表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/125

第三章 33 終幕

 プランの悲鳴に始まり、義利とアシュリーが約束を交わしたその日、一つの別れが訪れようとしていた。

 契約者を失ったストックが、新たな契約者を探しに行くと言ったのだ。


 悪魔と違い、自然から吸収できる魔力だけでも存在を保つことができる。

 とはいえ、それだけでは充実した生活を送ることはかなわない。

 だからストックは、新たな契約者を求めていた。


「……ストック。僕じゃ、ダメかな?」


 義利が言う。

 新たな契約者として名乗り出てようとしていた。


 そんな義利の申し出を、彼は首を横に振って断る。


「ゴメン。ココの人とは契約できないんだ」


 その口ぶりから、義利は事情をうかがい知った。

 彼もまた、スミレとの契約に縛られているのだ。


 深くを聞くのは野暮だろう。

 そう思い、義利は一言、別れの言葉を告る。


「……またね」


 ストックは言葉ではなく、背中越しに手を振って返す。


 その場にいる誰もが、彼を引き留められなかった。

 ティアナやプランは突然の別れに困惑しつつ、涙を堪えてストックの背を見送る。


 振り返ることなく進み、ラクス市街の人ごみに紛れた彼は、小さく噴き出した。


「またね、かぁ……」


 つぶやき程度の小さな声は、賑やかさの中でかき消される。

 誰に聞かれることもなく、ストックはもう一度、声を出した。


「そうだね。また会おう」


 天使・ストック。

 未来を知る彼は、そうして行方をくらませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ