父親
よっしゃあ! ようやく投稿じゃあ!!
アリシアとノアが、拙いながらも他愛のない話をしていると、いつの間にかウォード家に着いていた。それに気付いたノアは、ようやく覚悟を決めた…………今更とは言ってはいけない。
「お帰りなさいませ,お嬢様」
「…………謝るからそろそろいつも通りに戻ってくれないか,コーディー」
ノア達の前に現れたのは、何処と無く苦労人の気配が漂う執事……コーディーであった。
「お客様……ノア様でしたね? ウォード家当主,及びお嬢様がご迷惑お掛けした事を代わりにお詫びいたします。これからは、何かあれば私にご相談を…………必ずや力になりましょう」
コーディーの言葉にノアは「はい」としか言えなかった。突っ込み所がいろいろあるが、考えないようにしたのだ。とは言え、コーディーからしてみれば、主たちに今まで苦労させられてきた為の台詞なのだが…………よく考えずとも不敬である
「ゴホン! 変なこと言ってないで彼の案内をお願いします,コーディー!」
若干焦った様子で案内を命じたアリシア。頬を紅くし,慌てている様子から心当たりがあるのは誰の目から見ても明白であった。
* * *
質素でなく,然れど豪華過ぎない……恐らく来客用の部屋に案内されたノアは、ウォード家当主直々に紅茶をいれて貰っていた…………細かい事は気にしない方が良い。彼はそういう人物なのだから。
「遠慮せず飲め。この茶葉はそのクッキーによく合うぞ」
そう言いながらエヴァンは、クッキーを口に放り込みニヤリと笑う。ノアは細かいことは気にしない事にしたため、ありがたく頂く事にした。
(うまい……紅茶を入れてる時から思ってたけど、この人手慣れてる)
ノアが、そんな事を考える余裕が出来るくらいには落ち着いた頃、エヴァンが頭を下げた。
「先に礼を言わせて貰いたい。娘を救ってくれた事に感謝を……そして、魔王の早期討伐にも。もし、貴殿が居なければ娘は死に,町にも甚大な被害が出ていただろう。まあ、後者に関しては陛下からも聞いたであろうがな」
可能性として、感謝の言葉くらいはあるだろうと予想していたノアだが、まさか当主が躊躇いなく頭を下げるとは思ってもみなかった為に、反応が遅れてしまう。
「……頭を上げて下さい! 自分はただ己の成せることを成しただけで……えっとその…………感謝の言葉は受けとりますから頭を早く上げて下さい!」
と言うかパニックに陥った。しかし、エヴァンも簡単には頭を上げはしない。
「いや,この礼は当主としてではなく一人の父親としての礼なのだ。しっかりと礼をさせて欲しい。私……俺もな別に娘が死んでも良いだなんて考えていなかったのだ。嬉々として送り出しておいて何だがな。だからこそノア殿……貴殿には感謝してもしきれない」
そう言って頭を下げ続けるエヴァンは、確かに一人の父親でしかなく、ノアはとうとう何も言えなくなってしまった。
相変わらず短いけど、読んでいただけて光栄です!




