護るため
短いですけど二話目です
アリシアは、王から戦場に行く許可をもぎ取った。その結果、他の武家の貴族の次男,次女も戦場に行く許可を得るために王城へ詰め寄ろうとした……が,コーディーがこれを予想して、事前に各武家貴族の苦労人仲間に手紙で伝えていた為に何とか防ぐことに成功した…………これは余談だが、手紙を受け取った苦労人たちは常備していた胃薬をこっそりと飲んだと言う。
「本当に無事に帰ってきてくださいよ…………くそっ! 国の為にもアリシア様の為にもさっさとこの異変の原因を見つけなければ」
コーディーの胃薬生活は始まったばかりである…………間違えた。苦労人にとって胃薬は常備アイテムだった。
因みに、アリシアはそこいらの騎士よりも強いことをここに記述しておこう。
* * *
そうしてアリシアは貴族としてではなく、一人の騎士として戦場に立ったのである。アリシアとウォード家の騎士達の活躍で、下がりかけていた士気が持ち直されたものの、魔物の氾濫が収まる気配はなかった。遂に国は、志願した平民を一週間と言う短い期間鍛え上げ、新米騎士として戦場に送り出すことに決めた。鍛えた者は、我慢の効きそうになかった武家貴族(と我慢の出来なかった国王)である。
「皆に生きて帰ってこいなどと無責任なことは言わぬ。だが……願わくば,少しでも多くの勇気ある者達が生還できることを祈る。戦場に立つそなた達は、皆一人一人が国を護るために立ち上がった勇者なのだから。パラティス王国を救ってくれ……頼んだぞ!」
国王の言葉を胸に若き騎士達は戦場に向けて歩きだした。国王は騎士が見えなくなるまで彼らを見送り続けた……そして
「なぁ……宰相。やっぱり俺も行っていい? ほら! 政は息子に任せてもいいしお前に補助して貰えれば安心だし?」
「いいわきゃねぇだろ! ガキじゃあるまいしいい加減落ち着けよ! 第一皇子の方が落ち着いてるとか王として……と言うか父親としてどうなんだよ!」
「いいじゃん! 次世代が確りしてて安心じゃん!? だから戦場に行かせろぉ!!」
「我が儘いってんじゃねぇ!!!!」
この国は早く世代交代した方が良いのではないだろうか……。あ……胃薬のんでる
* * *
新米騎士が送り出されて三日が過ぎた。彼らは訓練として見つけた魔物をチームで倒しながら戦場に向かっていた。
「お前らはこの三日で、嫌と言うほど死と隣り合わせの実戦を積むことが出来た。実戦だと言うのに油断して怪我を負った馬鹿者もいたが、そのお陰で一層身を引き締めることが出来たはずだ。残りの道のりはペースを上げる。魔物を見つけたら倒すが、休憩する時間は減ると思ってくれ。目標は、三日で戦場に着くことだ。では最後に……生き残るぞ!」
新米騎士を率いる男の声は堂々としていて、程好い緊張感と安心を彼らに与えた。しかし、死への恐れを完全に払拭出来た訳ではなく、男自身も死を恐れていた。新米騎士として戦場に向かう一人の青年……ノアはそんな男の心情を見抜いていた。
「生き残るぞ……か。それは俺達に向けて言っているのか……それとも自分に言っているのか。まぁやることは変わらん。俺は国を護るためにここに来た…………それだけだ」
彼の言うとおりだ。彼らは皆,愛する家族を,人を,国を護るためにここにいるのだから。彼らのやることは変わらない……死を恐れながらも,愛するものを失わないために戦い抜くのみ………………
「俺は弱い…………だが護り抜いて見せる」
そうして、静かに闘志を燃やす彼の瞳には、確かな覚悟が宿っていた。
〜作者からの補足・爵位について〜
この国の爵位の設定です。実際の爵位とは異なる設定なので突っ込みはいれないでください。
まずこの国の爵位は五つです。
1,公爵:王族の血筋。一応国王もここに含めます
2,伯爵:建国時に、初代国王から信頼を得ていた家臣の血筋です
3,子爵:初代伯爵達の部下だった者達の血筋です
4,男爵:騎士爵が昇格できる爵位として作られたもので、ここからが貴族として扱われるようになります
5,騎士爵:地球の准男爵と騎士爵が合わさったかのような称号で、文化・学術・芸術・武力の著しい功績を残した者が受けとることのできる爵位としてます。基本的に一代限りの爵位で、括りとしては平民です。功績を積めば男爵(貴族)になれます
*一応記述しておきますが、騎士と騎士爵は別です
パラティス王国は“準実力主義”と言うことになります。準がつく理由は、子爵までは血筋による代替わり制だからです。以上!




