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騎士は恋する乙女なり  作者: 水島 香
4/17

無策

遅くなってこの出来上がり……ごめんなさい





 魔物の氾濫が長期間に渡り収まらないと言う異常……この異常はパラティス王国内に大きな波紋を呼んだ。力のない民は恐怖している。いつ終わるかわからない……さらに言えば、戦えるものを総動員していると言っても過言ではないこの戦いに、国が滅びる可能性がちらついてしまっているのだ。その影響で、日を追うにつれて治安は悪くなった。各地の領主も努力はしているし、増税をしようとすらしていない……むしろ減らしている領主の方が多い。己の貯蓄を切り崩して国に貢献しようとしている。どの領主もこんなことをしても長くは続かないと理解していたが、やめなかった。こんなことは、公爵であっても後二ヶ月が限界なのにも関わらず……




      *      *      *




 毎朝,隊長達は会議を行っている。氾濫を押さえるため,死者をできる限り減らすために続けているこの会議で、毎朝情報交換を行うお陰で死傷者数は驚くほどに押さえられている。勿論、貴族でありながらも率先して死地へ迎うアリシアと言う存在が、騎士達の士気を上げているお陰でもある。いくら素晴らしい武力を誇ろうとも,心が折れていては意味がない。戦場で諦めてしまえば、待つのは死のみなのだから……


「皆……聞いてくれ。今回の魔物の氾濫だが,一番外れて欲しかったあれ(・・)が原因だろう……とのことだ。先ほど王国から連絡がきたよ」


 総隊長……隊長達の纏め役をしている男性の言葉に皆ざわついた。当たっていて欲しくなかった可能性と聞いて,魔物の王がいることを察してしまったからだ。


「俺たちは魔物(手下)共を減らした。魔王(やつ)にとっては下っ端でしかないのかもしれん……が、その下っ端の残りも少ないはずだ。現在,国から攻城兵器の運搬中だそうだ。それまでに出てこなければいいのだがな……」


「…………魔王の情報はどうする? 流石に戦場にいる全ての者に伝えることは愚策だと俺でもわかるぞ」


 質問をしたのは自主的に……そして、いち早く国の警備に動いたベテラン冒険者達の一人だ。最も実力が物を言う冒険者を纏めるのは、彼らをよく知らない騎士よりも認められている冒険者の方がいい……と言う理由もあり、実力者(ベテラン)中の実力者(ベテラン)を隊長の面々に押し込めたのだ。本人達は嫌がっていたようだが関係なし。実際に冒険者の視点が役に立った場面も少なくなかったのだから……


「全ての者に伝えれば、混乱は必須。士気を下げる結果になるかもしれん。よって、伝えるのは分隊長までとする。そうすれば、魔王の出現の際に撤退させやすくなるはずだ」


「わかった。話の邪魔して悪かったな」


「いやいや,問題ないさ。さて、皆……肝心の魔王対策だがハッキリと言ってない! どんな魔王かわからないために対策を立てようがないのだ。立てられるのは撤退,足止めの為の遠距離武器の使う順番くらいだな」


 総隊長の言葉は最もであった。そして、この会議では魔王の対策を立てることも出来ずに解散した。




      *      *      *




「魔王……か」


 会議の解散を感じ取ったノアは、盗み聞きを止めて自分のテントに戻っていった。ノアは、いち早く情報を入手するため度々会議の盗み聞きをしていた。


「……厄介だな。しかし、攻城兵器が運び込まれれば、なんとかアリシア様を助けることが出来そうだな。それに、被害がまた減るだろうし……」


 そもそも、魔王がいなければこんなことにはならなかったけど……と呟きながらノアは空を見上げた。空は何処までも蒼く穏やかだった。





氾濫を終わらせたい! はやくイチャイチャを書きたい!

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