終息
ようやくここまで来た……
ノアによる衝撃的な告白は、アリシアを驚かせるには十分すぎるものであった。身体強化は、自身の肉体の耐久力や動体視力諸々が強化されるものだ。無理をして、筋肉痛のような症状が出ることはあれど、あれほどの反動は聞いたことがない。ノアの予想では、強化を留めるリミッターがないための反動だそうだが……
「回復は自分のタイミングで切れば良いですし、私たちはそう言うものだと考えています」
ノアは最後まで達観していた。気まずくなった空気を変えるために、アリシアは騎士としての仕事に取り掛かる事にした。
「その話しは一端置いておこう……ノアと呼んでも構わないか?」
急に雰囲気の変わったアリシアに「はぁ」と気の抜けた返事をしてしまうノア。しかし、その事を気にした様子もなく「では……」とアリシアは話し続ける。
「会話程度ならば問題が無さそうなので、もう少し時間を貰うぞ。報告書の作成の為に聞かなければならないことがいくつかあるのだ。しかし、この質問に関しては私個人のもの故に答える必要はない。必要なのは二つ目以降だ……余興程度に思ってくれても構わないぞ…………では、貴様はこのまま騎士を続ける気はあるか?」
明らかに、先ほどと関わりのない話題をアリシアが出した事で、気を使って下さったのだろうと察したノアは全ての質問に素直に答える事にした。
「続けるつもりではありますよ。私の今回の行動が、今後にどう影響するのか解りませんが…………それでも、この力を守る為に使える資格を手に入れられたのですから」
自らの手を見つめながら答えたノアを見て、アリシアは彼の頭をワシャワシャと撫でていた。
「うわっ! え? どうしたのですかアリシア様!?」
突然の行動に目を白黒させながら質問をするが、
「ん…………何となくだ」
当の本人も理由を理解出来ていないようである。
「まあ、気にするな。取り敢えず、単独で魔王と戦った事に関しての御咎めは一切なしだ。むしろ、ノアは討伐した故に報奨も与えられるそうだ。私は怒りに身を任せた為に、父様からの謹慎を言い渡されてしまったがな」
そう言いながら笑ったアリシアは、少し恥ずかしそうに頬を掻いていた。
* * *
その後は、報告書に必要な質問が30分程続いた。そして、全てを終えたアリシアは、感謝の意を伝えて去っていった。
「それにしても……報奨かぁ。実感がわかない。でも……もう変に頭を使わなくても良いのか。氾濫は終息した。それで十分だ」
そう呟きながら微笑んだノアは、しっかりと休みを取ることにした。会話程度でも、疲れていたようで、ノアは直ぐに眠ってしまった。
後は、適当に報奨を与えてイチャイチャタイムに移行だー
移行……できるよね?




