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異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜  作者: mitsuzo
第二章

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217「女帝マーレとタケル」



 観客や探索者(シーカー)がいなくなった東京ドーム。その中央にはこの舞台の主役である2人の強者が立っていた。


「ようやく、お前とゆっくり話ができる。この日をずっと待っていた⋯⋯」

「マーレ」


 マーレのタケルを見るその瞳はただただ憎悪が渦巻いていた。


「タケル⋯⋯貴様、なぜベガ様を殺したのだ!」

「⋯⋯」


 マーレがタケルを真っ直ぐに見つめながら、はっきりと怒りを込めた言葉をぶつける。


「俺を襲ったベガはもうまともじゃなかったからだ」

「な、何を言ってる?! そんなことは⋯⋯」

「それにベガはお前や臣下を使って人間族を滅ぼそうと襲っただろ」

「は? ふざけるな! それは逆だろうが! 先に手を出したのは人間族ではないか!」

「違う」

「嘘をつけ!」

「嘘じゃない。襲ったのはお前たち魔族が先だ」

「いいや、嘘だ! 実際私は目の前で人間らが善良な魔族を殺していたのだぞ!」

「マーレ⋯⋯それは《《見せられた幻覚》》だ」

「なっ?! 幻覚⋯⋯だと?」

「ああ、そうだ。お前は幻覚を見せられたのさ」

「そ、そんな⋯⋯まさか⋯⋯いやそんなはずはない! 嘘をつくな、タケル! お前になぜそんなことが言える?!」

「俺もその場にいたからな」

「なん⋯⋯だとっ!?」


 タケルの言葉にマーレが固まる。



********************



「あの時、お前は目の前の善良の魔族が人間に襲われているのを見た⋯⋯そう言ったな」

「ああ、そうだ! しかもその時はベガ様も一緒だった!」

「⋯⋯ああ、いたな」


 それは魔族領と人間族領の境界で起きた事件。それがきっかけで魔族と人間族は戦争に発展し、その果てでタケルは異世界で数少ない友人である魔王ベガをこの手で殺すことになる。


「俺はその村が魔族に襲撃されていると聞いて単身で乗り込んだ。そして、そこで見たのは⋯⋯お前とベガが『我ら魔族領の村で人間が魔族を襲うとは何事か!』と《《狂った》》ように何度も叫んで、そこにいる人間を殺している光景だった」

「当然だ。そこは我が魔族領の村だった上、人間族の者たちが我が同胞を虐殺していたから⋯⋯」

「いいや違う。そもそもそこは魔族領ではなく《《人間族領》》の村だったんだぞ」

「⋯⋯は?」


 マーレがタケルの言葉に再び固まる。


「バ、バカな⋯⋯! 嘘をつくな!」

「嘘じゃない。ちなみにその時、俺と一緒にその光景を見ていた魔族もいたからな」

「何っ!?」

「お前の腹心だった『獣人族のベルガ』だよ」

「ベ、ベルガ⋯⋯だと!?」


 獣人族のベルガ⋯⋯獣人族のほとんどは人間族に協力したが、ベルガだけは「大恩ある人に拳は向けられぬ」という理由で獣人族でただ一人魔族についた。その『大恩ある人』というのが女帝マーレである。


「そうだ。俺はベルガと一緒に狂ったような奇声を吐きながら何もしていない罪のない人間や村を襲うお前とベガを見ていた」

「⋯⋯狂ったように?」

「ああ、お前もベガもな。実際、その事件をきっかけにお前とベガは俺を避けていた」

「な、何を⋯⋯何を⋯⋯お前は話している⋯⋯」

「真実だよ。お前とベガはな⋯⋯⋯⋯薬を盛られたんだよ」

「く、薬⋯⋯っ?!」

「『傀儡魔薬』っていう極めて悪質で効果の高い洗脳の薬だ」

「傀儡魔薬っ?! そ、それが私とベガ様に⋯⋯?」

「そうだ。そしてその薬をお前たちに盛ったのは⋯⋯⋯⋯ヴァラテラだ」

「⋯⋯なっ!?」



********************



「う、嘘だ⋯⋯嘘だ⋯⋯嘘だ⋯⋯嘘だ⋯⋯嘘だ⋯⋯」


 マーレが頭を抱え一人混乱する中、タケルはその横で「ヴァルテラは自分が魔王になって人間族を支配する目的で『傀儡魔薬』を使ってお前とベガを洗脳し俺を殺そうとした」と説明する。


「ヴァルテラが⋯⋯私とベガ様を使ってタケルを⋯⋯?」

「ああ、そうだ」

「そ、そんなはずはない! ヴァルテラは⋯⋯私を側で支えてくれてた⋯⋯。ヴァル⋯⋯ヴァルテラが⋯⋯私を裏切ることなどない⋯⋯! あいつがそんなこと⋯⋯するはずがない! くふふ⋯⋯ああ⋯⋯そうだ⋯⋯ベガ様も私もヴァルテラは⋯⋯ヴァル⋯⋯ヴァルテラ《《様》》は⋯⋯あ、あれ? ヴァルテラ《《様》》⋯⋯?」


 マーレが必死になってヴァルテラを擁護するが次第に言っていることが支離滅裂になっていく⋯⋯まるで《《狂ったように》》。それはまさに《《傀儡魔薬の症状》》だった。


「も、もういい⋯⋯! お前の話はたくさんだ! 騙しているのはお前だ、タケル! 献身的に支えたヴァルテラ《《様》》がそんなこと私にするはずがないぃぃ!! そんなはずは⋯⋯ないぃぃぃ!!!!!」

「っ!?」


 そういうと、マーレが再び魔力解放し『10倍の身体強化』をかけるとそのまま突っ込んできた。マーレの武器である『邪竜の籠手』に宿る『邪竜の爪』が俺を襲う。


「ぐっ?!」


 想定以上のスピードだったマーレの攻撃に俺は何とか致命傷は避けたものの、その邪竜の爪に左腕を少しやられてしまった。


「わからない⋯⋯もうわからない⋯⋯」

「マーレっ!?」


 マーレがボソボソと呟く。


「もう何が本当で⋯⋯何が偽りなのか⋯⋯バカな私にはわからない⋯⋯」

「⋯⋯」


 マーレの頬から涙が伝う。


「私には⋯⋯もう何もない⋯⋯ベガ様がいなくなって⋯⋯何も⋯⋯だから⋯⋯」

「マーレ!」

「ベガ様を殺したお前を殺す! ただそれだけだ、タケルぅぅぅぅ!!!!!!」


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