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修行開始

『メアおはよう。起きて!今日から修行を始めるよ』


 「まだねむいよ〜。もう少しねかせて〜」



 朝日が顔を出す前にメアのブレスレットがキラリと光る。


 「あつつつつつ」


 あまりの暑さに目が覚めるメア。


 光ると同時にメアの身体全体に薄い膜のようなものができたのだ。


『おはようメア。いまメアの身体の周りに炎の魔法をかけさせて貰ったよ。まずは軽い温度からだけど慣れてきたらどんどん上げていくよ』


 「アメちょっとストップストップ!これほんとうにあつい!しんじゃう」


 メアを包む膜の温度は現在100度に達している。


『大丈夫だよ。ボクが同時に肉体回復魔法と精神回復魔法を使っているからね』


 普通の状態ではどんな人であろうと十秒も持たないであろう状態をアメの魔法によって無理やり維持されている。


『まずは温度に慣れていこう。どんどん上げていって火の温度まで慣れてきたら魔法の練習をしていこうね』


 顔は見えないがすごくにこやかな声で悪魔のようなことを平気でいうアメにメアは昨日言ったことを少しだけ後悔するのであった。







 人間というのは凄いことに、はじめはまともに喋れなかったメアも昼くらいには常に回復される魔法によって状況に身体は慣れはじめていた。精神が狂わなかったのはアメの精神回復魔法はもとより弱気なことを一切いうことのないメア持ち前の気持ちの強さなのだろう。


 その様子を見てアメはもう一段階上げるねっと、上機嫌な声でピカっと光ると共にメアの断絶魔のような悲鳴が家の中へと響く。



 「あの子大丈夫かしら」


 呟くメアの母親。

 メアの家族は昨日アメによって絶対に覗いてはいけないと釘を刺されていた。


 「初日から全開のようだね。任せるといった以上信用してみよう。ダメだったらあの子も諦めるだろ」


 昨日食事をしながら、もしメアがアメの特訓に耐えれなかったら冒険は諦めると話がついている。




『さすがメアだね。ここまで弱音を吐かずにやれるなんて』


 悶絶しながらも唇を噛み身体を慣らそうとする少女。


 「こ、こんなことであきらめるなんてぜったいにないんだから」


 苦笑いを浮かべながら返事をする。


『まだまだ余裕そうだね。じゃあどんどんいくよ』



 「へ?」



 「んにゃぁぁぁああああ」



 アメはメアの様子を見ながらどんどんと温度を上げていく。





 少女の悲鳴は日が暮れても続いた。



『まあ、こんなもんかな?』



 少し納得したように声をあげ少しだけ温度を下げるアメ。


 「はぁはぁ。終わったの?」


 終わりなく温度が上がり続けて意識が朦朧としてるメアには温度が少し下がったことでとても楽になったように感じる。


『そうだね。まずはその状態をキープできるまでになったから今日はここまでにしようか。もう晩御飯の時間だ。いまの状態はこれからも続けて少しずつまた温度を上げていくよ』


 いまのメアの表面にある膜は炎と一緒の温度に達していた。メアの触れるものには影響なくメア自身にだけ影響を与えている。メアの表面は超速な自己回復が起こり凄まじい速度で炎に順応していっているのである。



 メアの部屋の前には晩御飯が置かれていた。

 初日はきっと食欲がないだろうと果物を中心とした食事が準備されていた。


 部屋に持っていきどうにか口へと運ぶ。身体の一部へ解除することも可能らしく果物の冷たさが五臓六腑へと染み渡る。



 たくさんあった果物を一気に平らげてメアはアメに話しかける。


 「ねえアメ。きょうのとっくんってなんのためにやってるの?」


 目標の見えないことは非効率かとアメが軽く思考した後に質問へ答える。


『メアはファイアーボールってどんな魔法か知っているかぃ?』


 しばらく考えるメア。


 「う〜ん。てのひらからひのたまをつくってとばす?」


『それがこの世界で一般的な使い方かな。ファイアーボールを実践で使っていく人は新しい魔法をどんどん覚えていくからそれ以外の使い方をしないもんね』


 意味深なことをいうアメにメアは質問を続ける。


 「ちがうの?」


『それもファイアーボールというのが正しいかな。ファイアーボールはそもそも炎の玉を創り出す魔法であとは使用者のイメージでどういったこともできるんだ』


 「?」


 首を傾げるメアに言葉を続けるアメ。


『炎といってもそれがどんな炎でどんな温度なのか。どこに出して、どうやって放出するのか。一つの魔法だけでも沢山のことができるんだ』



 「むずかしいね」


『今日の特訓でメアは炎の温度をイメージできたからそこら辺の魔法使いのファイアーボールよりも強烈な温度で炎の玉を作ることができるようになったのは勿論、手のひらからだけじゃなくて火の玉を持つこともできるようになったって言えばわかるかな?』


 あくまで現段階ではアメの補助も欲しいがこの特訓を続けることで炎の耐性が上がっていき最終的にはアメの補助などいらなくなるだろう。


 「あっそれならわかった。まほうっていろいろなことができるんだね」


『そうだよ。魔法は想像力でどんなこともできるんだ』


 「わたしアメとならどんなとっくんもがんばれそう。きょうたいへんだったけどわたしがつよくなるためにやってくれてるってわかってたし、これからもよろしくね」


 心から信頼してくれているメアに少し恥ずかしそうなアメだったが、うんっと小さく答える。


 「ふぁああ」


 修行の疲れがきたのだろう。メアは大きな欠伸をする。


『明日からは魔法の練習も始めていこう。今日は寝ようか』


 うんっと頷きベッドへと入る。

 朝悲鳴をあげていたのに今では炎の温度を保ったまま眠れるほどになっていたメアの順応力の高さにアメも嬉しそうにおやすみっと声を掛けメアはゆっくりと目を閉じる。

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