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第三章 16

 魔獣を売る市場の壊滅。それも誰からの協力も期待できない今、ティアナは単身で行わなければならない。相対した難題は、十人いれば十人が匙を投げるだろう。しかし知ってしまった以上、無視できるティアナではなかった。たとえ既に国務兵でなくなっていたとしても、たとえ今が友人のために一分一秒を争う事態だとしても、彼女の心にある正義が、この事態を見過ごすことを良しとはできない。

 既に生を諦めた身であるからこそ、ティアナは目の前にある死を振りまく存在を滅ぼさずにはいられないのだ。


「組織を潰すのに手っ取り早いのは、頭を潰すこと……。でも、それが分からない」

「おわっ……、独り言か?」


 助けた男を無視して、思考をまとめるためにティアナは小さく声にする。


「末端を潰したところですぐに代わりを用意されるだけ。これが違法薬物なら、畑でも荒らして生産元を絶つっていう手も打てるけど、魔獣を絶滅させるのは不可能だし、そもそも時間がない……」


 末端の補充など、これだけ飢えている者がいるのならば容易だ。彼らは金さえ手に入るのであれば何でもするだろう。生きるために必要な悪事であるために、それを責める気持ちはティアナにはない。だが、この市場だけは許すことができなかった。何も知らない者に毒物を売りつけ、小銭と命を奪い取る。その非道な行いに、ティアナは激怒していた。

 私腹を肥やすための殺人。それはまさしく悪魔の所業だ。人の身でありながら同じ人を害している分、余計に質が悪くも見えている。頭を働かせ、組織を動かしているためなおさらだ。絶対に許さない。

 心は熱く燃えているが、ティアナの頭は冷静そのものであった。激情に身を委ねていれば、彼女は即座に肉を加工していたあの場を壊滅して、それで満足していただろう。だがティアナは、あの場さえも組織の一部に過ぎないことを確信していた。門を通過する際に盗み聞いた会話がそれを裏付けている。

『兵士さんも人が悪い。どうかこれでお目こぼしを』と言った馬車の主に『悪いな。通っていいぞ』街の治安を守るための国務兵がそう返していたのだ。遅まきながら、それが賄賂の受け渡しであることには気づいている。

 国務兵までもが、関与しているのだ。それがあれほど小規模で収まるはずがない。


「せめて、一週間前なら……」


 無いものねだり--、ではなく無くしたものねだり、だろうか。

 一週間前、それは彼女がまだ国務兵であった時だ。権力こそ持ってはいなかったが、ティアナはそれなりの発言権を有していた。仮に一週間前にこの事実を知って、それを報告していれば、迅速に対処されたことだろう。そうでなくとも、スミレや義利の助力を--。そこまで考えを巡らせ、ティアナは己を恥じるとともに頭を振って空想を捨てる。

 たらればを口にしたところで叶うはずもない。スミレは死に、義利は置き去りにしたのだ。ティアナが動かせるのは、己の身一つのみ。それを使う他に道はない。


「考えるのよ、ティアナ……」


 自らに言い聞かせ、ティアナは現実的な手段を探す。流通の元は絶てず、組織の壊滅には時間も人手も情報も足りない。上を動かそうにも、今のティアナには不可能。

 アレコレと考えた末に、ようやくティアナは一つの答えにたどり着く。


「……入り口を、壊せばいいんだ」


 物理的に門を破壊するわけではない。そんな力、今やただの人であるティアナにはなく、聖人であったとしても見えない壁を作る能力では力不足だ。

 入り口の破壊。それが意味するのは、流通の入り口である。門の内側に魔獣の死骸を入れさせなければ、それで問題は大半が解決できる。

 そしてそのための手段も、既に思いついていた。


「悪役、アダチさんみたいに演じられるかしら……」


 友人の演じた似合わない悪役を思い出し、ティアナは口元を緩める。

 そしてすぐに気合と共に引き締めなおし、門を目指して歩き出した。


「おーい、ねえちゃん。どこに行くってんだ? お礼くらいさせろよー」


 背後から届く男の声など、目的を定めて動き出したティアナには聞こえていなかった。



 交代までの時間が差し迫り、男は仕事終わりのことで頭がいっぱいになっていた。普段であればそのまま家に帰るところ、今日の彼は懐事情が芳しい。酒場にでも行こうかと思い浮かべ、自然と足取りは軽いものとなっていた。

 国務兵になってからというもの、彼の楽しみはといえばたまの酒呑みくらいしかない。

 国務兵とはいえその仕事は多岐にわたる。魔人と直接戦う者もいれば、彼のように門での出入りを見張る仕事もいるのだ。もちろん門番は常に二人は居なければならず、そのため交代制勤務となっている。今日の彼の相方は、残念ながら仕事熱心な者ではなく、今も裏で眠りこけているのだが、それを叱責することはできない。何故なら階級というどうしようもない隔たりがあるからだ。方や指団員、方や小隊長。国務兵での階級の差は、そのものそのまま実力差でもある。故に彼は--、リバック・モーブは二人分の仕事を一人でこなすこととなっても、文句を言えずにいた。

 だが文句はあれど不満はない。モーブは心の中で、いずれは上に立ち、何もすることなく給金だけは得るつもりでいた。いつかの自分のためにも、上官が楽をする風習を廃れさせる訳には行かなかったのだ。


「……そろそろか」


 呟き、モーブは出入りした者の表を見直し、不備が無いかを確かめる。その後に夜間勤務者のために門の内と外、その左右に置かれた松明へ火を灯した。これで残された仕事は、交代する者への申し送りのみだ。


「くぁ~~……、今日もいつも通り、特に何もなかったぁ~~」


 ぐっと背伸びをし、モーブは言う。

 独り言。もちろん誰が応えるわけもなく、それを期待しているなどということはない。仕事終わりに公私の切り替えをするための、癖のようなものだった。


「そう。あなたにとって、アレはいつものことなのね」

「へ?」


 無いはずの返事があり、モーブは間の抜けた声を出す。

 その直後のことだ。

 彼の首に、縄が回された。


「ッが……!!」


 吊り上げられる。突然のことではあるがそれだけは理解ができた。モーブは縄が完全に締まるより早く、縄と首の間に指を入れ、気道が塞がれるのを防いだ。しかし、できたのはそれだけだった。そしてそれは愚策でしかない。凄まじい力で引き上げにかかるそれにより、彼はつま先立ちにさせられる。

--なんだなんだなんだ! 何が起きた……!!

 混乱に陥りかけながらも彼は腰に差した刀剣に手を伸ばす。が、引き抜くより先に彼の手は何者かに弾かれ、そして刀剣は地に落ちた。これを行った犯人は先ほどの声の主だろうことは明白だ。その姿を、モーブはようやく見つける。

 薄汚れた布を羽織る、女だった。

 モーブを見上げる女は言った。


「私の質問に答えなさい。それ以外の言葉を発したら殺すわ」


 脅し--、ではない。既に半宙吊りにあることがそれを証明していた。モーブは自分を吊るす縄を見る。門を支える梁に掛けられた縄は、一端がモーブの首へ、もう一端は門の柱へと縛り付けられていた。手際が良いにも程がある。あらかじめ縄の長さも、その配置までも、全てを計算していなければ成し得ない所業だ。それも、門を見張り続けているモーブの目を盗んで。

 その脅威をモーブが見定めている間に、女は地に落ちた刀剣を拾うと、その切っ先を彼の心臓へと向けた。

 下手を打てば殺される。残酷な事実が彼の混乱を抑えつけた。

 質問への回答以外は死。その意味を理解し、そして要求を受け入れたことを示すためにモーブは苦しみを覚悟の上で首を一度だけ縦に振る。

 それを見た女は、ふっと短く息を吐いてから問うた。


「名前と所属している隊は?」

「り、リバック・モーブ。四番隊、第二指団……」


 恐怖心から脊髄反射で答え、すぐに疑問が浮かび上がる。なぜ女は名前と所属を聞いたのだろうか、という疑問だ。名前を聞くのであればまだ分からなくもない。猟奇殺人者の中には、殺した人間の名前を全て書き記す者もいる。その類か、と彼は自分を納得させ、そこから所属を聞いた理由にまで手を伸ばした。

--国務兵だけを狙ってるのか!!


「ああ、プーレのところね」


 モーブが思索を広げていると、女がポツリと溢した。その言葉に、彼は内臓に氷を入れられたような錯覚を覚える。


「なぜそれを--!」


 言葉が終わるより速く、女は手に持つ刀剣をモーブの胸部に浅く食い込ませた。

 ジワリと、血液が衣服に滲む。


「次はないわよ。分かったら両手を挙げて」


 恐ろしい。国務兵のみを内情に精通していることもそうだが、それ以上に、女の心が読めないことが。

 ローブのように纏ったボロ布により女の表情を見ることはできないが、モーブはその顔に一切の表情がないだろうと容易に想像できた。彼にはその女が、同じ人間とは思えないでいる。女の声には、迷いがなかったのだ。モーブを刺すことにも、吊るし上げることにも、一切のためらいを感じていない。殺すことに慣れているのだろう。それが恐ろしくてたまらなかった。


「魔獣の死骸を賄賂で通したのは、なんで?」


 何故それを。喉元まで上がってきたその問いを飲み下し、モーブは嘘偽りなく答える。そうすることだけが命を繋げると、本能の部分で理解していた。


「小遣い稼ぎのため……。三番隊ほどの稼ぎも無けりゃ、五番隊以下の隊ほど仕事のねえ俺たち四番隊の末端部隊じゃ、こうするのが普通なんだ……」


 ズ--。

 刀身が、僅かではあるが更にモーブの中へ踏み込む。鋭い痛みが走るが、彼は苦痛を声にはしなかった。それすらも、女からすれば殺害の理由になると考えたのだ。現に正直に答えたというのに、彼の傷は深められている。気に入らない答えであったからと、恐らくはそういった理由だと、モーブは断定した。

 不条理だが、それを糾弾すれば、胸元の刀剣は容赦なく彼を貫き通すだろうことは疑いようがなかった。モーブは静かに女の次の言葉を待つ。


「嘘を言わないで。プランさんはそんなことを言ってなかったわ」


 プランと聞き、モーブが思い至る人物は一人だけだった。同じく四番隊に属するもので彼女を知らぬ者はいない。


「あいつは、バカみてぇに真面目だったから……」


 プラン・フォーレス。通称・石頭のプランだ。勤務中の仮眠すらも悪だと声を荒げる人物であり、小さな不正も余さず上へと報告をする堅物として有名な人物である。そして不正にまみれた現場から離れさせようと、事務や雑務を押し付けられていることでも有名だった。

 その名が女の口から出たことには、もはや疑問も抱かない。


「……そうね。プランさんは、こういうのは許さないでしょうし」


 ふっと、女からの殺気が薄れる。その瞬間、それまでは抑え込むことのできていた恐怖がモーブの身体を支配した。


「も、もういいだろ?! 金が欲しいってんなら有り金全部やる! だから命だけは勘弁してくれ! 強請りが目当てなら、俺よりプーレ隊長を当たってくれ! あの人の指示でもあるんだ! アンタのことは誰にも言わねぇし、それ以外に目当てがあるんなら可能な限り叶える!」


 いつ殺されてもおかしくない状況、そして向けられ続けていた殺意。死への恐怖から逃れられる者など、そうはいない。

 死にたくない。その一心でモーブは大声で言葉を連ねる。

 その結果、門の柱から上へ向かいモーブを吊るしている縄が、グッと引き上げられた。


「ぅ……、ごッ!!」


 呼吸を塞がれ、苦しみから嗚咽が上がる。女が足元にあるピンと張り詰めていた縄を踏みつけたことで、モーブの足が完全に地から離れたのだ。十秒にも満たない時間。だがそれだけで死を実感するには十分だった。

--死ぬ苦しい死ぬ息ができない死ぬ頭が破裂しそうだ死ぬ死にたくないッ……。

 意識が薄れ始めたところで、彼のつま先は地面の感触を取り戻す。直後に胃液がせり上がり、モーブの喉は酸で焼かれたような痛みを受けた。胸と喉が発する痛み。それは彼がまだ生きている証拠でもある。荒く息をしながら、モーブは生きながらえたのだとわずかに安堵した。


「……有益な情報を得られたから見逃してあげるけど、誰も発言を許可してないわよ」


 女の言葉が再び殺意を宿したことで、彼の身体は恐怖を思い出す。直前の苦痛もあり、モーブは考えることを放棄した。質問に対し答える。それ以外に生きる道が無いと悟ったのだ。


「魔獣の死骸がどう扱われるか、知ってる?」

「貧民街で食肉として売ってるらしい」


 女の質問に答える。


「死骸ひとつ、幾らで通したの?」

「銀貨一枚」


 女の質問に答える。


「今まで通した回数は?」

「正確には覚えてないが、四十」


 女の質問に答える。


「所持金は幾ら?」

「……腰の布袋に全部ある」


 女の質問に答える。

 すると女は問うのを中断し、更に刀剣を地面に置いてからモーブの腰にある布袋を奪った。


「悪いけど、半分だけ借りるわね」


 そう言い、女は硬貨を数枚懐に入れると、布袋を元の位置へと結びつけ、そして直後に刀剣を拾い上げて縄を切った。引き上げられる力が突然消失したことにより、モーブは尻もちをつかされる。そこから来る痛みなど、それまでを思えばどうということはない。モーブは地面に座ったまま女を見た。恨みから、ではない。本当にこれで解放されるのか、下ろしてから刺し殺すつもりなのではないか。そういった悪い想像が現実のものとならないかを確かめようとしていたのだ。

 女は、刀剣をモーブの後方へと放り投げた。そして頭までを覆い隠していたボロ布を剥ぎ捨て、その素顔を晒す。

 金色の髪。琥珀色の瞳。そしてその顔立ち。彼は--、否。国務兵であれば大半の者が彼女を知っている。そして今やその顔はエスト国内に留まらず、他国にすら広まっているだろう。

 その名は。


「ティアナ……、ダンデリオン--ッ!!」


 かつては最年少の小隊長として、そして今は悪魔の手先として悪名を轟かせている。

 エストの中心と言っても過言ではないラクスを壊滅へと追い込んだ張本人だ。国務兵の内情を多少とはいえ把握していたのも、彼女であれば十分に納得ができた。

 モーブはティアナを捕まえるかを逡巡する。成功すれば昇進は確実。更に報奨金も支払われるのだ。人生の転機。ここでの行動は彼の今後に大きく影響を及ぼす。動かなければこれまで通りの地道な苦役が待っているだろう。

 迷う必要などなかった。彼はティアナに投げ捨てられた刀剣を拾い上げ--。


「………………」


 --それを鞘へ納めた。

 どれだけの利益があるとしても、勝ち目などないのだ。今も彼が生きているのは、ティアナの気まぐれに過ぎない。ティアナはいつでもモーブを殺せていた。そして今襲い掛かったところで、幾度となく魔人を相手にしながらも帰還を果たしているティアナに勝てるわけがないのだ。

 勝ち目がないからと戦うことを放棄したと知れば、多くの国務兵が彼を責め立てるだろう。しかしその中のどれだけの者が同じ立場になった時に立ち向かえるだろうか。……居やしない。居たとして、おそらくそれは一握りの、強大な力を持つ者だけだ。

 リバック・モーブは、ただの門番だ。戦う力も、命を賭して戦う勇気もない。

 そんな彼にできることはただ一つ。一刻も早くティアナの存在を知らせることだけだった。

 最低限の責務を果たそうと、彼は仲間の元へ駆け出す。

 しかし彼は、ティアナに回り込まれ行く手を阻まれた。


「やっぱり……、見逃しちゃぁくれねえか……」


 殺される。モーブは早まった行動をした自分を恨んだ。仲間に知らせるにしても、せめてティアナが見えなくなってから動くべきだったと後悔をする。


「いえ。殺すつもりはないわよ。--今のところは、だけどね」

「どういう意味だ……」

「魔獣の死骸を通されると迷惑なのよ。だから、あなたには一つお願いがあるの」

「断りゃ殺されんだろ。何でも言えってんだ……」


 半ば自棄になりながら返すモーブに対し、ティアナは懐に隠し持っていた刃物を突き付けた。


「言葉遣いと態度には気を付けることね。別にあなたでなければならない理由なんて無いのよ?」


 ふへは、とモーブの口から引きつった笑いがこぼれる。意図してのことではなく、あまりの恐怖と自分の愚かさから、自然と出たものだ。

 単なる脅しであれば、彼は今までの態度を崩さずにいられただろう。しかし此度の脅しは言葉だけでのモノではなかった。

 モーブは瞬きほどの短い時間、幻覚を見たのだ。それも白昼夢のような薄ぼんやりとしたものではない。

 喉元に突き付けられた包丁が喉を横一文字に切り裂き、出来の悪い笛のような音が鳴る。痛みに悶えて蹲ろうとした彼の腹に、今度は縦に包丁が入れられ、内臓が血液と共にどろりとあふれ出る。意識が遠のき、倒れかけの彼の後頭部に、ティアナは容赦なく包丁を突き立て、確実に息の根を止めにかかった。

 その一連の流れが、一瞬にして彼の脳に映像として現れたのだ。

 ティアナの殺気が、彼に幻を見せたのだ。

 小鹿のように足を震わせるモーブを見たティアナは、自身の思いが通じたものとしてか、にっこりと笑い、言った。


「これから魔獣の死骸は一切通さないで。守らなかったらどうなるかは--、言わなくてもわかるわよね?」


 その声に、モーブはあらん限りの力で何度も首を縦に振ることで答える。


「それじゃあよろしく」


 満足そうに微笑んだティアナは、ゆっくりとした足取りで夜の闇へと溶けていった。

 腰を抜かしたモーブはその後、交代勤務者により起こされて事情を聞かれたが、ティアナに関する一切を口にはしなかった。全てはティアナが最後に放った強烈な殺意によるモノだ。あの殺気による恐怖が彼を縛り付けていた。


 どこかで見張っているかもしれない。口を割れば殺される。どこからか目を光らせているかもしれない。約束を違えれば殺される。どこかに内通者がいるかもしれない。怪しまれるそぶりですら殺される。どこかで監視しているかもしれない。ヤツの気に障れば殺される。かもしれない。殺される。かもしれない。殺される。かもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない殺されるかもしれない……。


 自分が何か行動を起こせば、それが引き金となりティアナ・ダンデリオンと言う名の殺意が打ち出される。そんな幻惑に、彼は囚われていた。

 リバック・モーブは、この日より誰にも恥じぬ真人間となる。


--真面目に生きていれば、殺されることはない。


 そう思い込むことでしか、心の均衡を保つことができなくなっていたのだ。


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