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 ベッドで寝ている。何も考えず力をすべて抜き天井を眺めている。姉ちゃんは看護師さんと共にどっかに行ってしまった。最初のメンタルケアとかそこらへんだろう。俺は何もできなかったな。岡本医師から頼むとか言われ承諾したが何にも出来なかった。姉ちゃんの反応は予想通りであった。俺のこの体を見て自分を責めていた。なぜあの時……という感じで。

 俺はどうしたらいいかわからなかった。あの時頭が真っ白になった。覚えているのは不甲斐無い自分、姉ちゃんへの暴言だけだった。あの暴言が口から出なかっただけでよかった。

 改めて自分の体を見る。何も通っていない左袖がプラーっと垂れ下がっている。右手で自分の無くなった左腕を触る。

「くそ……っ!!」

 自分が悪いのではない。かといって姉ちゃんが悪いのでもない。でも、悔しい。なぜだか知らないが涙が出てくる。止まらない。暴れたい。この気持ちをスッキリさせたい。身の回りの物をぐちゃぐちゃにしてやりたい。そう思うが、こういうどうでもいい所で自我が働いてしまう。

 そしてついにこんなことを考えてしまった。

『なぜ、俺がこんなことにならなければならないのか』


 一日中ベッドの中で過ごした。現在時刻など分からない。夕方……5時くらいだろうか。まだ夕飯は来ていないからこんなもんだろう。姉ちゃんはいまだに帰ってこない。昼前に行ったというのに何をしているというのだろうか。

 自分にイライラしてしまっている。ベッドの中で生活するだけ。何にもできない。大好きなゲームも左腕が無いためできない。できるとしたらストーリーゲーみたいなやつだけだ。やってないけどな。数日前まで学校で友達とキャッキャッウフフしていたのが嘘のようだ。

「真人くん」

 誰かから呼ばれた。掛布団から顔だけを出す。目が腫れぼったく感じる。泣いていたとばれてないといいが。

 そこにはいつだかの看護師さんがいた。なんかこの看護師さん結構俺のところに来ている気がするんだが気のせいか?なんか担当とかでもあるのかね。知らんけど。

「あ、もしかして寝てた?」

「いや、起きてましたよ」

「じゃあ、なんで潜り込んでたの?」

「いろいろと考え事ですよ」

 いろんなことを考える歳だもんね。と、なんか納得している。たぶんこの看護師さん考えていること違うと思う。どうでもいいけど。

「で、どうしたんですか?」

「定期検査ですよ」

 定期検査?今まで検査と言う検査など受けたときなど無いんだけど。

「検査室に行きましょう。車イスに移れますか?」

 コクリと頷き、車イスに移る。看護師さんが車イスを押してくれた。聞くところによると、事故った時に全身を強く打ったらしいから、それの検査だそうだ。正直に言うと面倒だ。まあ、いつものニコニコ笑顔の仮面をかぶって頑張りますよ。

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