子供たちと遊ぶのですが……
サクヤに引率されて商店街でショッピングです。
タリスお姉さんと手をつないで歩いていると、マリオンが進む先にいたので、
「タリスお姉さんちょっと待ってくださいね。」
と、少しタリスお姉さんに待ってもらって、
「マリオン?どうしました?」
と、話しかけると小声で……
「ミリア様、私たち親衛隊は影からお守りしています。あと、お館様と女将は今の状況をお知りになり、大変お喜びです。
商店街……というか塔の全てのモンスターに緊急指示が出ています。内容はミリア様の正体を子供たちにばらさない事、子供たちを優待すること。『子供たちに愛と夢を』作戦と名づけられました。」
作戦名必要……?
「ミーアちゃん?そのクマさんはぬいぐるみじゃないの?可愛いねー?クマさん。お名前は?」
と、タリスお姉さんが私たちに近づいてきたので……「マリオン、可愛い感じにしてください!」と、言い、マリオンを紹介しました。
「タリスお姉さん、この子は私のお友達のマリオンです。一緒に連れて行ってもいいですか?」
「私、マリオン!ミーアちゃんの友達なんだ!みんなよろしくねー」
と、挨拶してくれたマリオンは一瞬にして子供たち、主に女の子達に連れさらわれてしまいました。
「連れていかないとダメみたいね。みんな!ミーアちゃんの友達なんだから優しくね〜!」
はーい!と子供たちがマリオンを抱っこして連れてきてくれている……
その後は商店街の中をうろうろし、アクセサリー店の中や道具屋、おもちゃ屋の中を騒がしく見学していった。
「すごいねー。ミーアちゃんはいつもお休みはこんな所でショッピングしてるの?」
「そ……そうです。いい所でしょう……?」
「ミーアちゃんなんで目を逸らすの?」
……私、商店街は初めてなんですよね……
「お嬢さん方〜。何か記念に買っていきませんー?安くしちゃうわよ〜?」
それに、私お金持ってない……?
今更、気がついた私が振り向くと
「マ……!」
マスラさんがファンシーショップの入口で手招きしていたのです!可愛らしい女の子用の洋服にウィッグをつけて……なんで女装し……いや、そういえば今まで女装してなかった!女装しないパターンのオネエだと思ってたのに……
不自然なのが自然な店員マスラさんは私に向かってウインクして、
「なんでも好きなの選んでねー。可愛いお嬢さんたちだから安くするわー。」
というので、
タリスお姉さんと店の中に入ると、
「あ、これ可愛い!」
とタリスお姉さんが、店の中のものに夢中なったので……
私はマスラさんに近づき、
「マスラさん、お金貸してください……」
と、お願いすると……
「ミリア様、お館様からミリア様にこちらを預かっていますので借りる必要は無いのよ。」
と首から掛けるタイプのがま口財布を渡されました。
「ミリア様用の財布ですので無くさないように首からぶら下げておいてくださいね。中には鍵が入ってまして、ミリア様が触るとハーミットクラブ家の金庫からお金が送られて来ますよ。それで支払いを……」
と言って流れる様な動きで支払い用のカウンターの中に戻っていった。
タリスお姉さんは私に似合う髪飾りを選んでくれたので、私もお返しにとタリスお姉さんに似合う色違いの髪飾りをプレゼントしてお揃いだねっと笑いあった。
その後は店を出て、武器屋や防具屋を覗いてみた。
タリスお姉さんは一緒に歩いている間、いろいろな話をしてくれた。
子供たちは人里離れた森の中にあるハーフの村にある孤児院に住んでいて数年に1回こうして神具の塔の街に招待される。
人間の街や村に捨てられたハーフの子供はそこで暮らしていても虐待されたりこき使われるだけなので、ハーフの村から各地を巡る人員を派遣して引き取られるらしい。
その両方を支援しているのが私の父様、母様……神具の塔の神獣だと。
その後、みんなお腹がすいたみたいなのでサクヤが先導して塔の人たちに評判のレストランに入っり、そこではマーキュリーがウェイトレスをしていて、
「ようこそいらっしゃいました。サクヤ様よりご予約頂き、本日は皆様の貸切です。短い時間ですが、当店自慢の料理をご堪能ください。」
挨拶をしていた。
「ミリア様少しお話が……」
とマーキュリーに耳打ちされ席を外した。
「ミリア様、女将からまだ幼いミリア様には外気から魔力を吸収するだけで充分、ご飯を食べると栄養過多になってしまうので、昼食は食べてはダメと言われています。子供たちが食事している間、別の場所でお休みになりますか?」
と、マーキュリーに聞かれてなぜか不安になりました。
料理が出来たのか、遠くから「わー、美味しそう!」「こんなにいい匂いの食べ物食べたことないよ!」と聞こえてきたので……
「マーキュリー、私が食事を食べないことは上手く誤魔化せますか?」
と、聞くとマーキュリーは会釈し、
「ミリア様、ご自愛を……」
と、言い去って行った。
マーキュリーとすれ違いながらマスラさんとガイさんが来たので、みんながご飯を食べている間、マスラさん、ガイさんから話を聞いておくことにしました。
「今後の予定を教えてください。」
と、言う私は少し声のトーンが低くなりました。
「ミリア様?……大丈夫ですか?」
「問題ありませんよ、マスラさん、ガイさん。」
「でも、不機嫌そうよ……?」
マスラさんが心配してくれているのは分かるものの、自然と口調が荒くなってしまいます。
「問題ないですから!早く予定を教えてください!」
私はなんでこんなにモヤモヤしているのでしょうか……?
「……かしこまりました。昼食が終わりましたら転送陣で闘技場に移動して、3時間程観戦をして頂きます。」
マスラさんが悲しそうな顔をしながら、私の目をしっかり見て、諭すように話をしてくれました。
「マスラさん、あの……私は……」
「ミリア様、お気になさらず。ただ、一言だけ失礼致します。
ミリア様、あなたは特別です。
見た目はあの子供たちと同じ年頃に見えます。
ですが、あの子供たちと同じではないのです。
わかっていらっしゃいますね?」
……そう言われて私は……また少しモヤモヤしてしまいました。