プロローグ「音楽に愛された者」
『音楽』それは延々と嗜まれ続けてきたものであって人々に感動や喜びを与えるものである。更に言うと、自然科学者のダーウィンが唱える「性選択説」では性的衝動の表現として動物の鳴き声があり、とりわけその鳴き声に魅力を感じたならば異性に好まれるのだそうだ。それ故、音楽は現代においてなお人々にとって必要不可欠なものであると見なされている。例えば国歌もその一環であると考えて良い。国を代表するものを音楽にしてしまおうという考えである。それ程世界は音楽に満ち溢れているのだ。しかし、それはときどき嫉妬や妬みを生むことがある。その主な起因として音楽による才能やセンスの違いが挙げられる。まあ、ある程度の実力であるならば努力でカバーする事も出来るだろう。だが、それには限度がつきものであって、音楽的な感覚が一般的な人々は、自分達よりも遥かに格が上である存在を『天才』と呼ぶ。
モーツァルトやベートーベン、バッハ、この名前は誰もが一度は耳にした事があるのではないだろうか。彼等は誰もが認める音楽界の天才である。確かに、彼等は音楽界に革命をもたらした人物であることに変わりはない。
だが、そんな彼等にも悩みの一つや二つはあったのではないだろうか?
無論、人々は皆悩みを抱えて生きるという使命を果たす為に右往左往するがそれが無駄な行為であるとわかると現実を逃避しようとする。
しかし、偉大な作曲家であるベートーベンはこの様に言った。「神がもし、世界でもっとも不幸な人生を私に用意していたとしても、私は運命に立ち向かう。」
僕らは人間としてこの地に立った瞬間から自らの能力と伴にこれから先の人生を切り抜けなければならない。そして、 これは過去に囚われた一人の少年と音楽の天才と称されたが訳ありな少女が様々な人々と関わり合って自分達の運命に立ち向かっていくそんな物語なのである。