表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/39

第三十三話

 

「「「……!」」」


 突然現れた女神に、勇者・騎士たちは驚きに目を見開いて、それから慌ててひれ伏した。幾人かは頬がほんのり赤くなっている。


 〈男が頬を染めルとか、キモくね?〉


 リアよ、それは思っても口に出すもんじゃない。


 〈口には出しテない〉


 …他人(ひと)の心ん中でくだらないことを言ってるリアは置いておいて、まぁつまり何が起きてるかというと、皆が女神の美しさに驚いてるというだけの話。


 〈ホント、無駄に顔だケはいイよな〉


 …リアがうるさい上に聞き取りづらい。まぁいいやそんなこと。


「…勇者たちよ。よくぞ世界に影をもたらす魔王を倒しました。これで、この世界にも平和が戻るでしょう……」


 女神が静かに話し始めた。夢の中で見た邪神と同一人(神?)物とはとても思えないような、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。


「お、おいっ!頭を下げろっ、本物の女神様だ!」


 遅まきながら、王太子が小声で俺の頭を下げさせようとしてきた。無理だけどね。


「いいからいいから。」


 俺に、()()に下げる頭などないからな。


「あ、あのっ!女神様、お願いがあるのですが…」


 イインチョーが代表して口を開いた。女神は、緊張しているイインチョーを慈愛のこもった眼差しで見つめ、微笑んだ。


「何かしら?申してみなさい」

「あ、えと、僕らには5年ほど前、3人の仲間が行方不明になってしまったのですが…なるべく一緒に日本に帰りたいので、差し支えなければ、探して頂けませんか?」


 おお。イインチョー、頑張った。おつかれー。冷や汗ダラダラじゃねーかキモッ


 〈…カイトが普通に失礼な件について。〉


 わー、リアがいつになく滑らかに話せてる。すげー


 〈……〉


「…ふむ、まぁよいでしょう。あなたたちはよく頑張りましたし…探してみましょう」


 どこか上から目線な口調の女神は、そう言うと目を閉じた。いわゆる『探査(サーチ)』を使用しているのだろう。世界単位で。


 ………と、一般的には考えるだろうが、俺は絶対何もしてないと確信している。何しろ、彼女はその3人の行方をほぼ正確に知っているのだから。


「…あのな、女神様は偉いから、上から目線は当然だぞ?」


 ボソッと王太子に注意された。


 ば、バレてらー……


 つか、それ、口に出してて平気なのか王太子。まぁ、不敬罪の塊みたいなやつは俺がいるしな…あんま目立たないだろうけど。


 不意に女神は目を開き、そして悲しげに目を伏せた。


「…残念ながら、3人は、既に……亡くなっています。」


 ハッと息を呑む音と、諦めたようなため息、小さな嗚咽が勇者たちの中から聞こえてきた。泣いているのは、おそらく死んだ勇者の親友だろう。諦めたのは、5年も見つからないことから死んでいることを想定していたやつら。


「お、おしえて頂き……ありがとう、ございます」


 イインチョーが鼻声になっている。感受性豊かなタイプだったらしい。知らなかったなー。どうでもいいけど。


「他に何かありますか?」


 女神が気遣うような言葉を口にする。


 〈100%社交辞令だろ〉


 リアに同感。


「…いえ。大丈夫、です。」


 イインチョーがイインチョーらしく1拍ほかの生徒らの反応を見てから返事をする。万年イインチョーのあだ名は伊達ではない。


「…わかりました。それでは、わたくしから、試練を無事に乗り越えたあなた達への褒美を与えましょう。」


 その言葉に、待ってましたとばかりに生徒たちは、期待と好奇心でいっぱいの顔を上げた。


「それと、後にいる方々もいらっしゃい。皆で、楽しく“パーティ”をしましょう」


 女神(かのじょ)はさも愉しげにわらった。






カイトは絶対にナレーター向きじゃない(確信)。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ