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神の術式それとも落書き? 〜それよりなによりお腹が空いたので帰ります~  作者: にゃん


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第27話:異世界サバイバル料理対決

アルトが描いた龍の背に乗り、スクリーンの「穴」を抜けた先。そこは、巨大なキノコが自生し、空に二つの月が浮かぶ、正真正銘の異世界だった。


「……信じられませんわ。学園祭のステージにいたはずが、まさか本物の異界へ足を踏み入れることになるなんて」  エレオノーラが、メイド服の裾を気にしながらも、公爵令嬢としての警戒心を露わにする。隣ではリナが杖を構え、アルトを背後に隠していた。


「みんな、大丈夫? じいちゃんが『知らない場所に行ったら、まずは美味しいものを探せ』って言ってたから、さっそく食材を描いてみたんだけど……」


 アルトがスケッチブックに描いたのは、「最高級の霜降り肉を実らせる、お肉の木」だった。  彼が絵を実体化させた瞬間、異世界の森に、ジューシーな脂の匂いを漂わせる巨大な植物が出現した。



 しかし、ここが異世界であることを、アルトの無垢な想像力は計算に入れていなかった。  その甘く芳醇な「お肉の匂い」に誘われ、異世界の凶暴な魔獣たちが一斉に集まり始めたのだ。


「グルルル……!」 「な、なんですの!? 巨大なハサミを持ったカニや、火を吹くコカトリスが、あのお肉の木を巡って争い始めましたわ!」


「アルト君、危ない! 魔獣たちがこっちまで襲ってくるよ!」  リナが魔法を放とうとするが、異世界の特異な魔素のせいで、学園で習った呪文がうまく発動しない。


「くっ……魔力回路がうまく繋がらないわ! どうすれば……!」


 絶体絶命のピンチ。その時、一人の男が前に躍り出た。  泡だらけで皿洗いをさせられていた、あのシグルドである。


「……どけ、お絵描き野郎。そしてリナ、エレオノーラ。貴様たちは下がっていろ」


 シグルドは腰に下げていた(看板ちゃんに持たされていた)予備の剣を引き抜く。その瞳には、いつもの滑稽さはなく、代々騎士の家系として叩き込まれた鋭い光が宿っていた。


「いいか、よく聞け。異世界の魔獣には、この世界の魔法は通用せん。だが、物理法則と生物の急所は変わらんのだ!」


 シグルドは地面に落ちていた「ニガニガダケ(彼がずっと食べていたもの)」を素早く拾い、即座に調合して煙幕を作った。 「これは、魔獣が忌避する成分を含んでいる。これで視覚と嗅覚を封じる!」


 煙が立ち込める中、シグルドは電光石火の動きで魔獣たちの間をすり抜け、彼らの急所を的確に突き、次々と無力化していく。


「秘

 鮮やかな剣筋。一切の無駄がない身のこなし。  アルトが生み出した「混沌」を、シグルドが己の技だけで鎮めていく。



「……すごい、シグルド君。かっこいいよ!」  アルトが素直に感嘆の声を上げる。


「あら……。見直しましたわ、シグルドさん。公爵家の騎士団にも劣らない、見事な剣捌きですわね」  エレオノーラも驚きを隠せない。


「フン……。皿洗いの合間に、貴様の『お絵描き』の後始末を想定して、イメージトレーニングを欠かさなかった成果だ」  シグルドは、返り血を拭い、不敵に笑う。


「さあ、アルト。魔獣は私が抑える。貴様は、そのふざけた想像力を使って、最高の『調理器具』を用意しろ。この異世界の食材、私が『最高の料理』へと昇華させてやる!」


「うん、わかった! シグルド君、お料理もできるんだね!」


「……騎士たるもの、野営の料理は基本中の基本だ! 貴様の甘っちょろいオムライスとは違う、おとこのサバイバル飯を教えてやる!」


 その様子を観察していた看板ちゃんが、静かにメモリーを更新した。


「(……個体名:シグルド。不純物から『有用な現地協力者』へカテゴリーを変更。ご主人様の護衛難易度の低下に寄与。……微かに、生存価値の上昇を確認)」


 シグルドの「騎士としての実力」が、ついに認められた瞬間だった。  アルトの創造と、シグルドの技術。二人の奇妙な共同作業による「異世界サバイバル料理対決」は、ここからが本番だ!

なんと、異世界ファンタジーを書いててさらにその世界で異世界を描くことになってしまった( ゜д゜)

シグルド君もざまあ要員から脱却しました。今後の展開にこうご期待!

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