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033「さがえもんにカマかけられた(イラッ!)」



「⋯⋯逆に、この炎上(ビッグウェーブ)に全力で乗るさえある?」


 炎上とはいえ、一応、現在注目されているのは確か。しかし、この激動な世の中——いつ俺の話題が無くなってもおかしくない。であれば、


「この炎上(ビッグウェーブ)に乗る!」


 しかし、それはそれとして、


「どうやって乗っかればいいのやら?」


 つまり、乗っかり方である。


 現在、俺のチャンネルは炎上してチャンネル登録者数は激減しているが、亜美の話を聞いた限りでは友達もオメガ()の配信を観ていたと言っていたし、応援しているとも言っていた。つまり、今後もそれなりに視聴者はいるということだ。それに俺の予想では、


「応援する奴だけでなくアンチの奴らも絶対に視聴し続けるだろう。だって、俺に難癖をつけるための『ネタ』を欲しているはずだからな」


 むしろ、俺の視聴者はそこまで減らないかも。


「であれば、これまでのようにダンジョン探索を続けていけば『もしかしたら俺の実力は本物では?』と思う人間が増えるかもしれない。そうなったら、おそらく視聴者が増加していくかも⋯⋯」


 そうなれば、こっちの勝ちだ!


「よし、それじゃあしばらくはこのままチャット機能はオフのまま配信を続けて、そして、いつか視聴者数⋯⋯いやチャンネル登録者数が増加していった時にチャット機能を元に戻そう」


 まーいつになるかはわからないが、まだDストリーマー活動は始まったばかりである。


 気長にやるとしよう。



********************



「おい、タケル!」

「おう、どうした。さがえもん」

「さがえもんじゃねぇ! 佐川だ!」


 2日後の休み明け月曜日——俺が教室に入るや否や、いきなり佐川が目の前にすごい勢いでやってきた。


「お前さ、もしかして⋯⋯『オメガ』か?」

「っ!?」


 な、なんだ、突然!


 お、俺、佐川に探索者(シーカー)やってるなんて一言も言ってないぞ?!


 いや待て! ここは冷静に、冷静に対処しなければ⋯⋯。


「え、オメガ? 何のこと?」


 俺は全力ですっとぼける。


「え? 違うのか?!」

「だから、何がだよ」

「いや実は⋯⋯」


 と、佐川が亜美のように『オメガ()』の配信の一部始終を話す。


「いやいやいや、何でそんな奴が俺って思ったの?」

「いや、だってお前、探索者(シーカー)になっただろ?」

「なっ!? どうして、それを⋯⋯!」


 え? 何で佐川がそのこと知ってんの?!


 と思ったら、


「⋯⋯やっぱり。お前、本当に探索者(シーカー)登録したんだな(ニヤッ)」

「あっ?!」


 こ、こいつっ!!


 佐川のくせに俺にカマかけやがった!


 そして、俺はものの見事に引っかかってしまった。そんなチョロい自分に軽くへこむ。


「へっへー。こんなのに簡単に引っかかってるようじゃ、探索者(シーカー)として今後やってけねーぞ?」

「ぐ、ぐぬぬ⋯⋯」


 くっそぉぉ〜⋯⋯さがえもんのくせに調子に乗りやがって!


「いや、さがえもんのくせにってそれは関係ないだろっ!!」


 あ、心の声漏れてた。


「でも、そうか。タケルじゃないのか、オメガってのは」

「佐川は何で俺がオメガだって思ったわけ?」

「いや、あのオメガってお前と似て強さの底が見えないからよ。その辺が似てるなぁ〜と思ってな」

「!」


 ん? それって⋯⋯、


「強さの底が見えない⋯⋯って、佐川、お前あのオメガってDストリーマーの強さが本物だって思ってんのか?」

「ああ。俺にはあれがCGには観えなかったし、それに初めての配信でそんなリスク犯すような奴とは思えなかったしな」

「佐川⋯⋯」

「それに、オメガの強さって何かお前のソレに似てるからよ。だから、さっき探索者(シーカー)になったかってカマかけたんだよ。でも、そうか⋯⋯オメガはタケルじゃないのか」

「あ、当たり前だろ!?」

「まーでも、正直オメガを観る前にお前の尋常じゃない身体能力とか強さを知らなかったら俺もオメガって奴を信用していなかっただろうな」

「⋯⋯そ、そうか」


 佐川、やっぱりこいつ見る目あるよな〜。何か妹の由美に近いような『勘の鋭さ』を感じる。


「まーお前がオメガって奴じゃないのならそれはそれですげー奴が出てきたなって思うよ」

「そう⋯⋯だな」


 とりあえず、佐川は俺がオメガと同一人物ってのは疑っていない様子でホッとしてると、


「おはよう、タケル君!」

「えっ!? あ、お、おはよう⋯⋯」


 教室に何とあの雨宮⋯⋯雨宮理恵が入ってきた。しかも先週初めて会った時は『タケルさん』だったのが今は『タケル君』と『君呼び』でグッと身近な感じになっていた。ま、別に美少女から『君呼び』なんてそんなの大した⋯⋯謹んであざぁぁぁぁっす!


「なっ?! 雨宮! こんな朝っぱらからなんだよ!」

「⋯⋯」


 佐川が雨宮さんに声をかけると、さっきまでの笑顔満点雨宮さんの表情がスッと能面になり、まるで『生ゴミにたかるウジを見るような目』を佐川に向ける。


「何で、タケル君をずっといじめていたクズがタケル君の横にいるのですか? もしかして、またタケル君に何かいちゃもんをつけているのですか? そうですか、そうでしたか。では、私が永遠に葬ってあげましょう。あ、大丈夫ですよ? 別に葬るっていっても殺すわけではなくて、ただ、ウチの研究施設で『実験体(モルモット)』として生かさず殺さずで一生置いておくだけですから」

「っ!?」


 そういうと、雨宮さんの体から魔力がブワッと膨れ上がった。


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