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思いが実った!
「瑞希!ぼ…僕とつ…つきあってくれ!」
「ん?いいよ!」
「ほんとっ!?」
「うん!もちろん!ほらっ、一緒に帰ろ?」
僕の一世一代の告白をサボって受け入れてくれた彼女は、山代瑞希。俺が同居させてもらっている家の一人娘だ。
俺?俺は正直…、名前以外の記憶がない。俺の名前は秋津川修也。いまから5年前…豪雨の日、河川敷に倒れていた俺を救い出し、看病してくれたのが、彼女の父親である康介先生だ。
彼は地元の県立病院で外科部長を務めている。国内でも有名な名医のようだ。
僕は幸福の真っ只中にいた。
5年前、初めて会ったときに僕は瑞希に一目惚れした。それからというもの、足りない知識を必死で補い、彼女にふさわしい男になるために必死に努力して、スポーツでは全国覇者に、学面でも全科目で県内トップ校が出している模試でトップの成績を維持していた。
僕達はその日、家に帰ってからもずっと一緒にいた。
でも…次の日、僕は彼女に裏切られた。
そして、その日が僕の人生を大きく変えることになった。