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騎士は恋する乙女なり  作者: 水島 香
13/17

父親

よっしゃあ! ようやく投稿じゃあ!!




 アリシアとノアが、拙いながらも他愛(たわい)のない話をしていると、いつの間にかウォード家(目的地)に着いていた。それに気付いたノアは、ようやく覚悟を決めた…………今更とは言ってはいけない。


「お帰りなさいませ,お嬢様」


「…………謝るからそろそろいつも通りに戻ってくれないか,コーディー」


 ノア達の前に現れたのは、何処と無く苦労人の気配が漂う執事……コーディーであった。


「お客様……ノア様でしたね? ウォード家当主,及びお嬢様がご迷惑お掛けした事を代わりにお詫びいたします。これからは、何かあれば(わたくし)にご相談を…………必ずや力になりましょう」


 コーディーの言葉にノアは「はい」としか言えなかった。突っ込み所がいろいろあるが、考えないようにしたのだ。とは言え、コーディーからしてみれば、主たちに今まで苦労させられてきた為の台詞(気づかい)なのだが…………よく考えずとも不敬である


「ゴホン! 変なこと言ってないで彼の案内をお願いします,コーディー!」


 若干焦った様子で案内を命じたアリシア。頬を紅くし,慌てている様子から心当たりがある(苦労をかけている)のは誰の目から見ても明白であった。





      *      *      *




 質素でなく,然れど豪華過ぎない……恐らく来客用の部屋に案内されたノアは、ウォード家当主(エヴァン)直々に紅茶をいれて貰っていた…………細かい事は気にしない方が良い。彼はそういう人物なのだから。


「遠慮せず飲め。この茶葉はそのクッキーによく合うぞ」


 そう言いながらエヴァンは、クッキーを口に放り込みニヤリと笑う。ノアは細かいことは気にしない事にしたため、ありがたく頂く事にした。


(うまい……紅茶を入れてる時から思ってたけど、この人手慣れてる)


 ノアが、そんな事を考える余裕が出来るくらいには落ち着いた頃、エヴァンが頭を下げた。


「先に礼を言わせて貰いたい。娘を救ってくれた事に感謝を……そして、魔王の早期討伐にも。もし、貴殿が居なければ娘は死に,町にも甚大な被害が出ていただろう。まあ、後者に関しては陛下からも聞いたであろうがな」


 可能性として、感謝の言葉くらいはあるだろうと予想していたノアだが、まさか当主が躊躇いなく頭を下げるとは思ってもみなかった為に、反応が遅れてしまう。


「……頭を上げて下さい! 自分はただ己の成せることを成しただけで……えっとその…………感謝の言葉は受けとりますから頭を早く上げて下さい!」


 と言うかパニックに陥った。しかし、エヴァンも簡単には頭を上げはしない。


「いや,この礼は当主としてではなく一人の父親としての礼なのだ。しっかりと礼をさせて欲しい。私……俺もな別に娘が死んでも良いだなんて考えていなかったのだ。嬉々として送り出しておいて何だがな。だからこそノア殿……貴殿には感謝してもしきれない」


 そう言って頭を下げ続けるエヴァンは、確かに一人の父親でしかなく、ノアはとうとう何も言えなくなってしまった。





相変わらず短いけど、読んでいただけて光栄です!

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