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指輪
久方ぶりに雑誌を買ってみた。気になったのは、付録でも、人気モデルの特集でもなく、指輪の広告だった。
幼かった時に憧れたお伽噺話のお姫様が付けていそうな、幸せの象徴がそこにはあった。
熱に浮かされた様に、 学校へ向かう電車の中でその指輪を検索してハッと我に返る。
つけていく場所も貰う相手もいないのに、何をしているんだろうと。
9時~17時でひたすら自習し、家に帰ってからもまだシャーペンを動かし続ける毎日。お茶らけたことなどしている余裕が無いのだ。
気づけば六年ごとに、私は当たり前のように受験生になっている。初めにこんな一年を体験したのは、小学生の時……。
塾ばっかり行って可哀想とか、子供は遊ぶべきだという意見もあるだろうが、やってみれば全くそんなことは思わない。むしろ、ある程度好きでなければこんな生活は出来やしないのだ。
今まで怠けていた脳が、日に日に知識を吸い込んで膨らんでいく――。その快感を知らない人が、勝手に言っているだけなのだ。
あと半年ちょっと。純粋に勉強だけに勤しめる日が終わるのは、もうすぐそこまで来ている――。




