くなっていた。彼は時間を確認する。すでに、四時間が経過していた。このことから、タイムマシンに乗って行ったのがこの過去の麻友由真だと判明した。
*
ズゥ…バン‼ ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド‼
「うっしゃ! 出るぜ!」
タイムマシンの扉から出た。そこは、研究室だった。人がほとんどいなかったので、すぐさま、研究室を後にした。そして、競馬場に向かった。
「よっしゃ! 当たったぜ!」
*
タイムマシンは何回も、四時間前と四時間後を行ったり来たりして繰り返した。
なぜ、研究室に、人がいなかったのかを、彼は知る由もなかった。研究室に、破損したタイムマシンと焼け焦げた遺体があれば、研究者達は問題を感じ、対処に追われるだろう。彼らは機密情報を外部に漏らさないように、処置を施していたのだ。爆発による、騒音についてのクレームの電話もひっきりなしに鳴っていた。貧乏くじを引いたのは、彼らの方かもしれない。
そのような理由で、研究室に人がいなかったのだと気付けなかった彼は、何回も、ループする。
2%の確率で、彼が成功するまでは。