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第三話

 

 ドサッとまた新たな仕事が現れる。


 俺はギロっと副官を睨みつけた。


「うるさい」

「失礼しました。」

「今度はどこだ?」

「魔王が、ジア領にでたとか」

「…ダリぃ」


 相変わらず、魔王は活発である。めんどくせー


「で、その案件も俺に任されたわけ?」

「ええ、なんでも、第九騎士団(ウチの騎士団)は優秀な戦力だから使わずにはいられないとか王太子殿下がのたまったとかなんとか」

「…変人王子も相変わらずだな。あと、お前不満が口の端から出てるぞ。」

「はっ、失礼しました」


 ここでわざわざ口元を拭う振りをするところなどは、ユーモア溢れる副官である。


「…ったく、おとなりの勇者殿はまったく何してるんだか。」


 俺がため息をつくと、副官はもっともらしくメガネをかけ直して言った。伊達メガネのくせに。


「勇者殿一行は、魔王討伐のためにどうやら食料を集めつつ日々カカシに挑んでいらっしゃるそうで、魔王討伐達成の日も遠くないそうですよ。」

「…爆笑」


 俺は表情を1ミリたりとも変えずに言った。


「世界を救う勇者サマ方にとんだ皮肉だな」

「いえいえ、お褒め頂いても何も出ませんよ?」


 あからさまに勇者を馬鹿にした会話をしつつ、そういやこの副官の出身は勇者召喚した国の村だったっけと思い出す。…あと、こいつの名前なんだっけ?


「そういやお前、勇者にあったことあるんだっけ?」


 副官はニッコリ笑みを浮かべて言った。


「ええ、大変頼もしい(・・・・)勇者サマたちでしたよ。虫ごとき相手に、非常に苦労なされていて。食料は私たちの日々の食事のなかの6割を召し上がって。村の住人全員で勇者サマ30人を養わせて頂くという素晴らしき栄誉(・・)を賜い、血を見ても虫を見ても逃げ出すまたは気絶する様は、将来の有望さを感じましたね。」


 この副官、なかなか黒い。どんだけひ弱で将来が絶望的だったんだ勇者。


「あと、団長が部下か騎士か人間か生物かに関わらず名前を忘れるのは慣れてますから、お気になさらず」


 ・・・バレてらー


 俺、そんなに酷いか?…いや、若干自覚あるかも。


「あー、そういやジア領の話だったんだっけ?」

「…まぁ、今回は乗りますけどいつも話を逸らせられるとは限らないので頭の片隅にでもどうぞ。」


 ヒュー、ウチの副官優秀ぅ、なんでもかんでもお見通し☆


 …_| ̄|○、;'.・ ゴホゴホオェェェェェ


 キャラに合わないことはするものじゃないな、うん。


 つか、なんでバレてんだろ…仮面してるのに。


「気配でバレバレです。伊達に団長の元で副官を1年も務めてませんから。」


 ドヤ顔で言われた。そんなドヤることでもないだろうに。優秀なのは分かるけど。


 ふう、と息を吐くと、適当に命令を出した。


「3日で出かけるから4番から8番までに出かける準備しとけって言っておいて。あと、適当に書類つくっといて報告しといて。あ、あと1番も書類係に連れてくからそれもよろしく。」

「また適当な命令ですね。分かりませんが承りました。」


 副官はやや困ったように眉を下げたが、頷いてペンを手にした。ほんと、優秀なやつだ。いや1年前はおどおどした残念なやつだったが、人は変わるものだな。…え?何が原因かって?さぁーね、しーらない(泳ぎ目)

副官は男です。

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