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風を掬う者(先行版) 作者:愚者x2
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弐章/英雄/挿話参拾壱/憎しみが理解へ変わるまで

久しぶりに露衣土の顔を見ると、燿炎の頭の中で、
炮炎が殺された場面が繰り返された。
いつも、夢で見ていた場面である。
燿炎の中で何とも言えないような感情が、
沸々と湧き上がってくる。
兄の炮炎を失った哀しみ。
その炮炎を殺した露衣土を目前にし、
憎しみが生じてきても当然ではある。
しかし、以前は憎しみもあったが、今のこの感情には、
不思議と憎しみのようなものは、もう無かった。
だから、何とも言えないようなものなのだ。
今、燿炎も露衣土もお互いに対して憎しみを抱いて、
敵対しているわけではなかった。
露衣土は精霊の星を統一する事が平和へと繋がると信じて、
その妨げになる者は炮炎であろうとも、燿炎であろうとも、
他の誰であろうとも排除するだけの事で、その結果として、
炮炎を殺す事になり、燿炎とも敵対する事に
なってしまっただけなのだ。
今の燿炎には、そんな露衣土の姿勢が
十分に理解出来るようになっていた。
勿論、幼馴染みという事もあり、長年共に過ごしてきた、
露衣土の性格は十分に解ってはいた。
しかし、炮炎が殺された時は、露衣土に対して、
憎しみを抱かずにはいられなかった。
その憎しみが露衣土に対しての疑問というものを
決定的なものにし、露衣土の下を離れて、
反乱軍へと身を投ずる最大の要因になった。
そして、反乱軍のリーダーとなり、露衣土軍と
戦っていくうちに、平和というものに対する疑問、
戦う事に対する疑問、様々な疑問と向き合う事となり、
それら多くの疑問が燿炎の内にあった露衣土に対しての
憎しみを洗い流してしまったのかもしれなかった。
そして、何の迷いも無く、いや、迷いはあったとしても、
それを表には出さずに、自分が信じた道を突き進む事が
出来る露衣土に対して尊敬の念すら抱くようになっていた。
露衣土は露衣土で真剣に平和へと向かっていたのだ。
今の燿炎には、それが十分過ぎる程、
理解出来るようになっていた。
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