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騎士は恋する乙女なり  作者: 水島 香
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異変の始まり

現在一つ、他の作品も完結するまで頑張ろうと言って書いているにも関わらず書いてしまいました。






 辺り一面を覆い隠す黒い波……それは全てが魔物である。それを見た女騎士…………アリシア・ウォードは、疲れた身体に鞭を打ち声を張り上げる。


「第二陣が現れたぞ,気を引き締めろ! 無理だけはするな! 戦闘続行が厳しいと感じるような怪我を負った者は,直ちに医療部隊の治療を受けるんだ! さっさと治して戻ってこい! 絶対に死ぬなよ! これは命令だ……だが,死を恐れるな! 行くぞ!」


 周りの騎士が揃って声を上げる。国を,民を,愛する家族を守るのだ…………と。そうして、心身共にボロボロな騎士達は気力を振り絞り,魔物の大群に立ち向かう。


「魔導部隊,投石部隊……撃てぇ!」


 その声を合図に、炎や雷,嵐に岩が魔物に降り注ぐ。それが収まると、アリシア・ウォードが先陣を切り魔物の大群に突っ込んでいった。


「ウォード隊長に続けぇ! 魔物を切り伏せろ! 奴らを殺し尽くすのだ!」


 副隊長……アドルフ・ペデスターの言葉を合図に他の騎士も魔物に向かって走って行く。更にペデスターは


「新兵は複数であたれ! 絶対に一人で立ち向かおうなどと思うな! 分隊長は魔物の相手をしながらも新兵のフォローを忘れるなよ! ウォード隊長の命令を守れ! 死んでも死ぬな!」


 と忠告も忘れない。騎士個人の力量がいくら高くとも、圧倒的な物量には勝つことは出来ない。隊長である,アリシア・ウォードが諦めない限り、彼も諦めない……否! この場にいる全ての騎士は諦めない! 彼らは騎士である。国に忠誠を誓い,命を捧げると決めた騎士(勇者)である。彼らは、どんな絶望が現れようとも諦めはしない!


(諦めるなどあり得ない…………とは言え、魔物の氾濫がもう1ヶ月半は続いている。いったいどうなっている? 皆の疲労も無視できないレベルだ。このままだと押しきられるのも時間の問題……冒険者の手も借りているがそれでも足りないっ! どうすれば……)


 魔物の氾濫が収まる兆しは未だにない…………





      *      *      *





 パラティス王国に異変が起きたのは2ヶ月前のことであった。魔物が増え,人だけでなく自然に被害が及ぼされる事を阻止するために、毎年中月(8月頃)に魔物狩りを行うのだが、例年よりも魔物が少なかったのだ。一年を通して、冒険者が倒していた魔物の数に変化はなかった為に不気味さが残った…………しかし、そこで思考を止めてしまった。

 増えているなら誰もが警戒しただろう……しかし、魔物は減っていた。故に、警戒した者は一定以上の経験,実力を持った冒険者……あるいは、長年国を護ってきたベテラン騎士のみで、殆どの者は楽観視していたのだ。しかし、ベテラン騎士達の働きのお陰で国は守りを固める事にした。流石の国も、長年国を支えている騎士の言葉を蔑ろには出来ずに、保険のつもりで派遣したのだ。冒険者ギルドでもベテラン達が、態々国境付近の依頼を受けて自主的に警戒体制を作っていた。


『この嫌な予感だけは外れていて欲しい』


 そう思いながら…………しかし、それは叶わなかった。更なる異変が半月後に起きてしまった。それは魔物の氾濫であった。氾濫と言っても、最初は冒険者達で食い止められる程度の規模の小さい氾濫でしかなかった。しかし、一週間もの間続けて魔物がやって来ればどんなに勘の鈍い者であっても『これはヤバイ』と気付いた。国も躊躇いなく腕の立つ騎士を派遣したし,異を唱える貴族は誰もいなかった。武家の貴族は自らも前線に立つと志願したが、流石に『当主が出るのは不味い』と腹心が止めていた。そうして守りを固め、できうる限りの対策を取るも魔物の数は減るどころか増える一方であった。





      *      *      *




 魔物の氾濫が起きてから半月がたち、遂に我慢できなくなった貴族が現れた。


「…………………………もう…………我慢ならん! 俺は前線に行く! コーディー、俺の防具と剣を用意しろ!」


 鋭くつり上がった目に厳つい顔,鍛え上げられた肉体を持った紅髪の男…………ウォード伯爵家当主,エヴァン・ウォードだ。パラティス王国において公爵を抜けば一番位の高い貴族だが,王国の『弱き者を護る』と言う信念を色濃く受け継いだ貴族だ。


「出来るわけねぇだろ! あんたは自分が貴族の当主だって自覚はないのか!?」


 敬語もへったくれもなく、苦労人顔の金髪の男…………エヴァンの腹心であるコーディーが突っ込みを入れるが、


「そんなもんは知らん! それは領民を,国を守れりゃぁそれでいいんだよ!」


「よくねぇよ!」


 と聞き入れる様子はない。エヴァン・ウォードは…………否,ウォード家は(ズレまくっている武家貴族の中でも一際)貴族としてズレているのだ。腹心(今の代はコーディー)がブレーキ役として機能して、何とか貴族としての体面を保っているのだ。今回のような場面においては、ブレーキ役もウォード家も細かいことは気にしない。そうして騒いでいると


「父上! 前線には私に行かせてください!」


 と言う女性の声が…………嫌な予感がして頬をひきつらせながら振り向くコーディー。そこには、エヴァン譲りの鋭い目と紅髪を持った女性(既に武装済み)がいた。


「ぁ……アリシア様。いやいやいや! アリシア様も何をっ!?」


「アリシアぁ! お前は何を言っているのかわかっているのか!? もし、半端な気持ちでそんなことを言うのなら俺を倒してからしか行かせはせんぞ!」


 アリシア・ウォード……エヴァンの娘であった。反射的にコーディーが止めようとしたが、エヴァンによって阻止されて勝手に親子で話が進んでいく。


「当たり前です! それに、今回は私が適任のはずです。姉上は軍師としては優秀ですが体が弱く前線には行かせられません。兄上は次期当主です。父上は言わずもがな! ならば私が行くべきでしょう!」


 コーディーは令嬢のあんたも不適任だと言おうとするも、エヴァンに口を塞がれて言葉にならなかった。


「覚悟が有るなら何も言わん。王に伝えて我がウォード家の騎士と共に行ってこい! 死ぬなよ!」


「はい!」


 アリシアはそのまま走って外に出て、王城に行ってしまった。そして、コーディーはお腹を押さえながら膝から崩れ落ちてしまった。







どちらも頑張って書ききってやりますよぉ!

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