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第九話

 

 カツ、カツ、カツ、カツ…


 ガチャン


 食堂に入った瞬間に、一斉にこちらに目が向く。以前からよく振り向かれていたが(服装的に)、最近さらに見られるようになった気がする。勇者たちのせいだ、絶対。第九騎士団なんて俺が入る前は存在してるのか危うかったぐらいだし。


「あれ、珍しいですね。団長がフードをとっているなんて」

「ん、涼しかったからな」


 俺のコートには自動空調がついているから、ぶっちゃけフードかぶっている方が砂漠でも雪山でも同じように過ごしやすい。だからこそ、誰になんと言われようが騎士の制服を着ずに以前と同じような格好でいる。目立つけどな。


「カイトさんって茶髪で、髪長かったんですね…」


 ふむ。勇者どももなかなか敬語を使えるようになったな。最初は全く使ってなかった。甘える心が強すぎたからな。異世界から来たとはいえ、自分より実力が上の人には敬語を使わないと、いつか殺されそうだし。…もしかして俺、天使並に優しい説。


「そこは一応目上の人に、と言うべきでは?」


 今日も副官は優秀である。心を読むんじゃねーよ。


「あと、勇者たちをガン無視してますけどよろしいので?」


 え、アレって無視していい会話じゃねーの?


「つかお前も口元にやけてんじゃねぇか」

「まさか。勇者が疲労困憊でさらには無視されていても楽しいなんて、団長ではないので喜びませんよ」

「…どの口が言ってるんだ、それと俺は喜んでやってる訳では無いぞ?期待の勇者たちのために涙を呑んで訓練しているんだ」


 俺は、どの口が、と呟きかけた副官の口に銀色の鉄槌を押し込む。


「ぐふ、っ!?」


 大丈夫、死なない。銀色の鉄槌は回復効果もついているからな。拷問向きの素晴らしい道具である。


「食堂でやらないでください。」


 ボソリとつぶやく2番。あ、いたんだコイツ。



 カツ、カツ、カツ、カツ…


 ガタン


 俺はいつもの席に座る。ここへ来た時に座った席だが、何故かいつも空いている。最近は周りの席も空き始めた。日は当たらないが窓のそばでかなりいい席だと思うんだがな。謎だ。


 座ると同時に、第九騎士団の兵士が現れて給仕を開始する。頼んではいないのだが、何故かいつも誰かしらいて給仕してくる。お前ら暇か?


 ちなみに、給仕たちは全員無表情な微笑みだが、僅かに恐怖した気配がある。最初よりはマシだが、そんなに怖いならやらなきゃいいだろうに。


 まぁ、ありがたいんだけどね。


「どうぞ。今日のメニューは肉の煮込みと…」


 今日の説明係は副官直々らしい。バイキング制だから自分で取りに行ってもいいんだけどな。周りの目も痛いし。


 ま、どうでもいいやそんなこと。



 …とか言って放置しなきゃよかったかもしれないな


 周りの目が痛い。


 なんだか、一挙一動を見られているような気がする。顔を向ければ慌てて顔を背ける気配がする。敵意はないんだが…なんにしても気になる。


 フードとっていると余計にそんな気がしてめんどくさい。被っておけばよかったな。とはいえ今から被るのもめんどい。いや、この思考もめんどい?…やーめた、細かいことは考えないことにしよう。

一応、主人公女なのに誰も気づかなくて作者も忘れそう…

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