出会い
二作目になります。一作目と並列して書いていこうと思います。主人公とともに楽しみながら成長できるそんな作品にしたいと思います。できたら楽しんでいってもらえたら嬉しいです。よろしくお願いします。
晴れ渡る空、どこまでも広がる大地。
「さあ、今度はどこにいこうかなぁ」
爽やかな風とともにトレードマークの真っ赤なマントと肩まで届くかどうかのショートヘアをなびかせ女の子は伸びをする。
『北へ行ってみれば?これから暑くなってくるから涼しいんじゃない?』
女の子の腕につけているブレスレットが声を出す。
「北か。そうだね。じゃあのんびり北に向かってみようか」
ブレスレットに触れながら一歩を踏み出す。
♢
時は十年遡る。
「メアの職業は魔法使いのランクFじゃな。悪いことは言わん。冒険なんて諦めて両親と一緒にトマト畑を栽培しなさい」
トマトが名産の田舎村。ここが私が生まれ育つ、そして育ったという予定になるリュート村。
そんな田舎村の一角でこの世界で共通のイベント。そう七歳の誕生日に現れる職業適性を受けている最中である。
「ボケたのおじいちゃん。そんなわけないじゃん。もういっかいやって」
......。
「メアの職業は魔法使いのランクFじゃな。悪いことは言わん。冒険なんて諦めて両親と一緒にトマト畑を栽培しなさい」
......。
「メアの職業は魔法使いのランクFじゃな。悪いことは言わん。冒険なんて諦めて両親と一緒にトマト畑を栽培しなさい」
......。
「メアの職業は魔法使いの.....」
「ええぃ。なんかいもいうな。わかったわかったから」
涙目になりながら村長であるおじいちゃんへ足蹴りをかます。
「おじいちゃんのばーーーかーーー」
ワーワーっと泣き叫びながら家を飛び出す。
「まったく困ったもんじゃ」
白いあごひげを擦りながらやれやれといった感で呟く。
「女の子だもの。旅なんて危険なことしないでこの村にいてほしいわ」
そう言って二階から顔を出すメアの母。
「そうじゃな。可愛い孫を危険に晒したくもないしのぉ。まあ運良くといっていいのか分からんが強い適性ではなかったので安心じゃな」
二人は安堵のため息を吐く。
人一倍負けず嫌いで好奇心旺盛なわんぱく娘に手を焼いているがやはり愛する我が子、我が孫を危険になど晒したくない。しかしこの7歳の誕生日の職業適性次第ではさらに冒険に行きたいと拍車をかけることになったかもしれないのだ。
高ランクな職業の際は国から要請も来たりする。そんなことが起こらなかったことに安堵した。
しかし二人は見誤っていた。
娘であり孫は二人の想像を遥かに越えるほどの好奇心旺盛で負けず嫌いだったのだ。
走る走る。草原を泣きながらひた走り息が苦しくなる。しかし立ち止まらない。
立ち止まると先程の事実を受け止めてしまうと感じているからだろう。心臓が破裂するような感覚が襲うがさらに走る。
前は潤んでよく見えない。
足元はひたすらの草原。穴のひとつも見つからない。
どこまでも続く草原をひた走る。
(ズテンッ)
足元のなにかに足を取られ顔から地面にダイブする。草の匂いと涙の塩っぱさが伝わる。
「いったぁ〜い。うわぁ〜ん。まほうつかいランクFってなんなの〜!ぼうけんしたいのにおかあさんゆるしてくれないよ〜」
『なんで許してくれないのさ?』
「だってじぶんのみもまもれないやつがぼうけんなんてできないっていってたもん」
泣きながら声に反応する。
『じゃあ守れるほど強くなればいいだけじゃないか』
そう言われてハッとする。
(そうだ。たんじゅんなことじゃん)
メアは視野がバッと拡がると共に感謝の気持ちでいっぱいになり声のある方向を向く。
そこには草に紛れて金色の飾りっけのないブレスレットが転がっていた。
『やあ。人と話すなんていつぶりだろう。暇つぶしに話なんてどうだぃ』
メアは喋るブレスレットに怪しさを抱くこともなく目をキラキラさせ、喋るブレスレット〜っとブレスレットを持ち上げ手首へ通すとブレスレットに向け声をかける。
「よろしくね!えっとなまえなんていうの?」
『ボク?名前なんて持ってないんだよね』
「じゃあ私が付けてあげる!う〜ん。わたしがメアだからあなたはアメね。メアとアメいいかんじ」
『アメ......。まあいっか。うん。よろしくね』
メアはニッコリと笑い頷く。
「ねえアメ。わたしまほうつかいのランクFなんだって。どうすればしんぱいされないくらいつよくなれるかな?」
『ちょっと待っててよ』
そう言ってアメが黙るとブレスレットに緑色の光が現れる。
『魔法使いランクFっていっても使える魔法だったり、これから覚える魔法だったり、スキルっていう人によって現れる先天的な能力があったりで一概には言えないんだ。いまボクの魔法でメアを見てみたんだけどその.....』
「なになにアメそんなことできるの!?すご〜い!わたしどうだった?つよくなる?」
潤んだ瞳でブレスレットを見る。
『わかりやすくいうとメアの唯一使える魔法はファイアーボールだけだよ。それは今後も変わらなかった。ランクFだからしょうがないね』
いまにも泣き出しそうな顔になる。
『だけどね。スキルの中に魔法レベル上限なしっていうのがあった。だから死ぬ気で思いっきり何度も何度もファイアーボールを撃ち続ければ化けるかもしれないよ』
少女の目が一気に輝く。
単純!そう単純なのだ!
ひたすらただひたすらやれば芽があるんだ!
少女の心に火が灯る。
「アメ!わたしやるよ!!このむらがきらいってわけじゃないけど、わたしいろいろなところにいってみたいもん!アメわたしがつよくなるのてつだって!」
ブレスレットは楽しそうに笑う。
『いいよ。ボクも暇だったし、なにより面白そうだしね。強くなるの手伝ってあげるよ』
こうして一人と一リングの伝説が始まる。
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