表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の術式それとも落書き? 〜それよりなによりお腹が空いたので帰ります~  作者: にゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/33

第12話:お泊りの時はお家を持ってくればいい。

「シグルド君、大変そうだね……。あ、そうだ。じいちゃんが『お泊まりの時は、お家を持ってくればいい』って言ってたのを思い出したよ」


「……お家を、持ってくる?」  リナが嫌な予感(期待)に頬をひきつらせる。


 アルトは大きな岩をキャンバスに見立て、指先でさらさらと「絵」を描き始めた。  描かれたのは、積み木のような家。屋根には煙突があり、窓からは暖かそうなオレンジ色の光が漏れている――そんな、子供が描く理想の**「おうち」**の絵だった。


「よし、できた。『みんなで入れる、ふかふかのおうち』」


 アルトが絵をぽん、と叩く。  刹那、空間が物理的な悲鳴を上げた。  描かれた「絵」の輪郭線が黄金色に輝き、膨れ上がり、実体化していく。


 バキバキという音と共に、そこに出現したのは――  魔導の森の景観を完全に無視した、「北欧風の最新式ログハウス(サウナ付き)」だった。


「な、ななな……なんですの、これ!? 概念どころか、建造物をそのまま降臨させましたわよ!?」


「しかもこれ、ただの家じゃないわ……。この壁、高密度の純粋魔力でコーティングされてる。どんな魔獣も、この『おうち』の平和な結界を破ることはできないわよ……」


 アルトは無邪気にドアを開けた。


「あ、中には暖炉もあるよ。シグルド君の泥のお家より、こっちの方が暖かいと思うんだけど……どうかな?」


 中から漂ってくるのは、作りたてのパンのような香りと、上質な羽毛布団の匂い。

 シグルドが作った泥の穴が、あまりに惨めで、悲しい存在に見えてくる。


「ば、バカな……。建築魔法でもない、ただの『落書き』が、この世の物理法則を上書きして不動産を生成したというのか……っ! 私の努力は、私のエリートとしての誇りは!!」


 シグルドは膝から崩れ落ち、咽び泣いた。


 そんな惨状を無視して、女子たちの目は輝いていた。


「アルト君、すごいわ! これならお風呂も入れるんじゃない?」


「アルト様、わたくし、今日こそは貴方と同じ屋根の下で……ふふふ……」


 そして、影から見ていたカサンドラ教官は、鼻血を拭いながら手帳にメモを走らせていた。


「(……家。彼は『帰るべき場所』さえも創造する。つまり、私が彼の『妻』として描かれれば、それは即ち世界の真理となる……! 素晴らしいわ、個別指導プランに『新婚生活編』を追加しましょう)」


 こうして、魔導の森の夜は、アルトの「無自覚な規格外」によって、ただの豪華な合宿へと変貌していくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ