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ブルースターズ  作者: 彩坂初雪
第三章
14/23

花と遊びの二人組み(3)

 たぶん、こうなるんじゃないかなぁ、とは思ってたわけですよ。

 やってるのはトランプの定番ゲーム、大富豪。二人だから、あらかじめトランプの枚数を半分にして相手の手札が完全に分かってしまわないように配慮してスタート。

 で、今のところ勝敗はこんな感じ。


 俺……七戦中七勝無敗


 ユウナ先輩……七戦中無勝七敗


 上級生とは言え、相手がお子ちゃまだと思うとかなりの罪悪感を感じる。

 ユウナ先輩がぽつり。

「うぅ……大富豪飽きた」

 でしょうね……。全く勝てなければそりゃ誰だって飽きるよ。

「花波さん、あとどのくらいですか?」

「ごめん。あまり刺繍したことない花だからちょっと時間かかって……。もうちょっとかかりそう」

「そうですか。じゃあ、えっと? 次なにしますか?」

 ユウナ先輩に向き直り、訊いてみる。

「神経衰弱」

「は?」

「神経衰弱やる!」

 ああ……なんかオチが見えるようだ……。





「神経衰弱飽きた」

 でしょうね……。全く勝てなければ以下略。

「じゃあ、次はなにします?」

「ポーカー」

 うん。ポーカーか。それは良い選択かな。ほとんど運ゲームだし、楽しめるだろう。

「では、ポーカーで」

 勝負開始!





「あの……やめません? これ」

 逆転現象発生。

 俺、無勝、ユウナ先輩全勝。

 なんだこれ。

「じゃあ、もう一回やったらね!」

「了解」

 不正がないよう、俺がカードをシャッフルし、五枚ずつ引く。

「お、これなら」

 いきなりストレートが完成してる。ユウナ先輩が変えるのを待つ。俺はもちろんこのまま。変えはなしだ。

「勝負!」

「ストレ――」

「ろいやるすとれーとふらっしゅ!」

「おかしいでしょ!」

「なにが?」

「さっきからファイブカードだのロイヤルストレートフラッシュだの、なんでそんな簡単に作れるんですか!?」

「お、おかしくないもん! ユウナはいつもこうなの!」

 二人でギャーギャー言っていると、花波さんが呆れた口調で割って入ってきた。

「勝史君。信じられないかもしれないけど、事実よ。ユウナは運が勝負を分けるゲームに限って異常な強さを発揮するの」

「……そのようですね」

 知性を問われる勝負では全く勝てないのに何故勝負好きなのか、分かりたくなかったが分かってしまった。あれだ。プレゼントを持ってきてくれる赤い服を着たおじさんが実は親だったと判明した時のような気分だ。


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