第二十九話
うーん…
やっぱなぁ…
なんというか…
「…つまんねー」
「いや、こっちは忙しいんですけど…」
「なぁ、なんで騎士と王子が戦って騎士団長が暇そうに部下の後ろで鞭を振ってるんだ?暇なら参加しろ」
「それ、どうせ命令じゃないだろ?俺は部下に敵を譲ってやってんの。王太子はなんか自分で火の粉被って払ってるだけじゃん」
「…団長、護衛ならば王太子の火の粉は団長が払うべきでは?」
「火の粉は雑魚過ぎてつまらん」
「………雑魚なのか、こいつら…」
王太子がため息をついた。
いやだって、ねぇ?
今さら下級悪魔ごときが出てきても、しゃーないだろ。まぁマシはマシなんだけとさ…魔神とか、それくらいのレベルだったら殺しがいがあっていいし、最悪上級悪魔くらいあれば反応が面白いのに、血も出ない下級悪魔とか面白味もないだろ。
それに…
「…部下共(と、王太子)が強くなり過ぎてこっちにあんまり敵がまわってこねぇし…」
「良かったな」
「お褒めに預かり光栄です」
そういや、副官は戦ってねぇのな。
「だから、私は非戦闘員なんですって。」
あ、そうだっけ。
「まぁ書類係だし…」
「本音出てますよ?」
「仕事しろよ団長」
王太子が地味にひどい件について。
にしても暇すぎるな…
「遠いなー、魔王の謁見の間(笑)」
「お前、なかなかひどい言いようするな…(笑)って…」
「王太子殿下、そこは突っ込んでも仕方ありません。団長ですから。」
「ああ、そうだったな」
納得するなよソコ。
えーっと、とりあえず…
「…団長、王太子殿下を殴りすぎでは?」
大丈夫、大丈夫。
「何を根拠に安心してるんですかこのヒト(?)…」
…副官、地味にうぜぇ。
「お前、王太子運べ」
「私非戦闘員かつ(第九騎士団内では)非力なんですけど!?」
だからやらせるんじゃん。
「まぁどうでもいいとして…」
「…ひどいな、さっきからお前」
あ、王太子復活した。
じゃなくて。
「よし、魔王のとこまで近道しよう」
「「へ?」」
訝しげな顔をする王太子及び副官は置いておき、俺は部下共に声をかけた。
「おい、おめーらいったんどけ。」
「「「へ?…は、はいっ」」」
部下がいったん避けたのを確認し、俺は剣を2本抜く。…一応双剣士として軍に入ったんだが、大抵のことは1本で済んでいたなんだか悲しい事実。おかげで副官が、なぜ2本?的な顔をしている。
で、まぁこの剣で何をするのかというと。
俺は、スキル『探査』をてきとーに発動させて大体の魔王の方向を確認、そして…
道を切り拓いた。
まぁなんてことはない。菱形になるように魔王の方角に斬撃を飛ばしただけである。いわゆる、真空剣的な?一応、そういうスキルはあるから、そんなに驚くものでもないんだが…
なぜ驚いてるんだ副官。青ざめる要素がどこにあったんだよ王太子。あと呆れるな喜べよ部下共。近道できて良かったじゃねーか。な?
「…だ、団長っ」
「なんだ?副官よ」
「スキル、使ってないですよね!?これ」
なぜバレたし。スキル持ってないわけじゃないんだが、ちょっと切れすぎそうだからやめただけだ。
「…切り口が違いますからね。スキルを使えば、こんな風に切り口が摩擦で溶岩みたいにドロドロになりませんし、剣が音速を超える必要はありませんから」
え、嘘、マジで?溶けたのか、岩…脆っ
「それに、その剣、速度と切れ味を馬鹿みたいに落として頑丈さを上げてるネタ武器ですよね!?なんでそれで真空剣自力で出来ちゃってんですかこの人外ッ」
剣もバレてらー。せっかく手加減MAX剣をこっそり使おうと思ってたのに。堂々と使うしかないじゃねーか。バラすなよ、副官。絶対王太子は気づいてなかったのに。
まぁ、そんなことどうでもいいや。今はそうでもなくてもどうでも良くなるし。
世の中そんなもんだ。うん。
「勇者たち、そろそろ魔王倒せたかなー?」
「どうでもいいって…ハァ…、もういいです…」
「副官よ、人外に何言っても無駄だ…諦めよう」
なぜ副官は王太子に慰められてるんだろ?まーいいや。
それよりも今は魔王と勇者が気になるなー




