魔物の王
暫く続くシリアス
アリシアが戦場に立ち二ヶ月……依然として魔物の氾濫が収まる事はなく、死傷者は増えるばかりであった。氾濫の理由の解明も進んでいない。新米騎士だけではなくベテランの騎士や冒険者達の士気も下がっている。
「今日の死者は……152名か。重症…………768名。私は…………ここまで無力だったのか……! これほどの被害が出ているのにも関わらず私は……私には…………っ!」
アリシアは、此度の戦いで死ぬ覚悟はあった……しかし、仲間が死んでいく様を見続けて冷静さを保てるほどの精神力を持ってはいなかった。全員の生還などは夢物語だとわかっていた。わかってはいても…………突きつけられた現実と言うものは残酷だった。
「……折れるな。ここで折れる訳にはいかない……これ以上はっ! 私はアリシア・ウォードだ。国を護るために立ち上がったのだろう!? 決して諦めない……折れる訳にはいかないんだ!」
彼女は自身を鼓舞し続ける。それでも彼女は……彼女の精神は限界に近かった。
* * *
「今日は三回……それでも生き残った…………か」
新米騎士として戦場に立ったノアは体を休めながらも思考を止めることはなかった。魔物の大群が今日も三回やって来た。仲間が減っていき,士気も下がり続けて、そんな現実から逃れるように皆、直ぐに寝る。寝ずの番は勿論あるが、その者の瞳は淀んでいる。限界が近いのは何も彼らはだけではない。部隊を率いる長達もそうだ。
「隊長達も動きが悪くなっていく……特に顕著なのは…………アリシア様。だが、彼女は一番崩れてはいけない柱だ。フォローするのはいいが……手段がない。手札が少なすぎる…………最低でもあと一手が必要。もし揃っても、それだけでは5割行くかどうか……」
どれ程冷静に分析しても、所詮彼は平民。取れる手段が少なすぎたのだ。そんな中で、あと一手あればアリシアを救う手段を講じることが出来ると言うだけでも彼は異常だった。
「くそったれが! どうしても足りない……そもそも、彼女は無理をし過ぎている。皆の心は、彼女のお陰で辛うじて折れてはいない……が、彼女の負担がでかすぎる。しかし止められない……情報も足りない」
彼の思考は止まらない。皆の心が折れかけている理由の大きな要因もわかってはいる。しかし、どうしようもない。原因と言う情報,残りの魔物がどれだけいるのかと言う情報,パラティス王国が現在どのような対策を取ろうとしているのか,隣国が現在どうなっているのか……どれだけ小さい情報でも手に入ればよかったのだが、戦場の最前線には入ることはない。
彼にはどうすることもできない……どうしようもない程に手詰まりであった。
* * *
コーディーは奔走していた。問題を一刻も早く解決するために。それでも、未だにろくな情報は得られていない。隣国の事を調べたが、パラティス王国と似たような状況であった。そもそも、パラティス王国に救援を望んでいた時点で限りなく低い可能性であったために、ダメで元々でしかなかったが。
「今回の氾濫は人為的ではない……か。ならば……いるのか? 王が」
もう一つの可能性……魔物の王。魔人などいない世界だが、この世界にも魔王はいる。魔王とは、魔物の狂暴性を引き上げ、急速に繁殖させ、永遠と続く氾濫を引き起こす最悪の魔物だ。種族が決まっているわけではない。更に、魔王は数百年に一度現れるかどうかと言う、文献にすらまともに情報が載っていない伝説の魔物だ。
「魔物が誰かに使役されていればまだ楽だったものを……魔王だなんて…………最悪だ!」
魔王の情報は少ない…………が、魔王一匹で少なくとも国が一つ滅ぶ可能性を考慮しなければならない相手だと言うことは文献に載っていた。配下がいない状態で国一つ……
「どうやれば討伐できる?」
状況は変わらず……否,更に悪くなっていった
はやくシリアルを書きたい




