第四話
通称1番の騎士の目線入ります。
はぁ…
俺の前には屍が6つ。1番と、4〜8番までの第九騎士団員。
めんど。
…さすがに強行軍過ぎたかな?
19番の新作魔道具で空間移動を繰り返し、本来2週間で行くはずの距離を1日弱でたどり着けたのは良かったが、想定よりもあの魔道具、酔った。しかも途中で休憩挟まなかったのも祟っているだろう。とはいえ…
めんど。
まぁ、1日か半日か休憩するか…早く復活しないかな…
しょうがない。部下どもが復活するまで体動かすかー…嫌だけど。やり過ぎないようにしないとね。部下に仕事がなくなると可哀想だ。
と、言うわけで。
俺はニッコリ笑った。
「うるせえよ豚どもが。」
ミノタウロス:「ブヒッ!?」
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カイトからの通称1番はため息をついた。もう、呆れしかない。驚きとか、恐怖とか、疲労とか、いろいろ回り回ってそうなった。
伊達に1年もこの上司に仕えてない。そう思っているのは何もあの伊達メガネ副官だけではない。今息ある第九騎士団全員がそう思ってる。もう、ちょっとやそっとでは驚きやしないし、恐怖することもない。そう、例え普段「魔法なんてほとんど使えねーよ、剣で事足りるしな」とか言ってる上司が一度に上級魔術師がぶっ倒れるほどの魔力を要する魔道具をバカスカ使おうと、例え…
「…」
…目が覚めたらB+級の魔物のミノタウロスの血の海から自分の上司が現れようとも、驚かないのだ。返り血を浴びてニヤリと笑う仮面の上司を見ても恐怖しないのだ。それよりも…
「てめーら、ほんと起きるの遅せぇよな… 安心しろ、ちゃんと残して置いてやったから5人でアレ全部捌いておけ。あ、1番は午後免除。書類と飯作っとけ。」
…人外鬼畜な命令の方が驚きと恐怖だ。カイト団長の後ろ、魔王軍の1部じゃん。傷だらけのボスっぽいミノタウロスとか結構のこってるじゃん。わざと残しましたよね団長。ワイバーン混ざってるじゃん。これを5人で?しかもオレ、午後はこの量の魔物たちについての書類を作成し、飯を作れと。1人で。いや前半はそのために来たから分かるけど後半は…
「心配無用だ。こんなことでへこたれるような騎士に育てた覚えはねぇぞ?」
ニッコリ笑う上司。恐怖でしかない。
やはり、あの仮面の緑の目はガラス玉だ。人間とは思えな…
ニッコリ。仮面は口元に笑みを浮かべる。
「どうした?仕事が少なすぎて物足りないのか?」
「いいえ結構ですこの上なく充分に素晴らしい仕事を頂けたと喜びに打ち震えておりましたっ!」
ふう。危ない危ない。
上司は面白そうにこちらを見ている。面白くないからオレのことは忘れてほかの人にも仕事をあげてええええええええええ!
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うん。やっぱり1番は面白いやつだ。いじりがいがあるな…w
・・・おっと口が。
いけないいけない。
さぁて、部下どもはどれだけ仕事ができるかな?できれば俺は手を出したくないしなー、めんどいし。